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Photos by Anthony Traina
我々が知っていること
ジャガー・ルクルトから、3つの新しいレベルソが発表された。そのなかでも特に注目を浴びているのが、ステンレススティール(SS)製のレベルソ・トリビュート・モノフェイスである。1931年のオリジナルのレベルソとほぼ同じケースサイズを持つこの新作は、コレクションに伝統的な要素を加えるものだ。この2針のレベルソ・モノフェイスに加え、SS製のデュオ・トゥールビヨン(とてもクールだ)とピンクゴールド(PG)製のデュオ・スモールセコンドも発表されている。本稿では新しいトリビュート・モノフェイスに焦点を当てるが、より複雑な機構を持つレベルソも見逃せない存在だ。特にSS製のデュオ・トゥールビヨンは見事な仕上がりで、撮り下ろし写真とともに紹介していく。
新しいレベルソ・トリビュート・モノフェイスは、多くの点で長らく待ち望んでいたレベルソである。SS製ケースのサイズは40×24.4mmで、厚さは7.6mmとスリムだ。これはオリジナルの1931年モデル(38×23mm)と比較してもほぼ同じ寸法だ。しかし、ヴィンテージのレベルソケースと現代のケースを比べると現代版の方が圧倒的に優れており、なめらかなスライド機構と実用的な防水性能(モノフェイスでは30mの防水性)を備えている。
文字盤はシルバーオパーリン、またはサンレイ仕上げのブルーラッカーから選べる。レベルソにふさわしく文字盤はシンプルかつ洗練されたデザインで、シャープなドーフィン針と台形のインデックス、そして外周にはミニッツトラックが配置されている。このデザインは昨年のレベルソ・スモールセコンドに似ているが、ケースはより小型化されている。それぞれのモデルには、約30年間レベルソを動かしてきたジャガー・ルクルト製のCal.822が搭載されている。この手巻きムーブメントは42時間のパワーリザーブを持ち、巻き上げ時のリューズの操作感も引き続きカリッとした心地よさを提供するものだ。文字盤を裏返せば、ポロの試合に備えて鏡面仕上げが施されたピカピカの裏面が現れ、刻印がなされるのを待ち構えているように見える。
SS製のレベルソ・トリビュート・モノフェイスはフォールディングクラスプ付きのカーフスキン製サフィアーノストラップで提供され、ラグ周辺にはなめらかな仕上げが施されている。小売価格は139万9200円(税込)だ。
新しいSS製のレベルソ・トリビュート・モノフェイスに加えて、ジャガー・ルクルトは同じくSS製のレベルソ・トリビュート・デュオ・トゥールビヨンも発表している。2023年に発表されたPGモデルやその前のプラチナ(Pt)製の限定版に比べてよりモダンな(そして若干手に届きやすい)デザインとなっている。この60秒フライングトゥールビヨンは文字盤の両面から見ることが可能だ。表側ではトゥールビヨンが6時位置に配置され、その他の部分はシンプルで現代的なサンレイグレーに仕上げられている。しかし文字盤を反転させると第2時間帯を示すダイヤルが現れ、ジャガー・ルクルトのウォッチメイキングと職人技が際立つデザインとなっている。このダイヤルは部分的にオープンワークとなっており、手作業で面取りされたブリッジが見え、ジャガー・ルクルトのメティエダールのアトリエで手作業で仕上げられたクル・ド・パリのギヨシェ装飾が施されている。
全体としてこの時計は45.5×27.4mm、厚さわずか9.15mmの比較的コンパクトなケースに収まっている。デュオ・ トゥールビヨンは伝統的な職人技と現代的なデザインが見事に融合した美しい時計であり、価格は要問い合わせ(11万ドル、日本円で約1600万円)である。比較のために言っておくと、昨年のPG製デュオ・トゥールビヨンは13万9000ドル(日本円で約2000万円)という価格で発表された。また時代を反映した一例として、2018年に発表されたPt製の限定50本のモデルは12万3000ドル(日本円で約1790万円)であった。
最後に、ジャガー・ルクルトはPG製のレベルソ・トリビュート・デュオ・スモールセコンドも発表している。このモデルは光沢のあるブルーの文字盤とシルバーのサンレイ仕上げの文字盤を持ち、24時間の昼夜表示を備えている。PGのケースと対照的な、リッチなブルーラッカーの文字盤は特に印象的だ。デュオはジャガー・ルクルト製Cal.854を搭載し、表側では時・分・秒を表示。裏側のダイヤルには、第2時間帯と24時間表示を備えている。第2時間帯は、ケースを反転させたときにのみ見えるトップケースバンドに埋め込まれた小さなスライダーで調整可能だ。価格は398万2000円(税込)である。
我々の考え
これこそが、私がジャガー・ルクルトのレベルソに求めていたものだ。新しいレベルソ・トリビュート・モノフェイスは、スリムでエレガントかつ実用的な時計である。 個人的には、白、シルバー、そして光によってはほぼグレーに見えるオパーリン文字盤のクリーンなデザインが好みだ。マットな仕上げは一見地味に感じるかもしれないが、ヴィンテージのレベルソを思い起こさせる。サンレイ仕上げのブルー文字盤はより現代的で確かに魅力的だが、最近はブルー文字盤のSSウォッチもよく目にしているため、現時点では十分だと感じる。とはいえアール・デコ調の長方形デザインを持つレベルソは、その点ですでにほかの時計とは明らかに一線を画している。
レベルソは長方形のケースを持ちながらも、ケースのエッジがシャープではないためにどこか柔らかな印象を与える。ケースサイズは小さすぎると感じる人もいるかもしれないが、ラインナップにはトリビュート・スモールセコンドやクラシック・スモールセコンドなど、より大きなレベルソのバリエーションも存在している。それでも伝統的なレベルソサイズを求める人からすると、今回のモデルはまさにその期待に応えるものだろう。私は新しいモノフェイスをいくつかのヴィンテージ レベルソと並べて試着する機会を得たが、装着感はほとんど同じであった。
現代的なダイヤルの仕上げは実に秀逸だ。トリビュート・トゥ・1931に見られるようなヘリテージの要素をもっと取り入れるべきだという声もあるだろうが、個人的にはこれこそが現代版レベルソのあるべき姿だと考えている。クリーンでコンテンポラリー、過去に過度に依存していない点が好ましい。また、Cal.822は約30年間使用され続けているが、そのあいだにフリースプラングテンプなど昨今求められる静かな改良が施されてきたことも見逃してはならない。
一方、SS製のデュオ・トゥールビヨンはまさに憧れの一品だ。複雑で美しく、そしてジャガー・ルクルトが過去100年間にわたりトップクラスの時計メーカーであり続けている理由を体現しているモデルである。最近、数週間のあいだに素晴らしいトゥールビヨンをいくつか見る機会があった。このレベルソに加え、ダニエル・ロートのトゥールビヨン、そしてショパールのL.U.C 1860 トゥールビヨン(これについてはまた後日紹介予定する)などだ。ダニエル・ロートやショパール L.U.C はジャガー・ルクルトよりもはるかに少量生産であるが、それでもこのトゥールビヨンは、ジャガー・ルクルトがブランドとしての規模が大きくてなってもこれらのメーカーに匹敵する手作業の技術を維持していることを示している。
レベルソ・トリビュート・モノフェイスの価格は139万9200円(税込)。SS製の2針時計としては高価だが、決して不合理ではない。レベルソは独自のカテゴリーに属する時計である。ジャガー・ルクルトは、レベルソを単なる時計以上の存在として位置付けようとしている。ケースは55個の部品で構成されており、Cal.822のブリッジは手作業で面取りされている。これらのディテールが、JLCがレベルソを競合製品から際立たせようとするポイントとなっている。
私はこれらの新作レベルソを実際に手に取って試す機会を得たので、フルのHands-Onレビューを見たい場合はお知らせいただきたい。
基本情報
ブランド: ジャガー・ルクルト(Jaeger-LeCoultre)
モデル名: レベルソ・トゥールビヨン・モノフェイス
型番: Q7168420、Q716848J
直径: 40.1×24.4mm
厚さ: 7.56mm
ケース素材: SS
文字盤色: オパーリンシルバーまたはサンレイ仕上げのブルーラッカー
インデックス: 夜光なしのアプライドインデックス
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ゴールドタンまたはブルーのカーフレザーストラップに、コントラストのあるスムース仕上げとサフィアーノ仕上げが施され、フォールディングクラスプが付属
ムーブメント情報
キャリバー: ジャガー・ルクルト製 Cal.822
機能: 時・分表示
直径: 20.2mm
厚さ: 2.94mm
パワーリザーブ: 42時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 19
クロノメーター認定: なし
価格 & 発売時期
価格: 139万9200円(税込)
詳しくはジャガー・ルクルトのウェブサイトでレベルソコレクションをご覧ください。