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あなたが映画会社の重役で、誰かが次のような売り込みに来たとしよう。「ロサンゼルスの市営バスに爆弾が仕掛けられ、バスが時速50マイル以下になると爆発する。『ビルとテッドの大冒険』の俳優がロス市警の警官を演じ、バスに乗り込んで危機を救おうとする。タイトルは……『スピード 』」。この単純明快な天才的アイデアを否定する人はいないだろう。『スピード(Speed)』(1994年)は、まさに90年代らしい、手に汗握るスリリングなアクション映画だ。キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック、デニス・ホッパー、ジェフ・ダニエルズが出演している。主人公の手首にはカルト的な人気を誇るデジタルウォッチが装着され、キャラクターと時計がピッタリマッチした数少ない作品のひとつだ。
注目する理由
この週末に公開された『マトリックス レザレクションズ』の公式予告編は、インターネット上で大きな反響を呼んだ。誰もが1999年に戻って懐かしさに浸り、赤い薬と青い薬のどちらかを選ばなければならない状況になったのだ。予告編では、リーブス演じる2021年のネオが、長髪でひげを生やした新しい姿で登場した - つまり『ジョン・ウィック』のときのような姿。『ビルとテッドの大冒険』の中でワイルドスタリオンズ(Wyld Stallyns)のフロントマンを演じたリーブスを祝して、彼の90年代を代表するアクションスリラーを取り上げたい。
余談だが、私は毎週コメントを読み、皆さんの素晴らしい提案を参考にしていることを知っていただきたい。ご要望がほかの作品よりも少し多い作品がいくつかあるが、『スピード』はそのひとつだ。
『スピード』は、冒頭から全力疾走で幕を開ける。デニス・ホッパー扮するテロリストが、オフィスビルのエレベーターに爆弾を仕掛けたのだ。ロス市警はこの脅威に対応するため、リーブス演じるジャック・トラヴェン(なんという名前だ)とダニエルズ演じるハリー・テンプルという最高の二人組を爆弾解除のために派遣する。この2人の関係には、昔ながらのバディ・コップ的な要素がある。エレベーターシャフトの中で、2人は職業選択について会話を始める。しかし、爆弾魔がそれを聞いていたとは気づかない。そもそもなぜこの仕事に就いたのか、トラヴェンは疑問を投げかけるが、テンプルはこう答える。
あと30年も働けば、ささやかな年金と安物の金時計が手に入るからさ。
– ハリー・テンプルトラヴェンは、退職記念の時計を手に入れるまでにまだ30年あるので、金のまったく使われていない時計を選んだ。彼の腕にはカシオのG-SHOCK DW-5600C-1Vが装着されている。
DW-5600C-1Vは、G-SHOCKの真骨頂ともいえる誰もが認めるケースデザインを採用している。ブラックボディにブラックレジンのストラップを備え、カシオの伝統的なデジタル表示に加え、水深や耐衝撃性、アラーム機能などをカラフルな文字で表示する。このモデルは1987年に発売されたもので、1983年に発売されたG-SHOCK最初のモデルではないが、4年間にあまり多くのアップデートが行われなかったため、かなり似ている。90年代半ばに製造中止となったG-SHOCKの特徴は、ステンレススティール製インナーケースとスクリューロック式の裏蓋だ。後者の特徴は、現在高級モデルにしか見られないものだ。
G-SHOCKは、スイスのヴィンテージウォッチのようなとんでもない価格にはなっていないが、古い(ヴィンテージと言ってもいい)G-SHOCKを収集するファンは、真面目なサブカルチャーを形成している。DW-5600C-1Vは、そのケースバックや映画との関連性といったニュアンスが、長年にわたってコレクターを引きつけてきた。
しかし、1994年当時はただのG-SHOCKだった。つまり、どんなことにも - 爆弾にも(試さないでほしい) - 耐え得る頑丈なデジタルウォッチだったということだ。ロス市警の警官が - エレベーターシャフトを飛び降りたり動いている車に飛び乗ったりすることが日常茶飯事だとすれば特に - この時計をデイリーウェアとして選ぶのはとても理に適っている。確かにジャンプが多かったが、彼が着用するのは現場だけではない。エレベーター爆破事件の勇敢さを称えられ、パートナーと一緒にメダルを授与されるシーンでは、トラヴェンはセレモニーとアフターパーティのためスーツとネクタイを着用している。彼が選んだ時計は? 愛用のG-SHOCKなのだ。明らかに特別な1本だ。
見るべきシーン
映画が始まってほぼ30分で、本当のプロットが動き出す。トラヴェンが朝のコーヒーとマフィンを手に取り、友人である市営バスの運転手にあいさつした直後、バスが爆発して運転手が死亡する。そのとき、公衆電話が鳴る。異様なタイミングに受話器を取ると、電話の相手は時速50マイル以下になると爆発する爆弾をバスに仕掛けたことを説明し、午前11時までに370万ドル(約4億1300万円)を支払うよう要求する。トラヴェンはすぐに自分の手首を見る。この瞬間(00:30:33)、カメラがG-SHOCKにズームインし、時刻が8:05になっていることがわかる。ここからが本番だ。
トラヴェンは爆弾を仕掛けたバスを追跡し、高速道路を走行中に乗り込む…。バスの運転手が誤射で撃たれた後、常連客のアニー(演:サンドラ・ブロック)がハンドルを握る。彼女がバス運転する間、トラヴェンはテンプルに電話をかけ、爆弾の特定と解除を依頼する。テンプルは床のハッチを開けてバスの下を覗き込み、見事に爆弾を見つけだす。爆発物だけでなく時限装置があり、そこには - 時計が - 付いていた [00:45:08]。ハリーは電話の向こうで「どんな時計なんだ?」と聞き、トラヴェンは「ゴールド……ゴールドのブレスレットで、かなり安っぽい」と答える。その時計は、ゴールドのロレックス デイデイト(通称“プレジデント”)のようにも見えるが、よく見ると(そして写真を編集すると)、ブランド不明の類似品であることがわかる。これは、映画の序盤で語られていた金の時計の話を意識したものであることは間違いない。ひとつ確かなことは、その時計が爆弾であるということだ。
『スピード』(出演:キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロック、デニス・ホッパー、ジェフ・ダニエルズ)監督はヤン・デ・ボン、小道具はトリッシュ・ギャロパー・グレンが担当。HBO Maxでのストリーミング配信、iTunes、Amazonでのレンタルが可能。
Lead image courtesy, 20th Century Studios
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