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Hands-On カシオ A500WGA-9DF “金の”ワールドタイマーを実機レビュー

ゴールド(調)への出資ハードルが低く、これほど楽しかったことはない。

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ビュッフェの取り皿に載せていくノリで僕がゴールドウォッチ探求を続けるなか、これまでにクラシカル志向ながら愉快さを持ち合わせたミドー、そして愛されるデザインとゴールドの衝撃を掛け合わせた重苦しさをまったく感じさせないセイコーのダイバーを見てきた。ゴールドの領域への3度目の進出となる今回、決然とより平等主義に則ったもの、人々のための“ゴールド”を選ぼうと思う。括弧で強調したのは、この時計には本物のゴールドが一切使われていないだけでなく、ケースは金属ですらなく、そして貴重かどうかは関係ないという理由からだ。

カシオのA500WGA-9DFは、カジュアルで楽しく手首に重さを感じない。

 きちんとした食事、あるいは安いオイル交換くらいの値段で買えるこの愛さずにいられないカシオのA500WGA-9DFは、同ブランドの懐古的なユース向け製品群から出てきたデジタルウォッチで、非常に便利な機能がセットで収まり、その周囲をきらめく“ゴールド”の層が取り囲んでいる。公式発表では、ステンレススティール製ブレスレットとプラスチック製ケースは“ゴールドトーン”となっているが、これは基調カラーがゴールドという意味だ。“ゴールドトーン”には本物のゴールドが持つ光沢や表面の質感はないながらも、程よく似ており、この時計に関して言うならこれ以上のものは望めないだろう(まさに“ゴールド”なのだ)。

 このカシオは実にうまくゴールド感を出しているのだが、それはハロウィーンに本気を出し、いつも見事なコスチュームで決めてくる友人のようなものだ。素晴らしい外観ではあるが、それが彼らの真の姿でないことは知っている。この時計で言えば、ベースの状態はA500WA-1ACFの完全SS製なのだと思うが、しかし僕に言わせれば、ただのゴールドなのだ。つければ楽しくなるし、ハロウィーンのコスチュームのように、いつものジーンズとくたびれたスニーカーが救われたかのように感じさせてくれる。実際につけてみると、このカシオには僕がいつもつけているドクサ、セイコー、ロレックスとはまた別の楽しさがある。こうした製品の紹介で僕の目指すこところが、誰もがコレクションになにがしのゴールド(“風”でいいから)を加えるべきだと言うことにあるとすれば、これこそは出発点として申し分がない。

カシオ A500WGA-9DFは安く、気分を盛り上げてくれるほか、通常のシンプルな機能もセットで詰め込まれている。

A500WGA-9DFのプラスチック製ケースとSS製ブレスレットには“ゴールドトーン”仕上げが施されている。

A500WGA-9DFのディスプレイは、くっきりとして読み取りやすい。

 カシオはA500WGA-9DFをユース向け製品に加えており、おそらくは“ボーイズサイズ”を意図しているのだろう。この表現がいいか、あるいは時代遅れ感のある“ユニセックス”がいいかはともかく、A500WGA-9DFのサイズは34mm、ラグからラグまでが38mm、厚さは9.6mmだ。重量は50gで、ブレスレット付き SS製ダイバーズウォッチの約3分の1の重さだ。くっきりと細かく書き込まれた明るい液晶ディスプレイの側面にボタンが4つ付いたA500WGA-9DFは、僕には歳をうまく重ねているように見え、ヒップスター的な魅力と、カシオの低価格製品のほとんどが醸している庶民的なTJマックス(アメリカのオフプライスストア大手)の店舗で買えるという一般的な空気とが相まって、どこか1980年代特有の風合いを感じさせる。誰の手首にもぴったり合うと思うし、ゴールドでしか埋められない穴を胸に持っている方ならほぼ誰でも魅了されるだろう。

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 これまでつけてみたほとんどのゴールドカラーウォッチで言ってきたことだが、A500WGA-9DFは実に楽しいし、むしろかっこいいとすら言える。このように敷居の低いデザインにゴールド仕上げが組み合わさると、すぐに高い・安いの意味合いが生まれ、ある程度の年齢の方なら、任天堂が過去数十年にわたり製品にゴールドトーンを使用してきたのと奇しくも似ていると感じられることだろう。『ゼルダの伝説』の記憶には抗い難いが、A500WGA-9DFはクラシックではあっても決してヴィンテージではなく、ゴールドの仕上げとイエローに光るバックライト(インディグロライト以前のもの)によって、レトロな魅力が増幅されているに過ぎない。

7inch(約18cm)の僕の手首に装着した34mmのカシオA500WGA-9DF。

 ブレスレットを紹介する前に、機能についてざっと見ていこう。というのも、伝統的な機械式時計ばかりを目にしている方にとって、日常使いのデジタルウォッチをまたかじっみるのは、楽しい機能の世界が見られるということになる。A500WGA-9DFには、クロノグラフ、5本のアラーム、カウントダウンタイマー、2099年までの永久カレンダー、ダイヤル上の世界地図と連携させたフルワールドタイム機能、素早く確認できる4つのタイムゾーン設定機能(ホームタイム+3つのタイムゾーン)が備わっている。カシオの評価によるモジュール精度は±30秒/月で、ガラスは樹脂製。防水とは分類されているが、カシオによる水深評価は公表されていない(いくつかのオンライン小売業者は30mだと言っている)。僕の防水テストでは、クロノグラフを長期間使用したあとで水洗いする程度にまで限定されてしまった。

ボタンを押してバックライトを点けると、写真で見るよりずっと黄色味を帯びた光が点灯する。

 ブレスレットはSS製の平たいジュビリータイプだが、非常につけ心地がよく、安価な圧延リンクを使っているために、むしろ手首にも軽い。このモデルをレザーストラップにつけてもいいと思われるかも知れないが、ブレスレットはA500WGA-9DFの輝く魅力の重要なエレメントになっている。先ほども述べたように軽くて心地よい。外観も素晴らしくケースにマッチしているが、時計をつけているあいだに目に入る面だけがゴールドの色調になっている。冗談抜きで、ブレスレットの裏面と側面にはゴールドのカラーリングが施されていないのだ。

“ゴールド”なのは表側だけで、ケースバックやブレスレットのへりと裏面にはSSの面がそのまま露出している。

 クラスプはブレスレットの下半分にスライド式のレシーバーを使った伝統的スタイルの調節可能なクラスプだ。レシーバーはブレスレットのどこにでもセットできるため、完璧にフィットさせるのが非常に簡単になっている。ブレスレットの上半分にあるコネクターを所定の位置に引っ掛けて、パチンと閉じるだけ。シンプルかつ効果的で、まさにこの手の時計に期待するとおりのものだ。

 ここ2週間、僕はほぼずっとこの時計をつけているが、その派手な外観に加え、いくつか際立つ特徴があった。ひとつ目に、非常につけ心地がよく、手首の上でバランスがとれていること。装着したまま眠るようになったほどだ(僕としてはかなり珍しい)。ふたつ目は、バックライトがあるのが非常に気に入ったということ。僕が普段身に着けるデジタルウォッチにいちばん近いのが、20年前のブライトリング エアロスペースで、いくつかの機能がカシオと共通しているのだが、こちらにはバックライトがついていない。時計というものを初めて手にしたときから僕はバックライトが大好きだったが、この機能は今でも非常に便利で、夜中に目を覚まして時間をチェックしたいときにも、スマホのチカチカするライトで網膜を刺激せずに済む。3つ目は、ワールドタイム機能の便利さで、特に4つのクイックタイムゾーン機能が便利だ。旅行中でも、仕事をしやすくするためにいくつかのタイムゾーンを把握しておきたいときにも、カシオのこのモジュールはデジタルGMT機能の非常に気の利くソリューションを提供してくれて、さらには小さな地図上でアクティブゾーンのハイライト表示までしてくれるのだ。

カシオのA500WGA-9DFには、ククロノグラフ、ワールドタイマー、アラームなど、ひととおりの機能が揃っている。

カシオのA500WGA-9DFには、同色の“ゴールドトーン”ブレスレットがついている。

東京を4つ目のタイムゾーンに設定したカシオのA500WGA-9DF(地図上にハイライト表示されている)。

 ゴールドのカラーリングを(完全にとは言わないまでも)ほぼ切り離したとしても、すべてを考慮すれば、A500WGA-9DFは素晴らしい時計であり、値段も48ドル(約6600円)という破格さだ。新品のビデオゲーム、そこそこの花束、ベーシックな靴1足よりも安い。48ドルなら、非常に偽物っぽいゴールドさも含めて、僕はこの時計のすべてが大好きだ。笑顔にさせてくれるし、なによりその外観が本当に気に入っている。

カシオのA500WGA-9DFのシンプルなクイックタイムゾーンチェック機能を使って、別のタイムゾーンを確認している。

 ジャック・フォスター(Jack Forster)が25ドル(約3400円)をわずかに下回る素晴らしいカシオのAE1200WH-1A ワールドタイマーのレビューを執筆し、“ご自分へのご褒美に”とするおすすめの言葉で締めくくった。いつもながらジャックは正しい。僕はそこにただひとつ、小さな捻りを加えてこうまとめよう。そこに少しだけゴールド(調)を加えてあげてもいいとは思わないだろうか?

 詳しくはカシオの公式サイトをご覧ください。