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今週の時計業界にまつわるビジネスニュースとして、北米におけるオーデマ ピゲとパネライの幹部人事、そしてChrono24の新会長就任を追う。2021年にオーデマ ピゲの北米CEOとして着任したジニー・ライト(Ginny Wright)氏が、ロイヤル オークやCODE 11.59コレクションで知られるスイスの時計ブランドから退任する。同氏はビューティ業界からオーデマ ピゲに参画し、就任初年度で米国におけるブランドの小売拠点を倍増させたと、2022年にノラ・テイラーとのインタビューで語っていた。
ジニー・ライト氏。
昨年10月にHouse Of Craftにも参加していたライト氏は、ル・ブラッシュに拠点を置く同ブランドでの4年半の在籍を経て退任することをSNS上で認めた。「APアメリカズの卓越したチームとともに歩んだ旅を祝福したい」とライト氏はLinkedInに投稿し、「忘れがたい瞬間、仲間たちとの連帯感、そして共有した成果に感謝しています」と述べている。
後任には、直近でフランスおよびスペインにおけるオーデマ ピゲのマネージングディレクターを務めていたルイ=ガブリエル・フィシェ(Louis-Gabriel Fichet)氏が就任する予定であり、北米CEOの役割を引き継ぐとブランドは発表している。正式なアナウンスは今夏後半に予定されている。なお、同ブランドは家族経営の独立企業であり、スイスの時計メーカーとしては売上高で第4位に位置する。モルガン・スタンレーおよびリュクスコンサルトの推計によれば、2024年には約3%の増収となり、売上高は約24億スイスフラン(日本円で約4325億円)に達したとされている。
ルイ=ガブリエル・フィシェ氏。(Image Source: Forbes España).
リシュモン傘下のパネライでは、北米ブランドプレジデントであるフィリップ・ボネ(Philippe Bonay)氏が、年内をもって退任することが明らかになった。これは同氏による目覚ましく、かつ多大な影響を及ぼしたリシュモン在籍期間の終わりを意味する。後任についてはまだ発表されておらず、広報担当者がその事実を認めている。ボネ氏はリシュモンに28年間在籍し、そのうち約14年間をパネライで過ごした。同氏はイタリア発のダイバーズウォッチブランドであるパネライの売上拡大に大きく貢献した人物であり、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、アーノルド・シュワルツェネッガーやシルヴェスター・スタローンといった映画スターたちの屈強な手首につけられたことで、ブランドの知名度が一気に高まったことでも知られている。
2023年には、ニューヨークで開催されたHODINKEEのイベントにおいて、ボネ氏はパネライのブランドとその歴史について詳しく語っている。なお、ボネ氏はパネライ以外のリシュモン傘下ブランドでも要職を歴任しており、ジャガー・ルクルトではレベルソやトリビュート 1931 USエディション、ジオフィジック 1958といった重要なモデルの開発に携わった実績を持つ。さらにA.ランゲ&ゾーネの北米プレジデントを務めたほか、フランスおよびアジアでの経験も有している。なお、スイスの銀行ヴォントベルの推計によれば、現在パネライはリシュモングループ内で第6位の売上規模を持ち、ピアジェやA.ランゲ&ゾーネを上回るものの、ジャガー・ルクルト、IWC、ヴァシュロン・コンスタンタンには及ばないとされている。
フィリップ・ボネ氏。
最後にChrono24についてだが、eコマース業界で長年の経験を持つトビアス・ハルトマン(Tobias Hartmann)氏が取締役会の会長に就任した。これにより共同創業者のティム・シュトラッケ(Tim Stracke)氏が務めていたポジションを引き継ぐこととなる。シュトラッケ氏は今後も取締役会メンバーとして引き続き参画する予定だ。ハルトマン氏は以前、ドイツの上場オンラインマーケットプレイス企業であるScout24 Group SEの最高経営責任者(CEO)を務めており、同社は自動車および不動産分野のプラットフォームを傘下に持つ。
Chrono24の新ロゴ。
またLinkedInの情報によれば、同氏はHelloFreshやeBayでも幹部職を歴任している。シュトラッケ氏は2024年1月までChrono24の共同CEOを務めていたが、その後ザランド出身のカーステン・ケラー(Carsten Keller)氏が最高経営責任者のポジションを引き継いだ。シュトラッケ氏はこの異動についてLinkedIn上で発表し、「取締役会長として独立した視点が必要だった」と述べている。
Chrono24は常時50万点を超える時計の掲載を誇る世界最大の腕時計専門売買プラットフォームであり、最近ではロゴとタグラインを刷新してブランドの再構築を図った。同社は過去に株式上場(IPO)を検討していたが、金融市場の混乱と中古高級時計の価格下落を受け、計画は一時的に棚上げとなっている。なお、2021年には1億1800万ドル(日本円で約170億円)の資金調達を実施し、当時の企業評価額は10億ドル(日本円で約1450億円)超と報じられた。同社の株主にはシュトラッケ氏のほか、複数のプライベートエクイティファンドが名を連ねている。また、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)氏やF1ドライバーのシャルル・ルクレール(Charles Leclerc)氏といった著名人も投資家として参加している。
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