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Dispatch オメガ、1965年のNASA公式認定から60周年のアニバーサリーを祝う

オメガ スピードマスターと共に振り返る、宇宙飛行の過去・現在・未来。


今月初めに私はヒューストンへ飛び、スピードマスターがNASAの認定を受けてから60周年を迎えたことを祝うオメガのイベントに参加した。今回のような出張は実に興味深い。なぜなら、こうしたイベントが新作発表を目的としていないことは珍しいからだ。代わりに、このイベントはスピードマスターが宇宙飛行に関わってきた60年の歴史を振り返ると同時に、未来を展望する場となっていた。

 スピードマスターとNASAとの結びつきは私にとって、“時計マニア入門セット”の中核をなす物語である。なかでもRef.ST 105.003は、NASAが行った11項目に及ぶ過酷なテストすべてを唯一クリアしたモデルであり、現行のムーンウォッチのケースバックにも刻まれる“Flight Qualified for all manned Space Missions.(NASAによる全ての有人宇宙計画での飛行資格を取得)”の文言の根拠となっている。

Moonwatch on wrist

我々のツアーガイドの腕にはムーンウォッチが巻かれていた。彼はアポロ計画時代からNASAに勤務している人物である。

そのテスト内容は以下のとおりである。

  1. 高温テスト:70℃に48時間、その後93℃の部分真空下に30分さらす
  2. 低温テスト:−18℃に4時間さらす
  3. 真空テスト:真空チャンバー内で加熱後、−18℃で冷却するサイクルを複数回実施
  4. 湿度テスト:25℃から70℃までの温度変化と95%の湿度下で、24時間観測するサイクルを10回実施
  5. 腐食テスト:70℃の酸素環境下で48時間さらす
  6. 耐衝撃テスト:6方向から40Gの衝撃を加える
  7. 加速度テスト:5分間で7.25G、さらに3軸で30秒間16Gまで加速
  8. 低圧テスト:10^-6気圧(0.000001)の真空下に70℃で90分、その後93℃に30分さらす
  9. 高圧テスト:1.6気圧に60分さらす
  10. 振動テスト:5〜2000Hzの周波数範囲で3軸方向に8.8Gのランダムな振動を加える
  11. 音響テスト:40〜1万Hzの周波数で130デシベルの音に30分間さらす

 少なくとも自分にとって、時計のことをいちいち気にしすぎるのはもうやめようと思わせてくれる強力な気づきとなった。これほどの過酷なテストに耐えられるのなら、日常のちょっとした出来事なんて気にする必要はない。

Axiom space suit test

 旅の最初の訪問先はアクシオム・スペースだった。同社は、史上初の民間による国際宇宙ステーションへのミッションを成功させた企業であり、今後も数々のプロジェクトを控えている。なかでも注目すべきは、NASAのために開発されている次世代宇宙服、アクシオム船外活動用モビリティユニット(Axiom Extravehicular Mobility Unit)である。この関係性を鑑みるに、オメガがアクシオムの創設以来の公式パートナーとして選ばれたのは、何ら不思議ではない。

 ここでは現在テスト中の宇宙服、そのプロトタイプを見学する機会を得たほか、宇宙飛行士マイケル・ロペス=アレグリア(Michael López-Alegria)氏とも対面し、会話をすることができた。彼はスペースシャトルでの3回のミッションを含む計6回の宇宙飛行経験を持ち、最近ではアクシオムの民間宇宙飛行にも参加している。彼の腕には当然のように、スピードマスター X-33の第2世代が巻かれていた。これは現在もNASAとアクシオムで標準支給されている時計であり、宇宙船内で使用されることが多い。デジタルモジュールによる拡張機能がその理由である。しかしながら、船外活動において認定されているのは今もなおムーンウォッチであり、その重要性は変わっていない。

Space suite helmet
Axiom Logo embroidery
Chest plate of space suit
Using tool during spacesuit test.
Astronaut doing task
Black moonswatch wristshot

この日初めて目にしたムーンスウォッチは、アクシオムのチームメンバーの手首にあった。

Astronaut suit patch
X-33 Wristshot

マイケル・ロペス=アレグリア氏の腕には、幾度もの宇宙飛行に同行したX-33が巻かれていた。

 アクシオム訪問後は、リンドン・B・ジョンソン宇宙センターへと向かった。ここでは歴史ある当時のミッションコントロールセンターや、現在の国際宇宙ステーションのミッションコントロールセンターを見学した。そこで出会ったのが、来春に予定されているアルテミスIIの月周回有人飛行に向けて訓練中の宇宙飛行士、ジェレミー・ハンセン(Jeremy Hansen)氏である。そしてもちろん、筆者としては子ども時代の郷愁に応えるべく、最後はパリパリに乾燥したフリーズドライ(宇宙食)のアイスクリームサンドイッチで締めくくった。味はもちろんナポレオン(編註;ストロベリー、バニラ、チョコレートの3種が一層ずつ重なったアイスクリームのフレーバー)だ。

ISS testing center

宇宙船モックアップファクトリーでは、ミッション時のプランニングやクルーの訓練などを支援している。

Unity module
more of the ISS simulation
moonwatch on jacket wrist

クラシックなCal.1861 ムーンウォッチ。

man on crane
White 3861 Moonwatch on wrist

ホワイトラッカーダイヤルのムーンウォッチ(Ref.310.32.42.50.04.001)。私物だ。

3861 Moonwatch on wrist

Cal.3861搭載、サファイアサンドウィッチ仕様のムーンウォッチ(Ref.310.30.42.50.01.002)。

Space Shuttle cargo bay

スペースシャトルのカーゴベイ(ペイロードベイ)からの眺め。

Simulator for Artemis

アルテミスII用のシミュレーターをチェックしているところ。

Jeremy Hansen teaching

宇宙飛行士ジェレミー・ハンセン氏が、アルテミスIIの航路について説明してくれた。

Dark side of the moon speedmaster
Training in progress sign.
NASA doormat

このドアマットはギフトショップでは買えない。

Space center lobby

ビジターセンターに戻って、さっと昼休憩。

Speedmaster X 33 on display

ヒューストン宇宙センターに展示された2本のスピードマスター。いずれも豊かな歴史を有している。

Speedmaster Apollo 11
Historical mission control

歴史あるミッションコントロールセンター。

old mission control desks
old mission control screens
Mission Control
new mission control

現在のミッションコントロールセンター。

Space shuttle on plane

詳しくは、オメガの公式サイトへ。