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さて、今回はかなり特別なものを紹介しよう。僕はゴールドウォッチ全般を継続的に調査しているが、いわゆる定番以外のオプション、既知のモデルに代わる選択肢の方が素晴らしいものが多いことに気づいた。それらを検討するのは賢明な動きかもしれない。僕が見てきたものの中で、思いも寄らない非常に高評価なものをお探しなら、過去数年間ではブルガリほどインパクトを与えたブランドはあまりない。
超スリムかつスタイリッシュで、本質的にイタリアンな唯一無二のオクト フィニッシモは、どんな装いにおいてもBMWに対するアルファ・ロメオのようなものだ。それは実用性やブランディングより、デザインのロマンスと魅力を優先したあり方である。しかし問題は、このゴージャスなオクト フィニッシモが内包している有り余るイタリア感について語り尽くせないほどである一方で(もちろんそうするつもりだが)、間違いなく、ブルガリにはスプレッツァトゥーラ(伊語:Sprezzatura。追求された無頓着)な特徴があるのだ。
上記の僕の心情はどんなオクト フィニッシモに当てはまるかを検証するため、個人的ば好みでフルローズゴールド(Ref. 102912)のオクト フィニッシモ オートマティックを腕に乗せた。ハイキーとローキーをこのような優雅さでミックスできる時計はあまり経験したことがないのは正直な感想。一見すると、テクスチャーのある角張ったゴールドケースがインパクト大だが、同時に手首に薄く収まりもする。オクト フィニッシモコレクションのどれにも、これほどの繊細さがあるわけではないが、ゴールドのケースにフルゴールドブレスレット付きの本機は、金無垢ウォッチとは思えないつくりが個性を放っている。もしあなたが、この形は好きだがもっとローキーを醸したいというのであれば、スティールバージョンもあることを強調したい(しかし今回はゴールドについて語る)。
いやあしかし、この子は実に薄いのだ。ブルガリは5mm強といっているが、それはきっとケースのみのサイズで、僕はベゼルを含めて6mmだと読んでいる(サファイアクリスタルは横から見ると同じ高さについている)。四角いケース、ウエファーのようなプロファイル、よくマッチしたブレスレットは、僕のコレクションの中で最も洗練された中でも飛び抜けて存在感がある。皆さんは薄い時計を1つか2つは試着したことがあると思うが、オクト フィニッシモの実際の厚さは手首に馴染む要因の一つの側面にすぎない。
オクト フィニッシモのような着け心地のものは他にない。このオートマティックバージョンは40mmでラグからラグまでが45mmだ。フラットなケースバックにより、7インチの僕の手首の平らな部分に均等に収まる。とても広いラグによって、ケースとブレスレットの間にも同様に平らな接続ポイントを作り重心が低く安定することで、本機はカフスのような着け心地を実現する。正しくフィッティングすれば予想以上に軽くて、快適で、これまでに着用した他のどの時計とも異なる手首上の存在感をもたらした。
この効果の一部は、僕が通常手首に着けるものと対照的なこの斬新なデザインから来るものだが、それがすべてではない。確かに、多様性は人生のスパイスであり、理解には経験を要するが、ブルガリは熟練した手によって独特でありながら異質ではないデザインを実現した。ジェンタのデザイン言語が随所に散りばめられているのも実感できる。これは僕たちの多くが知っていて好きなものと、モダンでスタイリッシュな美学が組み合わせられていて、何より手首に着けて楽しいものだ。
魅力的なケースの中には、ブルガリのオートマティック Cal.BVL 138がある。厚さわずか2.23mmのムーブメントは幅36.6mmととてもワイドで、同様に広大なディスプレイケースバックを通してよく見ると、仕上げのディテールとはめ込まれたプラチナ製マイクロローターの美しい眺めが楽しめる。 36石、振動数は3Hz、60時間のパワーリザーブを備えたBVL 138は美しい仕上げで、時、分、スモールセコンドが表示される。どのバージョンでも、オクト フィニッシモは断然、贅沢で高価な品だが、このレベルに挑戦するためにはこのようなムーブメントの製作が必要なのだ。
僕はオクト フィニッシモがスイスの大物プレイヤーのシャンパンに対するアペロール スプリッツのようなものであると思っているが、この高貴なカテゴリーではライバルのいない時計はない。また、同様の価格帯の時計だけでなく、同じ購買層が関心を持つ時計も検討する価値はある。この場合、デザインと本物のウォッチメイキングの両方に精通しており(そして裕福な)、ステートメント(巧妙ではあるが)を表現するための時計を探しているファンだとしよう。
強いて言えば、これは448万8000円(税抜)の非常に薄いケースに収められた3針オートマティックの金無垢時計だが、このようなものをカルティエ タンクやレベルソ(どちらもオクトに釣り合うものではなく、どちらもオクトよりも大幅に廉価だ)のような「似たような」商品とクロスショッピングしている男女を想像するのは難しい。ランゲには候補があるが、ブレスレット仕様がない。ロレックスにはゴールドブレスレットモデルがたくさんあるが、オクトにはステートメントとスタイルの点ではるかに高揚を感じる、つまり全く異なるものだ。僕の推測では、オクト フィニッシモの平均的な購入者は既に1つや2つのロレックスを持っているだろう。
僕がどこに向かっているかは想像がつくだろう。ゴールドの薄いケースとブレスレットのコンセプトを、非常に需要の高い時計のグループと結び付けるジェンタのスレッドを用いることなく競争させるのは難しい。約569万4500円(税抜)のロイヤル オーク「ジャンボ」エクストラ シン(別名15202。僕はBAバージョンのゴールド オン ゴールドびいきなのだが、何であれ入手可能なものを購入しないとならないかもしれない)を検討して欲しい。同様に、日付の複雑さもあり、パテック フィリップ5711 / 1Rがある。また、地球上で最も人気な時計の1つである5711/1Rは、もし手に入れられれば5万3300ドル(約577万6000円)というクールな価格で販売されている。
オクト フィニッシモ オートマティックを製造するにあたり、ブルガリはジェンタのウェイトリストの王様たちに照準を合わせたと思う。そして「ビッグになるか、家に帰れ」ということで、ビッグになった。 オクト フィニッシモ オートマティックは低価格であるだけでなく、より手に入りやすく購入が容易だ。
僕は永遠にゴールドのロイヤル オークを愛するが、パテック フィリップとのブランド対決は事実上不可能だ。しかしブルガリは、異なる方向からこのゲームにアプローチしており、彼らはハングリーでもある。少数のブランドがインスタグラムにより火をつけられたクラシックデザインのブームを謳歌しているとき、ブルガリはひたすらに自社のもてるアイデンティティを突き詰めていたのだ。
オクト フィニッシモは、熱心なファンの注目を要求するレベルの洗練を示している。それはますます拝金的な市場の中で独特の時計であり、また同業他社の多くとは異なり、オクトは時計製造における明確にモダンな解釈といえる。これは僕があなた自身の手首で試着することを懇願する時計だ。たとえ(僕のように)いつかそれを自分のものと呼べる、6mmほどの薄さのチャンスさえないとしてもだ。
ブルガリ オクト フィニッシモ オートマチック サンドブラスト ゴールド:ケース、40mm x 5.15mm、サンドブラスト18kPG、サファイアのフロントとバック、防水性30m。ムーブメント、自社製Cal.BLV138、プラチナ製マイクロローター付自動巻き、パワーリザーブ60時間、31石、2万1600 振動/時。 36mm x 2.23mmの超薄型。画像はダブルフォールディングクラスプ付きピンクゴールドのブレスレット。価格448万8000円)。 Bulgari.comで詳細をご覧ください。