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我々が知っていること
明治天皇の崩御からわずか1年後、まだ大正時代初期の1913年、セイコーの創業者である服部金太郎は、会社を一変させる大胆な行動に打って出ることになる。 国産初の腕時計ローレルは、セイコーを世界の時計産業へと導くきっかけとなった。
グランドセイコーは、1960年に発売された最初のモデル“ファースト”のコレクターズアイテムを再び世に送り出した。3180は、1960年に発売されたグランドセイコーによる最初の時計である。新作のSBGW295は、ブリリアントハードチタンとグランドセイコーの真骨頂である日本の職人技で、ローレルの記念日を祝している。
ヴィンテージリメイクで初めてチタンケースを採用し、1960年のオリジナルデザイン35mmから38mmにサイズアップして作られたSBGW259など、2020年に発表された通常生産モデルのグランドセイコーファーストと同じスキームで作られている。ここでも同じブリリアントハードチタンケースを採用。この特殊な合金は、従来のチタン(マットな色調のものが多い)よりも輝度が高く、GSでお馴染みのザラツ研磨がよりドラマチックに表現されている。手巻きCal.9S64やサファイアケースバックも同様だ。
グランドセイコーの多くの作品がそうであるように、このモデルも文字盤に特徴がある。漆は縄文時代(紀元前1万3100年~紀元前400年)に遡る。日本や中国の漆の木の樹液で作られる豪華な漆は、歴史的にも控えめな形で使われており、グランドセイコーファーストのように繊細な時計にはふさわしいものだ。今回は、日本製の漆が使用され、鉄分を加えることで漆黒の色彩を表現している。ダイヤルは、日本の職人による手作業で、インデックスと文字盤に純金を使用し、エナメルの層をゆっくりと積み重ねていく。次に、その上に蒔絵と呼ばれる金粉を塗り、ミクロン単位で磨き上げる。最後に文字盤全体に特殊な処理を施すことで、経年変化による変色を防ぐのである。
日本の工芸品と言えば、写真にある編み込みストラップは、かつて武士の鎧に使われていた「鎧織(よろいおり)という日本の技術を用いて、牛革と糸を平織りして耐久性を高めた生地で作られる。グランドセイコーでは、この技術によって耐久性を向上させたと主張しているが、もしこれがお好みでない場合は、もうひとつ伝統的なレザーストラップが同梱されている。それぞれにプッシュボタン式のチタン製クラスプが付属する。
この時計は、グランドセイコーブティックおよび一部の小売店ですぐに購入することができる。500本の限定生産で、価格は181万5000 円(税込)だ。
我々の考え
私はグランドセイコーのファンだ。昨年11月に開催されたGS9コレクターズサミットに参加した人たちのように超ファンというわけではないが、このブランドの新作を見るのはいつも楽しみなのである。しかし、ここでいう新しいというのはやや柔軟な表現だ。グランドセイコーのデザインは、大胆な発想ではなく、細部にまでこだわった反復的アプローチが多い。一度気に入ったものは手放さないのだ。
しかし、グランドセイコーのやることはほとんどすべて素晴らしく、そのなかには大胆な試みも含まれる。例えば、Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨンは素晴らしい出来栄えだ。手彫りダイヤルのSBGW263や手彫りケースのSBGZ001は、大胆なクラフツマンシップの見事な例と言えるだろう。そして、黒漆の文字盤に金の蒔絵が施されたSBGW295は、これらのモデルのような枠にとらわれないセンスや、新しいケースデザイン、サイズが取り入れられている。実機を見ているわけではないのだが、少なくとも過去1年間のグランドセイコーのリリースのなかでは、私のお気に入りの1本となった。大胆というほどではないかもしれないけれど、これぞ「古いもの」を「新しく」生まれ変わらせる方法なのだ。
過去にグランドセイコー ファーストデザインの歴史を取り上げたことがある。私は小さな時計が好きだが、ブランドは市場を知っている。私たちのコメント欄やほとんどの買い手が、35mmのメンズドレスウォッチを拒否したことを知っているのだ。38mmのケースは、伝統と現代性の適切なバランスを備えた、堅実で快適なパッケージである。もちろん、主役は文字盤だが、これを単なるGSの文字盤と見なすのは、この時計に対する冒涜だろう。
写真で見るだけでも、控えめな深い黒の漆の文字盤は、職人技の粋を集めたものであることがわかる。アニタ・ポルシェやスザンヌ・ローアのようなエナメル職人が賞賛される一方で、金沢の田村一舟(いっしゅう)氏のような漆職人が黙々と漆芸に打ち込んでいることに気づかされるのは、素晴らしいことだ。
金沢とは「金の沼地」を意味し、この文字盤の発祥地としてこれほど詩的な名前はないだろう。その漆黒の湿地帯のような表面に、ゴールドのエナメルが、まるで植字されたマーカーや文字のように見えるのだ。曲面でありながら、手作業で何層にも塗り重ねられるというのは、田村一舟氏の面目躍如たるものがある。彼の文字盤を所有し、毎日じっくりと眺めていたら、きっと驚きの連続になることだろう。
グランドセイコーの限定モデルは、かなり頻繁に登場し、あっという間に売れてしまうことも多いため、FOMO(=Fear of Missing Out:見逃したり取り残されたりすることへの不安)的な感覚に陥ることがある。しかし、この時計は、文字盤に要求される職人技が特に高く、税込で181万5000 円という価格は、おそらく多くのグランドセイコーファンを躊躇させるだろう。しかし、この文字盤を500個作るのも大変な作業だったはずで、これだけの時計が高価な限定品に追いやられるのは許せることだ。そして、私も皆さんと同じように、FOMOとしてここに並ばせていただくことにする。
基本情報
ブランド: グランドセイコー(Grand Seiko)
モデル名: SBGW295
直径: 38mm
厚さ: 10.9mm
ケース素材: ブリリアントハードチタン
文字盤色: 黒漆
インデックス: エナメリングされた純金
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット:レザーストラップ(2種類)、3つ折りブリリアントハードチタン製クラスプ、プッシュボタン式リリース付き
ムーブメント情報
キャリバー: 9S64
機能: 時、分、センターセコンド
パワーリザーブ: 72時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 24
追加情報: 平均日差+5秒~-3秒、トランスパレントケースバック、ドーム型のデュアルカーブサファイアガラス(無反射コーティング)。
価格 & 発売時期
価格: 181万5000 円(税込)
発売時期: 2月24日発売
限定: あり、500本
詳細は、グランドセイコー公式サイトへ。
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