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我々が知っていること
1年足らず前、グルーベル・フォルセイは、同ブランドの卓越した仕上げを象徴するバランシエール コンテンポランの生産を終了した。“バランシエールは死んだ。されど、バランシエールよ永遠なれ”。もっともそれは新しいバランシエール QMのことだ。バランシエール コンテンポランで得た教訓、成功、そしてその構造そのものから大きく発展した本作はブランドの新たな手仕上げ基準、カリテ ミュゼ(Qualité Musée)を初めて採用したモデルでもある。
外観は宙に浮いたようなテンプ受けが導入されていたり、パワーリザーブインジケーターの配置が変更されていたりするなど従来モデルとはやや印象が異なるものの、これまでにグルーベル・フォルセイの時計を見たことがある人であれば、ひと目で同ブランドの作品だとわかるだろう。というのも、ムーブメントの構造は従来のバランシエール コンテンポランから多くを受け継いでおり、ケースサイズも直径39.6mm×厚さ12.25mmと両モデルで共通している。ケース素材はホワイトゴールドへと変更された。
バランシエール QMは外観の刷新ではなく、むしろグルーベル・フォルセイが新たに定めたカリテ ミュゼ(Qualité Musée)という品質基準を体現する最初のタイムピースなのだ。パテック フィリップ・シール、カリテ フルリエ、ブレゲのホールマーク、そしてそのほかの自社認証(これら3つはいずれも最近クロノメーター認証を追加したが、バランシエール QMにはその認証はない)と同様に、この認証はきわめて高いレベルの手仕上げ品質を保証するものだ。
創業以来、仕上げの美しさはグルーベル フォルセイの存在意義のひとつだった。“知る人ぞ知る”というブランドイメージがあり、その高額な価格には、ブランドならではの究極の仕上げが含まれていることを示していた。かつては卓越した仕上げはそれだけでブランドの個性となったが、今やハイエンドブランドがトップレベルで競争するためには“備えていて当然の要素”となっている。プレスリリースによると、同ブランドは社内の実験時計技術(Experimental Watch Technology)部門に仕上げの研究のみを行う専門チームを設けていると述べており、その研究成果には今回、名前が付けられた。その仕上がりは、常にきわめて素晴らしいものだ。本作のガンギ車は両面に鏡面仕上げが施され、さらにアンクル石は機能上必須ではないにもかかわらず、丸みを帯びた形状に加工されており、細部への徹底したこだわりがうかがえる。テンプアーム(ブリッジではなくなった)には、ロッキング仕上げ、ラウンド仕上げ、鏡面仕上げ、宝石側のブラックポリッシュ、斑点模様、サーキュラーグレイン仕上げ、側面の手磨き、そしてストレートグレイン仕上げといった7種類の異なる手仕上げが施されている。大胆に0.40mmの面取りが施されたテンプも備わっている。
一方、バランシエ ールコンテンポランのケースバックは見どころの少ない部分だった。もちろん仕上げ自体は見事だったが、視覚的な楽しさという点では控えめだったのである。しかし今回はその印象も一変し、ジャーマンシルバー製の4分の3プレートには、ググランドソヌリ式の巻き上げ機構が採用されている。受け石を収めたゴールドシャトンを中心に回転する軸の様子も鑑賞でき、巻き上げ歯車は、歯先にマット仕上げと面取りが施され、歯車本体はブラックポリッシュ仕上げとなっている。ムーブメントの輪列もわずかに見えるが、2万1600振動/時(3Hz)のテンプと、ブランドロゴがレリーフで刻印されたふたつの同軸配置の直列式ツインバレル(72時間のパワーリザーブを実現)は、いずれも前面に配置されている。
かつてはHand Made 1(HM1)とHand Made 2(HM2)がブランドのベンチマークだったが、それまではその基準自体に正式な名称が与えられていなかった。しかし今回、名前が付けられたのだ。HM1とHM2から受け継がれたもうひとつの重要な要素は、新たに量産化された自社製ヒゲゼンマイ製造技術だ。これは今後、ブランドのすべての時計に採用される予定であり、これは多くの小規模ブランドが未だに達成できていないレベルである。
初回生産は33本限定で、価格は要問い合わせだ。複数の情報筋によると、その価格は25万スイスフラン(日本円で約5000万円)を超えるとみられている。
我々の考え
これは美しい時計だ。私がグルーベル・フォルセイと聞いて真っ先に思い浮かべるのはまさにこの時計だ。バランシエ・コンベックスは、リシャール・ミルを買えるほどの財力がありながらも、もう少し“時計愛好家らしい時計”を求めるコレクター層を取り込もうとした戦略のように見えたが、バランシエール コンテンポランは数千万ドルの資産を持つ人が日常使いの時計に求めるものをほぼすべて備えていた(水泳に着けていかなければ、という条件付きではあるが)。私が唯一気になったのは、この時計は表側がパーティー向きで裏側がビジネス向きだったことだ。このような時計において仕上げが重要なのであれば、もう少しケースバックにも細やかな美しさが欲しかった。新しいバランシエール QMは、まさにその点も兼ね備えている。
グルーベル・フォルセイは、裕福な時計愛好家の間で常に人気を博してきた時計ブランドだ。マーク・ザッカーバーグが同ブランドのハンドメイドを着用し始めるまでは、グルーベル・フォルセイを身に着けている人は、かなり長いあいだ時計に親しんできた人であるとほぼ断言できた。その品質は常に明らかだったが、知識のない人にはわかりにくかった。また同ブランドの時計は総じてケースサイズが大きいことでも知られている。その理由のひとつは複雑機構の搭載にあるが、もうひとつは、立体感のある構造や圧倒的な手仕上げを実現するにはそれに見合う大きさのムーブメントが必要だからだ。新しいバランシエール QMは前モデルより特別に薄くなったり、小型化されたりしたわけではないが、それ以外の点では、グルーベル・フォルセイに期待されるすべての要素を完璧に備えている。
基本情報
ブランド: グルーベル・フォルセイ(Greubel Forsey)
モデル名: バランシエール QM(Balancier QM)
型番: GF09CM
直径: 39.6mm
厚さ: 12.25mm(風防含めなければ9.45mm)
ケース素材: ホワイトゴールド
文字盤: ロジウムカラー仕上げのゴールド
インデックス: エングレービングとラッカー仕上げ
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ハンドステッチ入りテクスチャードラバーストラップ、ホワイトゴールド製ピンバックル付き
ムーブメント情報
キャリバー: バランシエール QM
機能: 時・分表示、スモールセコンド、パワーリザーブインジケーター
直径: 33mm
厚さ: 9.4mm
パワーリザーブ: 72時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 34石(ゴールドシャトン、オリーブドーム形ルビー)
クロノメーター認定: なし
追加情報: 298個の部品が、同ブランドが新たに定めた基準に準拠して仕上げられた
価格&発売時期
価格: 要問い合わせ
発売: グルーベル フォルセイ正規販売店
限定: あり、33本限定
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