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年間200日以上の晴天に恵まれたオレゴン州のベンドは、雨の多い西部の州という固定観念を覆す。オレゴン州のなかでも最高の気候を誇るベンドは、その陽光あふれる空が素晴らしい。ハンドメイド・ブレスレットの会社、WristBendが自社のロゴに使ったほどだ。共同設立者のケリー・ジマーマン氏は、「ここの日の出と日没の空の色は素晴らしいです。私たちが大好きなモチーフである虹も出ます」と語る。
WristBendは、モダンなリストウェアブランドとして2018年に設立された。レザー、ビーズ、ロープ、カフスなどの種類がある。自称「エルメス・ジャンキー」で、ファッションやデザインを愛するジマーマン氏は、当然のことながら大の時計ファンでもある(WristBendのブレスレットには、デイトナという名前がついたものもあるのだ)。
時計について彼女は、「精密さ、幾何学的な形状、外観が好きです。時計は芸術品でありながら、時間や日付を知らせてくれます。ムーブメントやリファレンスの知識を得ることもできますが、私が本当に引かれるのは、その主張とファッション性なのです」と語る。
ロレックスはジマーマン氏のお気に入りであり、彼女は非常に羨ましいモデルをいくつか所有している。しかし、それ以上に重要なのは、彼女が今欲しいと思う時計とその理由である。すでに所有する「ハルク」や「カーミット」と肩を並べられる時計として彼女が狙っているのは、ロレックスのサブマリーナー「スターバックス」だ(「すべての世代、すべてのコレクションを持っていたいわ。全部好きだから、それが問題なのよね」ということだ)。 また、彼女が60歳の誕生日に購入しようとしているのは、皆が欲しがるグリーン/ゴールドの「ジョン・メイヤー」のデイトナだ。我々とのインタビュー中、「(コネチカット州の)ADにメールして」と言っていたが、彼女が短縮ダイヤルに登録していると思われる、ロレックス正規販売店のひとつを指している。
時計はジマーマン氏の金庫のなかで埃をかぶっているのではなく、実際に身につけられ、愛されている。彼女は毎日時計を身につけているが、「1〜2ヵ月身につけなければ、他の人に楽しんでもらうときだと思っています」と言う。かつての彼女のコレクションには、オメガ、パネライ、ジャガー・ルクルト、パテックのアクアノートなど、トップブランドの代表的なものが並んだが(「たしかに売ったことを後悔をしていますが、まあいいか、と」)、現在はすべてロレックスで、8〜10本程度にまで絞っている。「その点では単調かもしれませんが、私は自分のコレクションと好みの的を本当に絞っているのです」と言う。
ここでは、彼女が愛用している4つのロレックスと、彼女の手首にはちょっと大きい1つのアイテムをご紹介しよう。
彼女の4本
1989年のゼニス製ムーブメントを搭載したゴールドのロレックス デイトナ 16528
ジマーマン氏は、ヴィンテージのデイトナと、そのタイムレスなプロポーションを愛している。「毎日身につけられ、何でもできるクラシックなツールウォッチです」と語る彼女は、最初の1本を購入したことも覚えている。1997年3月29日、彼女は7400ドル(約83万円)を支払って購入した。フロリダ州マイアミビーチにある時計ディーラーのマシュー・ベイン氏から購入したものだ。マイアミビーチは、コネチカットに来る前、1990年代にジマーマン氏がフィットネス事業を行っていたときにマンションを所有していた場所だ(ベンドに移転するまでの25年間は、東海岸が本拠地だった)。彼女は1992年にベイン氏から最初の時計を購入し、彼と彼のパートナーであるアリ・シネス氏からロレックスに関するあらゆる知識を学んだと語っている。それから1997年までさらに15本の時計を購入し、ついにデイトナを手に入れた。「私の時計への愛は、最初の1本、まだ世間で騒がれる前の1本にさかのぼります」。
デイトナとレース、特にポール・ニューマンとのつながりは、モータースポーツファンである彼女の心にも響いた。「以前コネチカットで、ポール・ニューマン邸の近くに住んでいました。彼の娘さんが犬を連れて通りを歩いていたのですが、ロレックスのデイトナを身につけていたんですよ」と彼女は振り返る。
2020年3月に購入した1989年製のこのモデルは、彼女のコレクションでも自慢の1本だ。「ブラック文字盤のゴールドのものをどうしても手に入れたかったの。もしすべてを処分するとしても、この時計だけは残しておきたいと思っています」。この選択は正しかった。特に、時計収集という点では、すべての条件を満たしている。文字盤の逆さになった6、5桁のリファレンス、そしてロレックスが自社開発する前に使用していた最後の外注キャリバーのひとつであるゼニスのムーブメント、などである。
1997年のスティール製ロレックス デイトナ16520
ベイン氏から購入したもうひとつの5桁モデルであるこの1997年のデイトナは、2018年9月にフルセットで購入したものだ。「私が購入したのは、箱、ギャランティ、アンカー、タグなど、全部が揃ったものです。かなり完璧に近いです」とのこと。
SS製で、白い文字盤とスネイル加工された黒いサブカウンターを備えたこの時計は、ベンドでの彼女のいつもの服装である白いTシャツとジーンズに日常的に合わせているが、もっとドレスアップするときにも同様に合わせることができる。「東海岸に住んでいたので、プラダなどはよく使っていましたが、いつもとてもカジュアルでした。今好きなデザイナーはポール・スミスです。彼の色彩感覚が好きでスーツをいくつか持っていますが、それにスニーカーやこの時計を合わせたりします。まさにパーフェクトなファッションだと思います」
1989年のイエローゴールドのロレックス サブマリーナー 16618
この時計は、ジマーマン氏いわく「すごくカッコイイ」そうだ。「ゴージャスでヘビー。一度ゴールドや貴金属をつけてその重さを感じてしまうと、なかなか元には戻れません」。目を引くネイビーダイヤルとブルーのベゼルのコントラストが、さらに魅力的に見せる。「光の加減で文字盤が紫色に見えたりするし、アワーマーカーにクリーム色のパティーナもしているの」。
彼女がこのモデルをAmsterdam Vintage Watchesで初めて見つけたのは、2019年のことだ。彼女は別のモデルを購入したが、2020年にこのモデルを手に入れるために売却した。「この時計を身につけるたびに、“わあ、ゴージャスな時計!"と言われない日はありません。確かに主張する時計です」
2004年のスティール製ロレックス サブマリーナー "カーミット" 16610LV
コレクション性の非常に高いサブマリーナー"カーミット"が彼女の目にとまったのは、友人が購入するのを手伝ったのがきっかけだ。「でも、届いてその美しさを見たら、どうしても欲しくなってしまったんです」と振り返る。そして2020年8月に自分の分を購入した。ジマーマン氏は、ロレックスの50周年を記念したこの時計の歴史が重要だったことに加え、グリーンの色と時計のプロポーションが気に入ったと言う。彼女のコレクションにあるサブマリーナーのハルクやバットマンと比較して、カーミットは「ほんの少しクラシックで、やや薄くて小ぶり」と語っている。
いちばんのもの
2007年のメルセデス・ベンツ Gクラス
ジマーマン氏は熱心なポルシェ・コレクターだが、彼女が「いちばんのもの」に選んだのはメルセデスのGクラスだった。彼女はこのSUVの建築的な形状と強い幾何学的なラインを気に入っている。
「G-ワゴンの永遠性に勝るものはありません 」と彼女は言う。「911を運転していた私がこんなことを言うとは思いませんでしたが、911よりもG-ワゴンに足が向くことが多いです。運転していると血のつながっていない子供のように感じてしまいます」
ミン・リュウ(Ming Liu)は、ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、ブリティッシュヴォーグ、ヴァニティ・フェアなどに定期的に寄稿し、時計に関する記事を執筆。またロンドンのスタイルマガジン「The Glossary」のウォッチ&ジュエリーエディターを務めている。
Photos by Mason Trinca
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