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Introducing H.モーザー エンデバー・スモールセコンド トータルエクリプス×アーモリー 2022年新作(編集部撮り下ろし)

世界で最も黒いダイヤルに新たな仕掛け。H.モーザーとアーモリーの新しいコラボレーションはベンタブラック®︎の限界を超える。


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我々が知っていること

H.モーザーはAC/DC(オーストラリア出身のロックバンド)を見習ったのだ。新年早々、同ブランドはブラックに回帰し、メンズウェアで有名なアーモリー(The Amoury)との新しいコラボレーションウォッチを発表した。しかし、音楽への言及はこれだけにとどまらない。この時計の正式名称はエンデバー・スモールセコンド トータルエクリプス(皆既日食)で、エンデバーのケースにクラシックな懐中時計からインスピレーションを得たデザインを施した38mmサイズのモデルだ。さらにダイヤルには光の99.965%を吸収するベンタブラック®︎と呼ばれる超暗色の独自素材が使用されている。

 このパートナーシップの開発において重要な役割を果たしたのは、H.モーザーのCEOであるエドゥアルド・メイラン(Edouard Meylan)氏とアーモリーの共同設立者でHODINKEEの友人でもあるマーク・チョー(Mark Cho)氏だ。二人はニューヨークでミーティングを行い、このタイムピースのルック&フィールを考案した。その結果、クラシックとモダンを融合させたふたつのバリエーションが誕生したのだ。儚げなべンタブラック®︎(前述のパーセンテージに納得がいかない人のために。それは本当に真っ黒なのだ)のダイヤルには、小さなアプライドインデックス、ミニマルなスモールセコンド、そしてブレゲ針が配されている。レザーストラップはアーモリーチームによって特別にデザインされたもので、2種類の異なるテクスチャーが深みを与えている。

H. Moser x The Armoury Endeavour Small Seconds Total Eclipse on wrist

 ふたつのバリエーションは、それぞれ28本限定(要するに合計56本)だ。ひとつはオールステンレススティール製、もうひとつはSSとレッドゴールドのコンビネーションだ。どちらも手巻きCal.HMC327を搭載している。ベンタブラック®︎のダイヤルとメタルのインナーベゼルの組み合わせはスティールとゴールドがあり、前述の皆既日食のイメージを意図している。この時計はニューヨークと香港のアーモリーの店舗、およびアーモリーとH.モーザーのeコマースで販売される予定だ。

我々が思うこと

 これこそH.モーザーの真骨頂と言えるだろう。つまり、時計の実験場で遊び、想定を覆し、素材とその限界に挑戦するのだ。H.モーザーはベンタブラック®︎をよく知るブランドだ。実際、Apple Watchを模倣したジョークに近いタイムピースなど、これまでに何度か使用している。しかしこの作品はコラボレーションによるもので、ブランドの独断と偏見でジョークのようなものにするわけにはいかない。だが、同ブランドのファクトリーからおもしろいコラボレーションが生まれなかったわけではない。昨年はseconde-secondeとのパートナーシップにより、ピクセル消しゴムウォッチが誕生した。もちろんアーモリーがseconde-secondeではないことは言うまでもないが(と私は思っている)。これは侮辱的な意味ではなく、ただの事実だ。

H. Moser x The Armoury Endeavour Small Seconds Total Eclipse flat lay

 そう考えると、今回のコラボレーションにはおそらく予想できたことがあったはずだ。アーモリーの共同設立者であるチョー氏は、以前にも'dinkに登場し、カルティエ タンクへの愛と、時計のサイズについて意見を述べたことがある。若い消費者にクラシックなメンズスタイルを提供することに熱心な彼にとって、小振りなタイムピースは必要不可欠なものだった。40mm以上はありえない。ダイヤルデザインも同様だ。ミニマルでシンプル、そしてまたクラシックなものでなければならない。

 今回のコレクションには、それらの要素がすべて盛り込まれているが、ひとつだけ大きな特徴がある。ベンタブラック®︎のダイヤルだ。カーボンナノチューブで光(すべての光)を吸収する現代的な素材が使われている。写真では伝わりにくいし、実際に見てみないとわからない効果だ。この独自の素材を採用したことについて、プレスリリースでチョー氏は次のように語っている。

 「私にとって、H.モーザーのフュメダイヤルとベンタブラック®︎ダイヤルは象徴的な存在であり、どちらかをデザインの起点にしたいと思いました。すぐにベンタブラック®︎が気に入り、ダイヤルに何かマークを加えようと思いつきました。私のデザインパートナー、エリオット・ハマー(Elliot Hammer)は、皆既日食をテーマにしたデザインを提案しました。こうしてエンデバー・スモールセコンド トータルエクリプスが誕生したのです」

H. Moser x The Armoury Endeavour Small Seconds Total Eclipse on wrist

 彼の言うダイヤルのマークは一見シンプルに見えるが、実はかなり複雑な作り方をしている。その結果は今回のリリースで最も興味深いものになった。それがベンタブラック®︎の限界への挑戦だ。H.モーザーは過去にマーカーをまったく使わないベンタブラック®︎モデルを発表しているが、それには理由がある。触れただけで傷がついてしまうしまう素材だからだ。同じプレスリリースでブランドは、カーボンナノ構造でできたベンタブラック®︎は、ほかのものと接触することができないと述べている。そのため、この小さなマーカーをダイヤル表面に施すために特別な技術を開発する必要があったわけだが、もちろん成功したようだ。

 このダイヤルに見られるクラシックとモダンの対極性は単に美しさだけでなく、とてもよく考えられていると感じられる点が魅力的だ。ナノチューブを使ったものにブレゲ針とクラシックなスモールセコンドを組み合わせるというのはとても斬新なアイデアだ。H.モーザーとアーモリーのチームはそれを見事に実現した。

H. Moser x The Armoury Endeavour Small Seconds Total Eclipse

 メタルインナーベゼルの上でベンタブラック®︎が皆既日食を表しているというコンセプトは、私にはちょっと難しいが、その創造性と詩情は評価したいと思う。たとえ、その歌が頭から離れなかったとしても。

 この時計を手にする機会を得てはっきりしたことがある。38mmのエンデバーケースは極めてすばらしいということだ。これは私がこれまで出合った時計のなかで最も好きなケースのひとつだ。これからもこのサイズ、このスタイルの時計を作り続けてほしいと思う。

H. Moser x The Armoury Endeavour Small Seconds Total Eclipse pocket shot

 さて、この真っ黒なダイヤルから目を離す理由はないはずだが(実際、どんな光の下でも真っ黒)、裏側にあるムーブメントも負けてはいない。サファイアクリスタルのケースバックの裏側には、HMC 327がぴったりと収まっている。

H. Moser x The Armoury Endeavour Small Seconds Total Eclipse HMC 327 movement

 ブランドを知っている人なら予想がつくだろうが、これらの時計は決して安くない。何しろアヴァンギャルドなオートオルロジュリーの世界なのだから。2本とも330万円(税込)。つまりレッドゴールドの価格アップはない。これはいいことではないだろうか?

 昔は光があったのに、今はベンタブラックの闇しかない。何も言うことのない、この作品は心のなかの完全な日食なのだ。以上、決まった…。

H. Moser x The Armoury Endeavour Small Seconds Total Eclipse flat lay reflecting in the sun
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基本情報

ブランド: H.モーザー(H. Moser & Cie.)
モデル名: エンデバー・スモールセコンド トータルエクリプス(Endeavour Small Seconds Total Eclipse × The Armoury)
型番: 1327-1200 (スティールモデル)、 1327-1201 (スティール/レッドゴールドモデル)

直径: 38mm
厚さ: 9.9mm
ケース素材: SS製
文字盤色: ベンタブラック®︎
インデックス: アプライド
夜光: なし
ストラップ/ブレスレット: ブラックのカーフレザー

H. Moser x The Armoury Endeavour Small Seconds Total Eclipse case profile

ムーブメント情報

キャリバー :自社製HMC 327
機能: 時・分表示、スモールセコンド
直径: 32mm
厚さ: 4.5mm
パワーリザーブ: 約3日間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 1万8000振動/時
石数: 29
クロノメーター認定: なし


価格・発売時期

価格: 330万円(税込)
販売時期: 販売中(日本への入荷時期未定)
限定: あり。各28本

All photos, Kasia Milton

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詳しくはH.モーザー、およびアーモリーの公式サイトをご覧ください。