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Hands-On チューダー ブラックベイ クロノ “ブルー” ブティック限定モデルを実機レビュー

さらにブラックベイ クロノ“ピンク”の紹介や、チューダークロノグラフの歴史的背景なども紹介しよう。

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Photos by Mark Kauzlarich

今年、チューダーはロレックスの兄弟ブランドとしての期待を覆すような動きを見せた。チューダーはデザイン面でロレックスよりも実験的な姿勢を持っているが、それでもピンクのクロノグラフや、フォーミュラ1のVCARB(ビザ・キャッシュアップRB)向けに“カメレオン”と称される2種類の時計ブルーダイヤルの量産モデル、さらにはサイクリング用の時計など、いずれも予想していなかった展開だ。8月末に発表されたブルーダイヤルとブルーベゼルのクロノグラフは、それまでの展開に比べて控えめに感じられたかもしれない。だからこそ、このモデルに強く引かれたのかもしれない。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

 ブルーという色はチューダーにとって完璧なカラーだということは心に留めておいて欲しい。最近の突飛なモデルを除けば、チューダーの新製品リリースは比較的シンプルで予想しやすいものが多くなってきている。新しい時計を発表し、新しいカラーで展開し、またそれを繰り返す。それが実にうまくいっているのだ。ほぼすべての“レギュラー”リリース(ブラックベイ 58、ブラックベイ 54、ブラックベイ58 GMT)は、成功したプラットフォームとなっており(特にGMTは今後もさらに発展する可能性が高い)、チューダーがいつかブルーのモデルを出すのは、もはや間違いないと言える。それはなぜか?

BB58 Blue

ブラックベイ58 ネイビーブルーは、2020年のリリース時に、同僚のジェームズ・ステイシーがHands-Onで取り上げた。

 少し時間をさかのぼってみよう。チューダーは、ほかの多くのブランドよりもブルーウォッチとともに長い歴史を歩んできた。ここにはブルーのMN80 “スノーフレーク” Ref.94010、Ref.94400 “ミニサブ”、そして長年にわたって製造された2本のチューダー ブルーサブマリーナーが並んでいる。それぞれが独自の個性を持っているが、どれも当時のロレックスとは一線を画したデザインだ。実際、Ref.94010はチューダーのなかでも最も象徴的なモデルのひとつと言えるだろう。

Tudor Blue watches

 それにしても、レンジャーIIやオイスター プリンセスのような大胆なモデルでさえ、ブルーのオプションが用意されていた。もしチューダーに象徴的な色があるとすれば、それはおそらくブルーだろう。そして新しいブルーのブラックベイ クロノは、かつてデイトナのチューダーバージョンと揶揄されたオリジナルモデルとは違い、今回のモデルはより独自の個性を強く打ち出しているように見える。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

 チューダー ブラックベイ クロノは、過去のチューダー製クロノグラフからもヒントを得ている。チューダー本社でアーカイブから取り出された例として、Ref.7149 “モンテカルロ”やプリンス オイスターデイトのRef.79280が挙げられる。ブラックベイ クロノはこれらのモデルの中間的な存在であり、搭載されているのはチューダーの自社製クロノグラフCal.MT5813。同ムーブメントはブライトリングB01を基に設計され、6時位置には日付表示がある。ムーブメントはCOSC認定済みで、パワーリザーブは約70時間、3時位置には45分積算計が配置されている。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

 チューダーがOnly Watchのリリースで発表した新しい“ビッグブロック”ムーブメントは、発表後に取り下げられたため、まだ生産モデルには採用されていない。そのため6時、9時、12時に配置されたクロノグラフカウンターのレイアウトもまだ登場していない。しかしいずれは登場するだろう。もし迷っているのであれば、もう少し待って、より復刻版に近いモデルを狙うのがよいかもしれない。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

 Ref.79280から取り入れた要素は、より大胆で光沢のあるダイヤルだ。美しいサンブラッシュ仕上げが施されており、光をしっかりと捉える。白いインダイヤルがコントラストを強調しているが、驚くことではないと思う。個人的には日付表示がないほうがより好ましいと感じる。もし残すのであれば、ウィンドウをダイヤルの色に合わせるのが理想的だ。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

 この時計にはソリッドなケースバックを採用しており、これがロレックスやチューダーのリリースに共通する特徴のひとつだ。好みに応じて刻印を入れることができる。また目立たないものの、優れた改良点のひとつがT-Fitを備えた5リンクブレスレットだ。ブラックベイ 58のフェイクリベットブレスレットに問題を感じたことはなかったが、ブラックベイ クロノではあまりしっくりこなかった。新ブレスレットは大幅に改良され、驚くほど快適である。チューダーのこの新しいブレスレットのおかげで、長年オイスターブレスレット派だった私もロレックス GMTのジュビリーブレスレットに魅力を感じるようになったのかもしれない。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition
Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition
Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

 時計のサイズは41mm径、厚さ14.4mm、ラグからラグまでの長さは49.8mmだ。やや厚めの部類に入るかもしれないが、だからといって何か言える立場にはない。むしろ同じく厚めの時計を好む自分としては共感できるところだ。この時計は200mの防水性能を備えており、私よりずっとタフに耐えられる。私がその深さまで潜ったら間違いなくひどい目に遭うだろう。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

 以前にも言ったことがあるが、クロノグラフを手に入れたら頻繁にタイミングを計るようになると誰もが言う一方で、私は使い始めたらそのまま忘れてしまうことのほうが多い。だから45分積算計が理想的かどうかを判断するのは自分には向いていないかもしれない(直感的には違う気がする)。ただこの時計には、少なくともブラックベイ クロノのサイクリングエディションよりも使いやすいタキメータースケールが付いている(サイクリングエディション自体は素晴らしい時計だったが、それが本当にサイクリングで使われる姿はなかなか想像できなかったのだ)。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

 総合的に見て、今回のブラックベイ クロノはこれまでで最高のモデルと言えるだろう。チューダーのラインナップのなかでも独自の個性を持ち、ほかのブランド、特にロレックスとの比較でも際立っている。まさに現代的なチューダーだが、ブランドのアーカイブを振り返るとモンテカルロや少し前のヘリテージ クロノに対しても少しノスタルジックな気持ちを抱かせる。スタイルの選択肢が増えることは悪いことではないし、ヘリテージ クロノも完璧ではなかったが、次の新たなモデルのためにその役目を終えたのだろう。それでも“ホームプレート”や、ブラックベイ 58のような復活の成功を遂げられなかったヴィンテージウォッチたちに思いを馳せずにはいられない。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition
Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition
Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

 私にとって最も興味深いのは、新しいブルーのブティックエディションと、今年初めにチューダーがサプライズで発表したピンクのクロノグラフのどちらを選ぶかという点だ。自信のなさか、身長が6フィート7インチ(約2m)もあってこれ以上目立つ必要がないからかもしれないが、自分は派手な色を好むタイプではない。しかし友人のひとりはピンクの時計を“特別な瞬間”だと主張していた。それは確かにそうだった。チューダーのプレスリリースですら、この時計については控えめなトーンだった。“気に入ってもらえるかもしれませんし、もしかしたらそうじゃないかもしれません。それでも構いません”というようなニュアンスで、まるでアメリカ中西部の“気にしなくていいよ、問題ないから”という雰囲気を漂わせていた。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

 しかし市場は大騒ぎになった。セカンダリーマーケットでは価格がほぼ4倍に跳ね上がったほどだ。これはこのピンクのクロノグラフがとても夏らしく、独特の雰囲気を持ちながらも生産数が限られ、展開も遅かったためだ。その熱狂は冷めつつあるが、チューダーが私とのミーティング中にそのピンククロノをテーブルに置いたとき、実物を見るのはそれが2回目であったが、それでもまだ迷いがあった。ほかの人々が熱狂し、価格が急騰したから自分も気に入っているのか? それとも本当に自分がピンクのクロノグラフを身につけるタイプなのか、まだ判断しかねていた。

Tudor Black Bay Chronograph "Pink" Boutique Edition

 ムーブメントやケースなど、ほかの要素が同じであれば、あとは自分のスタイルや好みによるだろう。自分の場合、ピンクの時計はせいぜい週に1回、しかも夏限定でしかつけない気がする。もしかしたら、これが色鮮やかなものをもっと身につけるための露出療法になるかもしれない。この時計は確かに目を引く存在だし、もし自分がサウスビーチにでも行こうものならもっと頻繁につけるかもしれない。ただ新しいブルーバージョンは一般の人にとっては無難な選択と言えるだろう。

Tudor Black Bay Chronograph "Blue" Boutique Edition

新しいチューダー ブラックベイ クロノ “ブルー” ブティック限定モデルの詳細については、ブランドの公式ウェブサイトをご覧ください。