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Hands-On シチズン 暗闇のダイバーに光を当てる

暗闇のなかのプロマスター "フグ(Fugu) "ダイバーは、シチズンの新作で最も明るい印象を与える。


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ユタ州ミッドウェイにある「クレーター」と呼ばれる地熱温泉の高さ55フィート(約16m76cm)の天井にある小さな穴から、ひと筋の光が差し込んでいる。この温泉は深さ65フィート(約19m81cm)の、カルシウムを豊富に含むブライトブルーの水のプールで、年間を通して35℃の温度を保っている。光は底まで届くが、ぎりぎりだ。太陽が高い位置にあるときでも、水底はずっと薄明かりが続いている。トラバーチンの岩やほかのダイバーが見える程度には明るいが、目の前の細かいものが見えなくなる程度には暗い。クレーターの底は、ミネラル豊富なプールを満たす泉の流れによって常にかき混ぜられた泥の枕のような層でできている。クレーターの底でスキューバダイビングをすると、「動く球体」の青い輝きと泥の大渦巻きのあいだで、おそらく地球内部に潜るような感覚を味わえるだろう。

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 しかし、それは同時に平和で穏やかなものでもある。35℃の海水は、あなたを超リラックスした状態へと誘う。野生生物を見ることもなく、強い潮流を心配することもない。そしてこの前の月曜日の午後は、時計の夜光をどうしたら光らせられるかだけが課題だった。ダイビングライトSofirn SD02Bを手に、シチズンの新しい"フグ"プロマスター ダイバーを試したところ、その明るい全面発光の文字盤に、私は夜光の魔法にかけられたような気分になった。

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新作の "フグ"

 シチズン プロマスター ダイバーズ オートマチック NY0155-58Xは、ステルス感満載だ。44mmのケースとブレスレットにはブラックIPが施され、文字盤はフル夜光。内部には不動の手巻き付きの自動巻きシチズン(またはミヨタ)8204が搭載されている。この時計で最も珍しいのはレフトハンドのリューズの配置だろう。「デストロ(destro)」のレッテルは免れているが、それはたぶん8時位置に配置されているためだと思う。

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 この時計を面白くしているのは、その文字盤だ。タグのアクアレーサー ナイトダイバーのように、フル夜光のダイヤルを採用した現代の時計はいくつかあるが、それはまったく別の価格帯の話だ。695ドル(約9万4000円)なら、シチズンはとてもいい買い物だと自信を持って言える。500ドル以下における新品という日本製実力ウォッチの時代は終わったのだ。セイコーのLXや少し高級なシチズンなど、この新しい世界では、695ドルでの日本製ウォッチはまったく妥当な価格と言えるだろう。そして、それについての最もよい事は、地元のメイシーズ(Macy's)に行けば1本買えるかもしれないということだ。皮肉ではない。アメリカ人がデパートからあらゆるものを買っていた時代にはロマンチックなものがあり、もしあなたが思い出の道を旅して新しい時計と一緒に帰ることができるなら、それもいいのではないか。

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 この時計はSKXダイバーのような装着感だが、ケースのプロフィールが非常に似ているため、特に驚くことではない。ベゼルグリップはベゼル全体を包むのではなく、ベンチメイド(Benchmade)やスパイデルコ(Spyderco)のナイフのギザギザのような溝が深く刻まれた部分がある。操作はしやすいが、ベゼルの数字のコントラストはもう少し改善したほうがいいと思う。明るい日中でも見づらい。写真ではわかりにくいが、実際は少し着色されてグレーアウトしているので、読みにくい。ブレスレットのジャンク度はゼロで、クラスプのデザインも優れている。

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 ダイビングやウォーターレジャーのためのオルカ(Orca)やEco-Zillaのファンキーで奇抜なデザインはとても気に入っているが、これらは毎日身につけるような時計ではない。このNY0155-58Xの最大の魅力は、カジュアルウォッチとダイビングキットのふた役をこなせることだ(オールブラックモデルの愛称を誰か考えて欲しい。「Fugu」というニックネームは全体にあたる)。これはSKX007に対するシチズンの直接的な答えだと思う。200m防水をはじめとするスペックは、生産中止となったクラシックモデルに匹敵するものだ。もしあなたが伝説のセイコーのファンなら、NY0155-58Xの全パッケージを楽しむことができるだろう。部族主義を無視して、スターウォーズとスタートレック、それぞれのよさを味わう。シチズンもセイコーも同じことなのだ。

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 そして、この時計の文字盤以外の一番の見どころは? ケースバックに施された幻想的なフグのエングレーヴィングだ。この魚の身にはテトロドトキシンが含まれており、食べる前に適切な調理をしなければ、簡単に人間を死に至らしめることができる。日本ではフグと呼ばれ、珍味とされている。提供するには特別な訓練が必要なのだ。

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暗闇のなかでこそ、最も輝く
michael angelo

 クレーターを実験場に選んだのは、暗い環境で夜光の輝きを存分に味わいたかったからだ。水中に入ったら計画は簡単だった。水深65フィート(約19m81cm)までまっすぐ降下し、水中で最も暗い場所で懐中電灯や時計とたわむれ、洞窟の周囲を一周しながら上昇するのだ。この世界の外の人には、とてつもなくオタク的で奇妙に聞こえるかもしれない。でも、暗闇でダイビングライトの光を20秒ほど腕時計の文字盤に当て、それを止めたあとに文字盤が暗闇を照らすのを見るのは、癒しに近いものがあるのだ。これまで水中では味わえなかったような、子どもの頃の喜びに近いものがある。感覚が麻痺していくようなタンクの癒しと同時に、明るいキャンプファイヤーへの熱望が沸き起こるようなものなのだ。

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 実生活でもダイビングでも相棒であるウィル(Will)と私は、水底で時計とSofirn SD02Bライトをいじっているだけで1500psi分の空気を使い果たし、この記事の写真を撮影したジェームス・ロウ(James Roh)は、低照度のなかで素晴らしい写真を撮ってくれた。30代の3人が、水源の底で光る時計やそのほかのガジェットをいじって、必要以上に楽しんでいたのだ。

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 それがシチズン NY0155-58Xのよさだ。この時計はリーズナブルな金額で、とてつもない楽しさを味わせてくれる。最近シチズンの新作のリリースはアツいが、私にとってNY0155-58Xは最も輝いている時計だ。

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HODINKEE Shopはシチズン時計の正規販売店ではありませんが、シチズン時計と提携して素晴らしいコンテンツを制作しています。最近当ブランドとパートナーシップを組んで制作したビデオコンテンツ「シチズン プロマスター ジャーナル シー: 第4話 William Drumm」をご覧ください。また、シチズンの時計はこちらでご覧いただけます。