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クイック解説
2000年にシャネル J12が発表されて以来、過去20年の間にセラミックウォッチの象徴とまではいかないにしても、そのデザインジャンルで確固たる地位を築く時計となった。J12の進化は、時計のデザインだけでなく、ハイエンド・ウォッチメイキングにもシャネルが深く関わっていることを表している。同社の高度な技術による時計といえば、2016年のムッシュー ドゥ シャネルや2008年のCal.3125を搭載したJ12なども挙げられるだろう(ルノー・エ・パピ社とのパートナーシップによるところも大きい)。そして、ジュネーブに拠点を置くケニッシ社と開発した2019年の新ムーブメントも忘れてはならない(シャネルは同社の株式を20%取得している)。
J12の最新作はとにかく凄い。針、輪列、ゼンマイ、そしてその他の作動に関わる金属部品を除いて、実質時計全体が透明なサファイア製なのだ。ケースや計時装置のブリッジ、そして文字盤なども同様である。インデックスはダイヤモンドで、ベゼルにもダイヤモンドがセッティングされている。フルサファイアケースの時計は存在するが、私が思いつく限りブレスレットまでサファイアというのは世界初だろう。もし誰かが着けていたらとんでもないインパクトがありそうだ。
ムーブメントは、以前からあるものだが、最初に見たときはそれに気づかないかもしれない。これは、もともと2018年の同名モデルに採用された手巻きのCal.3から派生して、オープンワークが施されたものだ(2015年に発売されたボーイフレンドのオープンワークが元となっている)。シャネルが真の時計コレクションを作り上げるため、真摯に取り組み続けているのは非常に興味深い。覚えてらっしゃらないかもしれないが、シャネルはF.P.ジュルヌの株式もまた20%所有している。
これは間違いなくシャネル J12が、これまでに製造した中でも最も独創的で最高品質のものであると思うが、所有できるのは、ほんのごくわずかな人たちだけだ。しかも価格もかなりのもので税抜6810万円、世界限定12本だ。(日本円は分かり次第更新、現在のレートで約7000万円)。かなり高額な時計であるのは間違いないが、他でこの見た目の時計を手に入れることはできない。もし、誰か自分以外の腕に着けられているのを見たくないのであれば、たった8億1720万円払えば12個すべてが手に入る。
ファースト・インプレッション
とりあえず、価格の問題はさておき(いずれにしてもこの価格になると小切手でさえカバーするのは容易ではない)、この時計は多くのクールな要素がある。コストパフォーマンスだのと話す時計ではないのだ。非常に少量生産だが、息を呑むほどのタイムピースであり、その時点で成功しているといっても良いだろう。ひと言でいうなら、楽しい時計だ。楽しさは、その存在理由のすべてである。ヴィンテージのトライアンフ・スピットファイアに1万ドルかけるか、300万ドルでブガッティ・シロンにするのか。どちらでも楽しむことはできる。ただ単に、異なる種類の楽しみということであって、どっちかが悪いだとか良いだとかというものではない。
とはいえ、私はシャネルが多くの高級時計でその楽しみを体現していることを高く評価している。この時計だけでなく過去5年ほどの間に出た多くの時計もそうだ。
リアルな時計製造の技術もまた培われている。J12 X-Rayは、興味深いことに、考えているよりもはるかに一般的で伝統的な時計製造につながっているのだ。本当に丁寧に手仕上げされたミッドセンチュリーのスイス時計は、その美しさのほとんどは内部にあった。ムーブメントというのは時計職人にしか見られないが、その存在と伝統工芸による仕上げは時計の価値の大きな割合を占めている。X-Rayにはそれが見ることができないのではなく、見えるものはすべて、シャネルが時計製造にサプライズを込めるために行った、大きな努力の一部なのだ。
基本情報
ブランド: シャネル (Chanel)
モデル: J12 X-Ray
型番: H6249
直径: 38mm
厚さ: 10.7mm
ケース素材: サファイア、ホワイトゴールド(ベゼル)
インデックス: バゲットカットダイヤ
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: サファイア、ダイヤモンド合計7.97カラット
ムーブメント情報
キャリバー: 3.1
機構: 時、分
パワーリザーブ: 50時間
駆動方式: 手巻き式
振動数: 2万8800振動/時
石数: 21石
追加情報: サファイア製のプレートとブリッジ
価格&発売日
価格: 6810万円
発売日: 2020年秋以降予定
限定: 世界12本限定
さらに詳細をご覧になりたい方は、シャネルの公式サイトへ。