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クイック解説
1972年に、鮮やかなカラーリングと大胆な多面形ケースを採用した異彩を放つモデルとしてキングセイコーから発売されたバナック(VANAC)。それから50年以上の時を経た2025年、新生バナックとして登場した。新たなバナックのデザインコンセプトとなったのは、キングセイコー誕生の地である東京に広がる壮大な地平線のイメージから生まれた“Tokyo Horizon”だ。
ケースは、金属の塊から削り出されたようなダイナミックなフォルムを持ちながら、ベゼルレスの設計により薄くエレガントな印象を実現。高度な研磨仕上げによる歪みのない鏡面が光と影のコントラストを生み出し、強烈な存在感を放つ。
ダイヤルには水平方向に広がるストライプ型打ちパターンを採用し、1970年代のバナックの存在感あるアプライドインデックスをほうふつとさせるインデックスリングを配置。インデックスリングには立体的な分目盛りが施され、視認性とデザイン性を兼ね備える。12時位置のインデックスと秒針のカウンターウェイトには、バナックの頭文字“V”を象った意匠が新たに加えられた。
新開発のブレスレットはケースとシームレスにつながる設計で、鏡面とヘアライン仕上げを組み合わせた短ピッチのコマを特徴とする。横に長く緩やかに弧を描くデザインにより、快適な装着感を実現するという。
さらにキングセイコー復活後初となるシースルーバックを採用し、ガラス部分には盾をモチーフにしたブランドマークがあしらわれる。ムーブメントはセイコーの機械式のなかでも安定した精度を誇るCal.8L45を搭載し、約72時間のパワーリザーブを実現。ダイバーズウォッチにも搭載することが可能な堅牢性を備え、回転錘や受けには波目模様が施されている。
カラーバリエーションは、東京の時間の移ろいを表現する3種類のダイヤルを用意。夕暮れ時を表現したパープル(SDKV001)、真夜中をイメージしたネイビー(SDKV003)、そして日の出を思わせるシルバー(SDKV005)をレギュラーモデルとして展開する。
さらにセイコーブティック専用のアイスブルー(SDKV009)、そして限定モデルとなるゴールド(SDKV007)の2モデルも同時に発表された。 価格はセイコーブティック専用モデル、限定モデルも含めてすべて39万6000円(税込)で、発売日は2025年7月11日を予定。クラシックとモダンを融合させたこれらの新しいバナックは、新生キングセイコーのラインナップにこれまでは異なる、スポーティかつエレガントな魅力をもたらす1本となる。
ファースト・インプレッション
エッジの立ったシャープなケースやガラス形状など、キングセイコーにおけるデザインのオリジナリティを確立したKSK(オリジナルは1965年に登場)にインスピレーションを得た同名のKSKシリーズが復活したのは2022年。その後、1969年に登場した45KCMのアイコニックなケースフォルムをほうふつとさせる、丸みを帯びた優美な造形を持つKS1969シリーズが2024年に登場した。そして新生キングセイコー第3のシリーズとして選ばれたのがバナックだ。その復活は、これまでの歩みを考えれば当然の帰結といえるかもしれない。
バナックは、1972年から1974年にかけて製造されていたシリーズだ(販売店向けの『セイコーウオッチカタログ』には、1975年版まで掲載されていたことが確認できる)。その発売と伝えるかつての新製品案内のなかで、その登場背景を次のように紹介していた。
1972年からわずか3年しか作られなかったキングセイコー バナックのオリジナル。
「近年、所得水準が高まり、需要の大型化、個性化、多様化傾向が進んできました。私たちのまわりには魅力ある商品、快適なレジャーが生活を潤すような情勢があり、お客様は自分の好みに合った個性的なショッピングを楽しんでいます。腕時計についても、精度や機能の良さは当然のこととして、お客様の個性にマッチしたスタイル、カラー、フィーリングの機種が強く望まれるようになりました。高精度で、良質な高級仕上げで、そして個性的なカスタムメイドの味わいをもった時計、というお客様の要望に応えて、セイコー バナックはダイナミックなマスクをまとって登場したのです」
まるで近年の時計市場を指しているかのようである。そしてバナックの特徴については、以下のように紹介されていた。
- 重量さと男らしさを表現した個性的なデザイン
- 入念に仕上げられた良質の時計ケース
- 鮮かな輝きをもつカットハードレックス
- 深みのあるカラーダイヤル
- ケースデザインにマッチしたブレスレットの輝き
このようにセイコーバナックは、現代感覚を先取りした行動的な男性の腕時計です。
復活したバナックにおいては男性向けの時計という表現こそ用いられてはいないが、まるで新生バナックについて言っているようではないか? 言葉だけを目にすると、キングセイコーは過去の製品にフォーカスした復刻モデルを手がけるブランドであるかのように思われるかもしれない。だが、それは決して正しくない。
19世紀のドイツの哲学者、ヘーゲルはかつて“事物のらせん的発展”を説いた。これは、世の中の多くのものごとはひと通り変化を重ねると原点に戻るかのように見えるかもしれないが、実際には螺旋を描くように進化し、発展しているのだとする主張である。キングセイコーは確かにオリジナルを大切にしているが、決して過去の製品をそのまま復刻しているわけではない。製品の仔細を見れば一目瞭然だが、最新技術やノウハウを取り入れ、進化を遂げながら、今という時代にフィットした魅力的なシリーズを提供している。新生バナックシリーズが、まさにヘーゲルがいう“事物のらせん的発展”を体現しているように筆者には感じられた。
基本情報
ブランド: キングセイコー(KING SEIKO)
モデル名: バナック(VANAC)
型番: SDKV001、SDKV003、SDKV005(レギュラーモデル)/SDKV007(限定モデル)/SDKV009(セイコーブティック専用モデル)
直径: 41mm(リューズ含まず)
厚さ: 14.3mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: パープル、ネイビー、シルバー(レギュラーモデル)/ゴールド(限定モデル)/アイスブルー(セイコーブティック専用モデル)
インデックス: インデックスリング(リング状の別体パーツ)
夜光: ルミブライト(針・インデックス)
防水性能: (10気圧日常生活用強化防水)
ストラップ/ブレスレット: SS製ブレスレット(鏡面仕上げとヘアライン仕上げのコンビ)、ワンプッシュ両開き方式クラスプ
ムーブメント情報
キャリバー: 8L45
機能: 時・分表示、センターセコンド、日付表示、秒針停止機能
直径: 28.4mm
厚さ: 6.0mm
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 自動巻き(手巻つき)
振動数: 2万8800振動/時(8振動/秒)
石数: 35
クロノメーター: なし(ただし、日差+10秒~-5秒の高精度)
追加情報: 回転錘や受に美しい波目模様の装飾
価格 & 発売時期
価格: すべて39万6000円(税込)
発売時期: 2025年7月11日(金)
限定: SDKV007は世界限定700本(うち国内300本)の限定モデル/SDKV009はセイコーブティック専用モデルでセイコーフラッグシップサロン、セイコードリームスクエア、セイコーブティック
およびセイコーオンラインストアでのみ購入可能
詳細は、キングセイコーの公式サイト、およびVANAC特設ページをクリック。