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ブルガリが放つコンプリケーションの真髄に迫る。オクト フィニッシモ パーペチュアルカレンダー&オクト ローマ カリヨン トゥールビヨン

5月10日にお送りしたHODINKEEライブ配信から、2本の注目すべきブルガリ・コンプリケーションについて、カミネの上根 亨社長と共に迫る。

ブルガリの最薄ワールドレコードウォッチについては、再三HODINKEEでも取り上げているが(「Introducing ブルガリ オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダーで7度めの世界記録を樹立 2021年新作」)、今回は長年同社の時計を販売し、コンプリケーションウォッチにも造形の深い、神戸・カミネの4代目社長である上根 亨氏の見解と共に、オクト フィニッシモ パーペチュアルカレンダーとオクト ローマ カリヨン トゥールビヨンについて、魅力を解き明かしていく。

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オクト フィニッシモ パーペチュアルカレンダー

オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー  Ref.103200 716万1000円(税込) サンドブラスト仕上げのTIケース、40mm×5.8mm、セラミックインサート付きサンドブラスト仕上げのTI製リューズ、サンドブラスト仕上げのTI製ダイヤル。防水性能:30m。

 今年のWatches & Wondersでは、多くのパーペチュアルカレンダー(QP)が発表され各社が技術力の高さを示したが、中でもブルガリは7度めとなる最薄ワールドレコードを達成。マイクロローターを用いて薄さの極限を目指す手法は、2017年に記録を打ち立てたオクト フィニッシモ オートマティックが礎となっているが、今回のQPは3針の自動巻きモデルと比べてもわずか0.65mmしかケースの厚さがプラスされていない。最近の傾向としては、こうした複雑機構こそハイブランドの腕の見せどころであるためか、特にQPについて新たな表示方法や薄型化を実現したものが多いように思う。上根氏曰く、ブルガリのQPに関してはさらに特別な魅力が存在するという。

 「ブルガリは、ダニエル・ロート、ジェラルド・ジェンタという名門ファクトリーを統合し、高級時計ブランドとして研究開発を独自に進めてきました。イタリアブランドらしい解釈がデザインに加えられ、本格的でありながら時計専業ブランドにはない時計づくりを実現していると思います。今回のパーペチュアルカレンダーは、素晴らしいのひと言。デザイナーのファブリッツィオ・ボナマッサ・スティリアーニさんは、より大きな日付表示を採用したかったそうですが、このレトログラード表示は他で見られない魅力的な意匠になっていると思います。ジェンタのレトログラードを思わせながらも、ブルガリらしいデザインにまとめている点で好印象です」

オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー プラチナ Ref.103463 1025万2000円(税込) サテン仕上げ/ポリッシュ仕上げのPt製ケース、40mm×5.8mm、18KWG製リューズ、シースルーバック。ブルーラッカー仕上げのダイヤル。防水性能:30m。

 また、これまでワールドレコードを収めたモデルは、サンドブラストが施されたマットなチタンケースがアイコンだったが、今回はサテンとポリッシュ仕上げを施したプラチナケースバージョンもリリースされた。オクト フィニッシモでは、ポリッシュ仕上げのSSモデルも新登場しているが、加工の困難なプラチナでもオクトの多面体ケースを仕上げきることが可能になったという、ひとつのメッセージも込められているように思う。

 「このプラチナモデルは、これまでのオクト フィニッシモでも私個人として指折りの1本です。イタリアブランドらしいブルーの発色が美しく、複雑な表示でも視認性がより高く担保されていると思います。言わずもがな薄型であるため、プラチナながら軽量で装着感が良い点も良いですね。最近は一体型ブレスレットをもつ時計が増えていますが、本当に良いものは少ない。ブルガリは、さすがに着け心地までしっかりと追求しています」

取材当日、上根氏は今年発表の新作であるオクト フィニッシモ S クロノグラフ GMTを着用。

オクト ローマ カリヨン トゥールビヨン

ブルガリ オクト ローマ カリヨン トゥールビヨン 3094万3000円(税込 予価) DLCコーティングが施されたマット仕上げのチタン製44mmケース。オープンワークのチタン製ミドルケース。ホワイトゴールド製リューズ、ブラックセラミック製インサート。ホワイトゴールドのプッシュボタン(リピーター作動用)。ムーブメントは手巻きのCal.BVL428。ミニッツリピーター(3つのハンマー)。75時間パワーリザーブ。ケースバックにパワーリザーブインジケーター。2万1600振動/時。オープンワークムーブメント、ブリッジはDLCコーティング仕上げのチタン製。直径55mm x 8.35mm。世界15本限定。

 長年にわたり、好事家たちの所有欲を満たしてきた上根氏は、かつてミニッツリピーター愛好家を顧客にもち、その真髄に触れたという。ブルガリが先日発表した、オクト ローマ カリヨン トゥールビヨンはそんな彼をして驚くべき構造を実現した1本だという。

 「従来のミニッツリピーターというのは裏蓋側にゴングとチャイムを配置するのが一般的で、鳴らしている最中はその動作を見るのもひと手間必要でした。ところが、このオクト ローマ カリヨン トゥールビヨンは文字盤側にそれが見える。当然、美しい音色とともに視覚的にもリピーターが楽しめるわけです。また、リピーターを作動させるのがボタン式というのも特徴。かつて主流だったレバー式ではケースサイドにレバーのための溝が必要になり、耐久性や防水性が犠牲になります。このオクト ローマに関してはそれが当てはまらず、スポーティに使えるわけではないものの、日常的に着用することが想定されていると感じます。これまでミニッツリピーターといえば、鳴らすときにだけ金庫などから出してくるような使い方をされる方も多かったと思います。この発想や機能・デザインのアップデートは今の時代にとても合っていますね」

 ミニッツリピーターは最高の複雑機構であるともされ、当然その価格は簡単に手の届くようなものではない。本機は世界限定15本、オーダーされてからの製作になるとのことだが、トゥールビヨンを内蔵したリピーターとしては決して高価すぎないと上根氏は言う。

 「ミニッツリピーターは未だに職人技でのみ作り出される時計です。その意味で、絶対に贋作が存在し得ない、極まった意味での工芸・高級品であるといえます。スイスのジュウ渓谷にあるブルガリの工房は、かつてのダニエル・ロート社であり鳴り物を作る名門なのですが、その当時の職人さんがしっかり残られて製作を続けられていました。スイス時計産業では、買収などによってブランドやサプライヤーが統合されることが間々ありますが、ブルガリではその際に人材流出がほとんどなかったそうです。クラフツマンシップをしかと継承しているからこそ、熟成したミニッツリピーターを生み出せるのでしょうね」

 最後に、ミニッツリピーターのさらなる魅力を尋ねると、上根氏は意外な実用性を茶目っ気たっぷりに語った。

 「リピーターは暗闇の中でも時刻を知らせてくれます。これは意外にも便利なもので、旅先のホテルでは部屋に時計がない場合もありますし、時間を知る術が限られるものです。灯りの消えた寝室の枕元でリピーターのボタンを押し、美しい音色で時を知るという体験は、オーナーだけに許された貴重なものだと夢を見させてくれますね」

その他時計の詳細は、ブルガリ公式サイトへ。

ブルガリの最新作が揃う、カミネへの来店予約は、公式サイトへ。