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我々が知っていること
もし今年のWatches & Wondersで、最も予想外だった発表をひとつ選ぶとすれば何だろうか。自動車モチーフのウルトラモダンなミニッツリピーターにも驚かされたし、新しい24時間アラームウォッチもここ最近で最も実用的な新機構かもしれない。だが(少なくとも私が)見過ごしていたものの、あとから時速100マイルで突っ込んでくるトレーラーのように衝撃を受けたのが、パテック フィリップ グランド・コンプリケーション 6105G “セレスティアル サンライズ&サンセット”だ。
ここには実に多くの要素が詰め込まれている。デザインはパテック フィリップとしてはきわめてモダンで予想外なもので、ディスコ・ヴォランテ風の大型ラグレスケース、ラバーストラップ、エッチング加工が施されたラグのようなディテールを備えたホワイトゴールド(WG)製ケース、そして宇宙モジュールのチューブ構造を思わせるX字型デザインが特徴だ。そしてもちろん、同ブランドらしいハイウォッチメイキング技術も随所に光っている。
内部には、6つの特許を取得した新しいムーブメントを搭載。平均太陽時による時・分表示、(セレスティアルに備わっているような)天球図、特定の緯度における空の可視領域を示す浮遊する楕円、子午線、シリウスおよび月の子午線通過時刻、月の角運動、ポインターデイト、ムーンフェイズを備えている。そして今回パテックの腕時計として初めて、日の出・日の入り時刻表示とサマータイム調整機構が追加された。日の出・日の入りはダイヤル下部のふたつのセクションに表示され、それぞれ左下・右下の領域を指す針で示される。
これらはすべて49年前に誕生したCal.240をベースに、マイクロローターの巻き上げ機構を搭載した新開発のムーブメント Cal.240 C LU CL LCSOによって実現されている。セレスティアルではムーブメントが大幅に大型化しているが、パテック フィリップは直径を拡大せず、厚みを増すことによって機能の追加を図った。結果として121個の部品が追加され(合計426部品)、38mmの直径に対し、厚さはわずか1.12mm増の7.93mmに抑えられている。さらに、パテック フィリップ・シールを取得しており、日差は-1/+2秒が想定される。多機能ゆえにエネルギー消費は大きく、パワーリザーブは最大48時間だ。
Cal.240 C LU CL LCSO。
この大型ムーブメントを収めるため、ケースも標準的なグランド・コンプリケーション セレスティアル Ref.6104よりも大きくなったが、裏蓋はソリッド仕様となっている。直径は3mm拡大された47mmで、厚さは12.19mm(かなり妥当な厚みだ)。ラグレス構造、X字型モチーフをあしらったブラックの加硫ポリマーストラップ、特許取得済の18KWG製トリプルブレード構造・ダブルセキュリティのフォールディングクラスプによって、UFOのようなフォルムが強調されている。ラグが存在しないためラグ幅は存在しないが、ストラップの最大幅が31mmであることが明記されているのは興味深い。
もともと複雑だった天体表示は、さらに情報量を増したように見えるが、写真で見ても不思議と読み取りやすい。時・分・秒、ポインターデイト、天球を示す回転ディスクなどは直感的に理解可能なのだ。ムーブメント内部にあるふたつの楕円形カムが1年を通して回転し、地球の傾きを表し、それをフィーラースピンドル(編注;細いピン状の軸)が読み取ることで、日の出・日の入り時刻が導き出される。これらは日付と同じ目盛り上で表示され(赤い針が日付を示す)、ケース内に隠されたプッシュボタンによってサマータイムの調整もできる(調整時には針ではなく日付ディスクが動き、目盛りを前後させる仕組みだ)。切り替えの際、日付も自動的に調整される。
現在、“スタンダード”なセレスティアル 6104には非宝石仕様が存在せず、最も手ごろな6104Rでもダイヤモンドベゼルが備わっており、価格は(執筆時で)8672万円(税込)だ。しかしそれと比較すると、新機構を備えた6105Gは7123万円(税込)と、相対的にはお買い得に感じられる。
我々の考え
まず、本作の外観がいかに大胆であるかについて触れずにはいられない。パテックはこれまでもデザインの限界を押し広げてきた(アクアノートにミニッツリピーターを搭載し、レインボーの宝石をあしらった例など)が、ここまで踏み込んだ例は思い当たらない。これは極端であり、しかも意図してそうしているように見える。第一印象としてはリシャール・ミルのRM 032や、よりミニマルなRM25-01“スタローン”と、パテックのセレスティアルを掛け合わせたようにも見える。そこにグルーベル・フォルセイのニュアンスも少し感じられる。言い過ぎかもしれないが、このディスコ・ヴォランテのような超未来的な外観は、見れば見るほど惹かれていく。いずれブランドがどこかのタイミングでリスクを取り、既存のデザイン言語から踏み出す時が来るとは思っていたが、これはその試みとして十分に説得力がある。
技術面についても、掘り下げるべき点は多い。ベースとなるセレスティアルと同じ直径を維持しながら、厚みの増加を少しだけに抑えているのは見事だ。パテック フィリップが申請した6件の特許についてはまだ確認できていないが、そのうちのひとつはサマータイム(またはデイライト・セービング・タイム)を切り替える巧妙な機構に関するものだという。どのような技術的革新が盛り込まれているのか、とても興味深い。日の出・日の入り表示機能を備えた時計自体は、市場において初めてでも唯一でもないが、同ブランドにとって初めてであるという事実は、それだけで祝うに値する。
Watches & Wondersの会場で、チームがこれを実機で見る機会があるかどうかもまだわからない。もし叶わなければ、今後ジュネーブのサロンを訪れた際に、パテックにお願いして実物を見せてもらえればと思っている。これまでに話を聞いた一部のハイエンドコレクターのあいだでは、セレスティアルは(残念ながら)スカイムーン・トゥールビヨンやグランドマスター・チャイムといったモデルへ至るための通過点のように捉えられ、そのものとして評価されてこなかった側面がある。しかし今回のセレスティアル サンライズ&サンセットは、それひとつで強烈な存在感を放つ1本になるだろう。
基本情報
ブランド: パテック フィリップ(Patek Philippe)
モデル名: セレスティアル サンライズ&サンセット”(Celestial Sunrise and Sunset)
型番: 6105G-001
直径: 47mm
厚さ: 12.19mm
ケース素材: 宇宙モジュールのチューブ構造を想起させる、独自のX字型装飾を施した18Kホワイトゴールド
文字盤色とインデックス: 金属化処理が施されたサファイアクリスタルディスク1枚と、ミネラルクリスタルディスク2枚。金属化された表示を備えるサファイアクリスタル風防。ジュネーブ、または北半球で同一緯度に位置する他都市から見える空の範囲を示す楕円。4つの方位点。日の出・日の入り時刻を表示する目盛り
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: X字型の装飾が付いたブラックの加硫ポリマーストラップ、特許取得済みの18KWG製トリプルブレード構造・ダブルセキュリティのフォールディングクラスプ付き。最大幅31mm
ムーブメント情報
キャリバー: 240 C LU CL LCSO
機能: 日の出・日の入り表示、サマータイム/ウィンタータイム調整機能、平均太陽時による時・分表示、天球図、特定の緯度において見える空の範囲を示す楕円、子午線、シリウスおよび月の子午線通過時刻、月の角運動、ポインターデイト、ムーンフェイズ
直径: 38mm(ベースムーブメントは27.5mm)
厚さ: 7.93mm(ベースムーブメントは3.43mm)
パワーリザーブ: 最小38時間、最大48時間
巻き上げ方式: マイクロローターによる自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 51
クロノメーター認定: なし
追加情報: カラトラバクロスの装飾があしらわれた4時位置のリューズで、時刻設定を行う。3つの星と月の装飾が施された2時位置のリューズで、バヨネット機構による年次インデックス、ムーンフェイズ、天球図、月の角度位置の設定を行う
価格&発売時期
価格: 7123万円(税込)
発売時期: 発売中
限定: なし
詳しくはこちらをご覧ください。
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