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休日に新しい腕時計を手に入れたんだ。おめでとう、素晴らしいことだ。さて、その時計が破産するほど高価でなかったならトイレに落とさないようにし、防水時計であれば……、きれいなトイレにだけ落とすようにしよう。しかし、その時計の価格があなたを少し、もしくは大いに脅かすものなら、小さな相棒のために何らかの計画を立てる必要がある。自分の子供をどこの保育園にも預けられなかったときのように、腕時計を放置したまま、夕日のなかを口笛を吹いて歩き去ることはできないだろう。しかし、きちんと管理することで、今日の楽しみが明日、来週、来年へと続き、もしかしたら次の世代にまで受け継がれるかもしれない。
ここで、やるべきことをリストアップしてみよう。時計を身につける前に、これらの項目をひとつひとつ神経質に確認していく必要はない。これらのリストのほとんどは、新たに購入した時計を楽しみながらチェックをつけることが可能だ。
1. 防水性能を正確に把握する
まず第1に、ウォータープルーフとは古い言葉であり、完全防水のものは存在しないため現在では誰も使っていない。アメリカでは、FTC(連邦取引委員会)がこの言葉の使用を禁止している。 なので、ウォータープルーフと言っても初心者のうちは許されるかもしれないが、そろそろウォーターレジスタンス(防水)と言い換えるべきだろう。
時計のケースバックや文字盤には、相対的な防水性を知らせる数字が書かれている。しかしその数字は、“××ということは、水の中で△△ができる”というような単純なものではない。 これは難しいトピックであり、 その時計の使用目的を考慮するのが賢明だ。30m防水のドレスウォッチは水に濡れることを想定していないだろうし、100m防水のスポーツウォッチでリューズがねじ込み式であれば、ダイビング中にも使用できるだろう。
一般的に、30mは日常生活(ただし、レザーやスエードストラップのモデルは除く)、50~100mは水泳用、200~300mは趣味や観光としてのダイビング用、300m以上の防水性能はダイビングを生業とする場合に必要とされる。プッシャーなどのパーツは時計によって異なるものの、ほとんどは水中で押してはいけない。しかし、なかには水圧下で使うことを想定して設計されているものもある。例えばオリスやブランパン、タグ・ホイヤー、そしてジンは、水中でも使用できるクロノグラフを製造している。
塩素の入った水や海水で泳いだあとは、真水で時計を洗い流すようにすることだ。両者に含まれる成分は金属を腐食させ、パッキンを硬化させる可能性がある。ダイバーズウォッチには気密性を保つために、ゴム製のガスケットが使用されている。このガスケットは使用しているうちに摩耗することがある。もしあなたが時計を手に入れ、その来歴を知らないのであれば、時計屋か修理工に水圧テストをしてもらうといいだろう。あと、水泳やダイビングの前には必ずリューズがしっかりとねじ込まれていることを確認して欲しい。
2.保管場所を決める
これはまさに、“言うは易く行うは難し”だろう。私は自分の時計を、ドレッサー上の木製トレイに乗せている。しかし、HODINKEEの仲間たち(全員ではないが、その多くが私よりずっといい時計を持っている)が私と同じか、あるいはもっと悪い保管方法をとっているのを見て、驚くと同時に少しばかり憤りを感じた。
クリスマスに素敵な時計を手に入れたので(ありがとう、私。太っ腹だ!)、私の新年の抱負のひとつはそれを置くのに便利な何かを探すことになった。最終的に私は、HODINKEEで愛らしいバレットトレイのひとつを購入することにしたのだ……、秘密にするつもりもなく、私はここで働いている。でも、こんなにかわいらしいものでなくても大丈夫だ。靴が入っていた箱の蓋を古いTシャツで包んで、ドレッサーの上に置いても問題ない。
高級時計のディーラーであり、グラールの創設者でもあるゾエ・アベルソンはウォッチスタンドを愛用している……、ザ・ウォッチスタンドの。「大理石で品質もよく、きれいにディスプレイできるうえに、傷がつかないように配慮されているの」と、彼女は語っている。
直射日光は変色の原因になるが、それには数年を必要とする。ゆえに、数年間、直射日光のあたる場所に時計を放置するのはやめておこう。高温多湿を避けて保管できるとなおいいが、空調管理さえできていればエアコンが空気中の湿度を取り除いてくれるので問題ない。
ウォッチワインダーに関しては便利ではあるが、必要ではない。もし、永久カレンダーつきの時計を持っているなら話は別だ。その場合はいちいちリセットするのを避けるため、買っておいたほうがいいだろう。
3. 磁石に注意
2000年代前半から現在までの腕時計は、iPhoneの磁力に耐えられるものがほとんどだ。シリコンや非鉄金属(鉄を含まない)のおかげで、磁石で時計の内部がめちゃくちゃになるリスクは小さくなっている。ただし、大きなスピーカーなどには注意が必要だ。普通のスピーカーなら心配いらないが、トランクにサブウーファーを2台積んでいる状態で、手に入れたばかりのヴィンテージ ホイヤーの時計をつけたままジムバッグを取ろうとしたら、台無しになる可能性がある。また、iPhoneにも気を配ったほうがいい。片手で持って話すか、アリアナ・グランデのような有線ヘッドホンを購入しよう。あるいは、磁気を吸ってオレンジ色を噴き出すミルガウスを買うという手もある。しかし、これは最も有名な耐磁性時計というだけで、ほかにも数多くのモデルが該当する。
4.素敵な旅行中、時計をどうするか考えておく
もし、旅行中に腕時計をつけたくない、あるいはお気に入りだからと予備の腕時計を持ち歩くのであれば、トラベルケースを用意したほうがいいだろう。HODINKEEでは、このようなケースを販売している。こちらは本当に素晴らしい革製のトラベルチューブ(ブラック)、そしてこちらはワックスドキャンバスのトラベルケースだ。
もし「Amazonで何か買えないかな」と思っているなら、それも可能だ。アベルソンは、Cheopzの“腕時計&スマートウォッチ用トラベルウォッチケースシングルストレージボックス”を愛用している。50mm径までの腕時計にフィットし、その役目を十分に果たしてくれる。「こういうものは落としても大丈夫だし、ほかのものと一緒にスーツケースに詰めてもいいし、素晴らしいわ。そして何より、安いのよ」と彼女は言う。
5.普段の生活や、時計をつける場所、つけたくない場所を考えてみる
さて、腕時計の盗難は増えているのだろうか。答えはNOだ。あなたの時計が今日盗まれる可能性は特に高いわけではないし、かなり高価な時計でもなければ、それを盗みそうな人物が心躍らせることはないだろう。「私は基本、コートや長袖を着ない限り、公共の交通機関でゴールドを身につけることはないわ」とアベルソンは言う。「でも、私はすべての時計に保険をかけているから、気をつけることはあってもパニックになるようなことはないの」とも。
アベルソンは、細心の注意が必要なブランドとしてロレックス、AP、カルティエを挙げており、それ以外はおそらく大丈夫だと言う。私も同感だ。私のグランドセイコーを誰かが持ち逃げするのは不愉快だし、私にとっては大金だったが、ステンレススティール製だからメガブランドだとはわからないし、私自身つけていてそのことを忘れてしまう。でも、保険には入った!
6.保険に入ることを検討する
時計の保険料は住んでいる地域によって異なるが、参考までに私の場合は4800ドル(約62万3000円)の時計の1年間補償に約65ドル(約8500円)を払った。この保険は盗難や紛失に加え、アスペンの自宅のために購入した巨大な雪上車で轢かれる、動物園で猿に食べられる、などのトラブルをカバーするためのものだ。郊外の都市でひとり1杯飲む程度の外食費があれば、これだけの安心感が得られる。さて、もしあなたの時計が私よりずっと高価なものであれば、保険に入るという考えはあなたにとって苦痛かもしれない。しかし、もし自分の時計に何かあったとき、払った代金や検討にかけた時間、そして購入を決意するまでに費やしたすべてを失ったとしたらどうだろう。それはもう、友よ、痛恨の極みだ。
新しく手に入れた1本が、所有している多くの時計のうちのひとつにすぎないとして、それらすべてに保険をかけようとするのはあまりにも負担が大きすぎる。自分の時計に起こりうる損失を防ぐために、別の時計に使うつもりだったお金を積み立て、最も大切な1本に保険をかけることを検討してみて欲しい。それだけの価値がある投資か判断するために、あなたが本当に痛手だと感じることについて考え、見積もりだけでもとってみようではないか。