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クイック解説
独立時計師・浅岡 肇氏が、着る服を選んで全体をコーディネートする際に、“腕時計だけが目立ってしまうことがない時計とはどんなものか?”という観点で開発を進めたという、クロノ ブンキョウ トウキョウの34mmコレクション。自身が好む1930年代のアール・デコスタイルのヴィンテージウォッチが持つデザインと小振りなサイズで表現されたその時計は、昨年発表されるや否や、ホームページでのみ購入可能という販売スタイルにもかかわらず、あっという間に完売してしまった。そんな話題のコレクションに、待望の新作が発表された。
前回は、フルアラビア数字インデックスに、それぞれカラーリングの異なるブルズアイデザインダイヤルを合わせた4つのバリエーションを展開。新作もラインナップは4種だが、今回はグレーとホワイトの落ち着いたダイヤルカラーで構成したアラビア数字ダイヤルが2種、そして新たに幾何学的なデザインを持つ2種のセクターダイヤルが用意されている。
昨年は発表に際して実機に触れる十分な時間が得られたため、34mmコレクションのHands-On記事を執筆した。今回の新作は前回のものとそれほど大きくは変わっていないため、基本的なスペックや作りの詳細については、そちらの記事を読んで欲しい。
新作の価格は前回と同様、各16万5000円(税込)。そして前回購入できずに悔しい思いをした方には朗報だ。うれしいことに、販売数は前回の各80本を大きく上回る各150本となった。販売は公式サイト上で、日本時間の3月10日から開始される予定だ。
ちなみに前回は、渋谷でのポップアップディスプレイにて事前に時計を見られる機会が設けられたが、今回は昨年、北青山にオープしたKURONO TOKYO AOYAMA SALONで3月2日から実機の展示が行われる。この展示に伴い、同サロンを訪れた方は、日本国内に居住している方に限られるものの、3月7日まで先行予約を受け付けるという(先行予約枠は数に限りがあるため、抽選制となる)。
ファースト・インプレッション
筆者は過去に、34mmコレクションについてニューオールドストックのような雰囲気を持ち、現代の時計らしい作りが同居した日常使いできるヴィンテージウォッチのようだと評した。そして、ヴィンテージウォッチは好きだが、気軽につけられないと敬遠していた人、そしてコストパフォーマンスの高い時計を求める人にとっても、理想的な選択肢のひとつとなってくれるだろうということも言及した。
そうした考えは、今回の新作においても変わらないのだが……、正直に言おう。魅力的ではあったものの、前回の34mmコレクションは、それほど筆者の物欲の琴線に触れなかった。理由はいたって単純だ。ダイヤルカラー、そしてホワイトやブルーのレザーストラップがどうにもポップな印象で、好みではなかったのだ。“もう少し落ち着いたトーンのカラーリングだったらよかったのに”と思ったのが、実のところの感想であった。
だが、新作の画像を見て気持ちが大きく揺れ動いた。いずれのバリエーションも落ち着いたトーンのダイヤルカラーが採用されており、レザーストラップもすべてシボありのブラックカーフレザー。このシックな雰囲気は筆者の好みだ。
そして何といっても強く心を引かれたのは、新登場のセクターダイヤルだ。これは、アール・デコを代表するダイヤルデザインのひとつで、さまざまなブランドによって1930年代の短い期間にだけ製造された。このデザインはケース形状や搭載機能を超えて、同時期のさまざまな時計に見ることができ、多彩な名品が生み出された。例えば、セクターダイヤルを持つパテック フィリップのRef.96などは、ほかのデザインよりも高く評価されている。
円と放射状のラインを組み合わせた幾何学的で存在感のあるデザイン。ヴィンテージウォッチ好きのあいだで高く評価され、その個性的なスタイルと希少性から世界的に人気だが、それゆえセクターダイヤルのヴィンテージウォッチはなかなか手に入りにくい。そんなセクターダイヤルを持つ腕時計が、現行の時計ならではのしっかりとした作りで、しかも値ごろ感のある価格で手に入るのだ。さらに4分の1秒単位で設けられた文字盤外周の目盛りも筆者の好み。興奮しない訳がない。
一方、こんなことを言っては何だが、新作は昨年発表されたコレクションのバリエーション展開である。とはいえ、単なるデザイン違いかというと、実はそうとも言い切れない。
聞くところによると、ミッドナイトのブルー/ブラックのセクターダイヤルは、1930年代に行われていたのと同じように、パッド印刷とシルク印刷を使い分けることで、より精密で高精度の印刷を実現しているという(すべての文字盤において何度もプロトタイプが作られているそうだ)。また、サファイアクリスタル風防は透過率が向上しており、無反射で指紋が付くのを防ぐ仕様でありながらも、無反射コーティング特有の青みを抑えることに成功。針の質も改良されており、夜光塗料を1本1本手塗りで施す方法に変更されているというのだ。そう、価格はそのままに、新作では細部にわたってアップデートされたのだ。こうした情報も、筆者の物欲を刺激してくれた。
いちばん気になっているのは、ブルー/ネイビーのカラーリングを持つセクターダイヤルのC034G(ミッドナイト)だが、読者の皆さんはどのバリエーションに心引かれるだろうか? いずれにせよ、前作よりもシックにまとまった新作は、どんな人でも手を伸ばしやすい時計に仕上がっていると思う。そして購入のチャンスが広がったとはいえ、セクターダイヤルモデルを手に入れるためには、なかなか骨が折れそうである。
基本情報
ブランド: クロノ ブンキョウ トウキョウ(Kurono Bunkyō Tokyo)
モデル名: 34mm
型番: C034E(ダークミスト)、C034F(スモーク)、C034G(ミッドナイト)、C034H(パーシモン)
直径: 34mm
厚さ: 9.6mm
ケース素材: ステンレススティール(316L、鍛造)
文字盤色: ホワイト/ライトグレー、ダークグレー/ホワイト、ブルー/ネイビー、アイボリー/ライトブラウン
インデックス: アラビア数字アワーインデックス、レイルウェイミニッツトラック
夜光: 時・分針とアラビア数字アワーインデックスに蓄光
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット: カーフレザーストラップ、SS製尾錠
ムーブメント情報
キャリバー: MIYOTA 90S5
機能: 時・分表示、センターセコンド
直径: 25.6mm
厚さ: 3.9mm
パワーリザーブ: 約40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 24
価格 & 発売時期
価格: 各16万5000円(税込)
発売時期: 3月10日(金)午後11時(日本時間)から。 ※クロノ ブンキョウ トウキョウ公式サイト上での販売。購入の際は、事前に公式サイトにて要アカウント登録(登録無料)
限定: あり。各色150本限定
詳細は、クロノ ブンキョウ トウキョウのウェブサイトをクリック。