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クイック解説
アブラアン-ルイ・ブレゲは、時計製造においてデザインから複雑機構まで多岐にわたる重要な革新的技術を発明したことで知られ、時計の歴史を200年早めたともいわれる時計師です。パーペチュアルカレンダー、パラシュート(衝撃吸収装置)、リピーターウォッチのゴングといった機構からブレゲ針やギヨシェ彫りのようなデザインなどが挙げられ、発明のいくつかは今日の時計製造においても使用されているものです。
2021年は、そのアブラアン-ルイ・ブレゲが発明した傑作のひとつであるトゥールビヨン・レギュレーターの特許が取得されてから220周年を迎える年です。ブレゲは、この節目を記念してクラシック トゥールビヨン エクストラフラット アニバーサリー 5365を発表しました。
同社の超薄型自動巻トゥールビヨンウォッチとして知られるクラシック トゥールビヨン エクストラフラットシリーズは、これまでいくつかのバリエーションがリリースされてきました。
まず、文字盤上18時30分位置にパワーリザーブを備え、全体に伝統的なギヨシェが施されたクラシック トゥールビヨン エクストラフラット オートマティック 5377、次に同社のグランドコンプリケーションシリーズで初めてグラン・フーエナメル文字盤が採用されたクラシック トゥールビヨン エクストラフラット オートマティック 5367、さらに最後にスケルトン加工が施されたクラシック トゥールビヨン エクストラフラット スケルトン 5395です。
新作のクラシック トゥールビヨン エクストラフラット アニバーサリー 5365は、シリーズの系譜を受け継いでいるため一見するとお馴染みのモデルのように感じるかもしれませんが、仔細に見ていくとこのモデルのためだけの特別な意匠や仕上げが与えられていることがわかります。
ケースは、シリーズ共通サイズの直径41mm。全面に鏡面仕上げが施された18Kローズゴールドを採用しています。ケース厚はわずか7mmで、ケースバンドには、同社の時計には欠かせないコインエッジと呼ばれる細かなフルート模様が施されています。ケースから伸びるラグは控えめで、全体的にエレガントなデザインです。
これまでのモデルと最も顕著な違いが現れるのは文字盤です。グラン・フーエナメル文字盤を備えた5367と同様にパワーリザーブインジケーターのない構成で、二つのギヨシェパターンが採用されています。ダイヤル中央部にはクル・ド・パリ装飾が、外周にはグレンドルジュ模様(麦粒模様)が見えます。
どちらも同社の代表的なギヨシェ装飾のパターンですが、本機ではブレゲで最も細かいパターンが用いられています。これらは、わずか0.25 mm間隔で交錯するラインを刻んで作り出されており、ブレゲによるとこの非常に微細な装飾によって時刻を読み取る際の一般的な距離にあたる50cmのところから見たときには、マット仕上げであるかのように錯覚させ視認性の向上につなげているのだといいます。
4時と6時位置の間に配されているトゥールビヨンもこれまでとは異なる点です。トゥールビヨンのためのアッパーブリッジは、ブレゲ針と同様にブルースティールによるもので、これはクラシックコレクションでは異例の仕上げです。トゥールビヨンのすぐ上には、220年前に創業者ブレゲの発明に対して与えられた特許番号を示す"Brevet No157"という文字も配されています。
時計を裏返すと超薄型自動巻きCal.581がトランスパレントバック越しいっぱいに現れます。わずか7mmの厚さのケースのなかには、たった3mm厚のムーブメントが搭載されています。これを実現するのは、外周のペリフェラルローター。巻き上げ効率を高めるためプラチナ製で、"BREGUET"の文字と波模様のギヨシェが施されています。また、ローターはリング形状であるため、厚みを抑えるだけでなくムーブメントのブリッジもすべて見せることができます。忘れてはならないのは、このモデルが220周年記念のアニバーサリーウォッチであるということ。アブラアン-ルイ・ブレゲに敬意を表して1801年6月26日(共和暦第9年メシドール7日)に特許を取得したトゥールビヨン・レギュレーターの水彩による機構図を忠実に再現した手彫りの装飾が、ブリッジに施されています。
香箱には"Anniversaire 1801-2021"、裏面のトゥールビヨンブリッジには"Brevet No 157 Du 7 Messidor An IX"と記され、もちろんムーブメント全体には、同社のハイエンドウォッチに期待される美しい面取りが施されています。本機は、アブラアン-ルイ・ブレゲが生涯を通じて製作したトゥールビヨンウォッチにちなんで35本のみの限定生産で、価格は1927万2000円(税込)です。
ファーストインプレッション
トゥールビヨン誕生から220周年を迎える今年、ブレゲは一体どんな時計をリリースするのだろうとわくわくしていました。昨年は、クラシック ダブルトゥールビヨン 5345 "ケ・ド・ロルロージュ"というユニークかつ非常にコンテンポラリーなモデルをリリースしていたからです。プレスリリースを受け取ってレンダリング画像を見たとき、ブレゲらしい控えめなそれでいてとても洗練され時計が登場したなという印象を受けました。同時に前にも見たことがあるような気もしましたが、それもそのはず、クラシック トゥールビヨン エクストラフラットの新バリエーションだったからです。ただこれまでと同じかというとそれは違いました。
実機を手にとってまず驚いたのはその文字盤。個人的には、ブレゲ = トゥールビヨンというイメージと同じくらいブレゲ = ギヨシェというイメージを持っています。表面に繊細な凹凸模様が彫り込まれた文字盤は、規則的なパターンが光をあらゆる面で捉え、見る角度によって透明感のある質感からマットな質感まで豊かな表情を見せます。加えて、ただ美しいだけでなく、鏡面仕上げの文字盤に比べて経年変化に強いという特性も備えます。また、2世紀以上も前の懐中時計においては、精度を低下させるおそれのあった微細な埃を文字盤上に拡散させないために必要な装飾でもありました。
新作のクラシック トゥールビヨン エクストラフラット アニバーサリー 5365に施されているギヨシェは、ルーペを使ってようやくその全貌が明らかになるほど細かいもの。ギヨシェ自体は多くの時計メーカーが採用していますが、ブレゲのそれは業界でも特に高い品質を実現していると思います。ギヨシャージュ(Guillochage)部門の職人たちによって、何世紀も前に使われていたローズ・エンジンと呼ばれる伝統的な円形の装飾用旋盤を用いて作られます。作業工程は、最初から最後まで手作業で、まさに熟練の技術が要求されるのです。
そしてトゥールビヨン。現在はさまざまなブランドが手掛ける機構であり、一部のブランドは、製造工程の多くを機械化することで、比較的安価なものを手に入れることもできるようになってきました。ブレゲが発明した当時は、すべて手作業で作られていたわけですが、実のところ現代の工作機械を用いて精密に切り出した部品を用いた方が精度が出やすく、トゥールビヨンの本来の目的としては、理にかなっているという説もあります。仕上げなどに人間の手が介在するほど、精度を出すのは難しくなっていくというのです。
写真からもわかるようにブレゲの妥協は一切なく、仕上げと精度が最高の状態で共存しているのです。また、珍しいブルースティールのアッパーブリッジは、鮮やかで光沢感があり、自然とトゥールビヨンに目を引かせるよいアクセントにもなっています。Cal.581は、シリコン製ホーンのインバーテット・ラテラルレバー脱進機やシリコンひげゼンマイなど最新の素材が用いられ、パワーリザーブも80時間と現代的な仕様です。
クラシック トゥールビヨン エクストラフラット アニバーサリー 5365は、アブラアン-ルイ・ブレゲが愛した意匠が随所に施されたエレガントなトゥールビヨンウォッチです。その実現には同社が長い歴史のなかで培ってきた美意識と熟練の職人による技術、ムーブメントに関するノウハウなど、持てるすべてが融合されています。創業者が確立したブランドの基準を再確認できるようなまさに220周年にふさわしいアニバーサリーピースなのです。
基本情報
ブランド: ブレゲ(Breguet)
モデル名: クラシック トゥールビヨン エクストラフラット アニバーサリー 5365(Classique Tourbillon Extra-Plat Annivesaire 5365)
型番: 5365BR/15/9WU
直径: 41mm
厚さ: 7mm
ケース素材: 18Kローズゴールド
文字盤色: シルバー(クル・ド・パリとグレンドルジュ模様の手彫りギヨシェ)
インデックス: ローマ数字
夜光: なし
防水性能: 3気圧(30m)防水
ストラップ/ブレスレット: ローズゴールド製トリプルフォールディングバックル付き、ブラウンのアリゲーターストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: Cal.581
機構: 時、分、トゥールビヨン
直径: 36.19mm(16リーニュ)
厚さ: 3mm
パワーリザーブ: 80時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 33石
クロノメーター認定: なし
追加情報: 6姿勢で調整済み
価格 & 発売時期
価格: 1927万2000円(税込)
発売時期: 発売中
限定:世界限定35本
詳細は、ブレゲ公式サイトへ。