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Hands-On ロンジン スピリット クロノグラフ 2020年の新作を実機レビュー

君は私の息子だ、ブルー!

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時計の世界では、“ヘリテージ”や“ヴィンテージ風”という言葉がよく使われている。これらの言葉は、過ぎ去った時代の感覚を呼び起こす意味をもっている。過去10年間、ロンジンはスキンダイバーからフラッグシップ ヘリテージまで、現代的な使い方やサイズ感に合わせてアップデートしたミッドセンチュリーデザインの時計を次々と発表してきた。しかし、ヘリテージとヴィンテージは感覚の問題とは無関係だ。より感覚に強く訴えるのは何か知っているだろうか? それはスピリット(魂)だ。今年初めに発表され、ロンジン スピリット コレクションとして加わった時計である。

 ロンジン スピリットは、ヴィンテージにインスパイアされたデザインに対して、これまでとは異なるアプローチをとっている。ロンジンは、既存の、過去に登場したモデルを復刻するのではなく、白紙に戻してやり直し、単なるヴィンテージモデルにはないオールドスクールな魅力を備えた全く新しい時計を生み出した。

 ロンジン スピリット クロノグラフは、このコレクションを代表するモデルの1つだ。本機の大きさは42mm、航空機にインスパイアされた防水性能を備えたクロノグラフであり、モダンなブルーのダイヤルを特徴としている。

 スピリット クロノグラフにはいくつかのカラーバリエーション(レトロな雰囲気を醸し出すマットブラックを含む)があるが、ブルーダイヤルのバリエーションは、2つの時代をまたいだ最高の仕事をしている。全体的なデザインは、クラックの入ったレザーのA-2 ボンバージャケットや、半透明に近いパティーナ加工されたタイプライターの紙、ジェット燃料の匂いを思い起こさせる。しかし、ブルーのダイヤルは、サンレイ効果が顕著に現れており、全体的なデザインとは裏腹に、完全に現代的なものとなっている。

 42mmのサイジングは、現代的な演出だと思われるかもしれないが、実際には1940年代のアビエイターの美学を反映している。パイロットウォッチは歴史的に見れば大型であり、事実、足に装着することを想定していたほどだった。この時計は足にフィットはしないものの、そのサイズは往年のクラシックなパイロットウォッチを彷彿とさせる。

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 この時計は特徴的な3つのインダイヤル:スモールセコンド、クロノグラフミニッツカウンター、クロノグラフアワーカウンターを搭載している。クロノグラフ秒針はラッカーのような質感で仕上げられ、その先端には赤い装飾が施されている。

 ダイヤルデザインとしては、このモデルは少し忙しない雰囲気を醸し出している。ロンジンのブランド名とアプライドロゴが、Chronometerの文字とアプライドされた5つのスターマーカーの上に配置され、次にインダイヤル、4時30分位置のデイト表示ウィンドウ、Automaticの文字が配置されている。これに、ヴィンテージスタイルの数字とSwiss Madeの文字が入ったチャプターリングを加え、文字、インダイヤル、数字で構成されている。正直なところ、飛行機を操縦している間、パイロットはこの全ての情報を目にしたくはないかもしれない。

 それなのに、どういうわけか読みやすい。白く塗られた大きな数字がダイヤルに深みを与えており、インダイヤルの放射状のパターンは、下のブルーのサンレイダイヤルとの差別化を容易にしている。また、数字に施された夜光は印象的で、ちょっとした日陰でも効果を発揮する。

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 興味深い機能の1つは、ケース左側面にあるねじ込み式のプッシャーだ。このねじ込みを解除して使用すると、デイト表示が変更できる。2つのクロノグラフプッシャーの間に位置するリューズには、最近の時計によく見られる特徴:ねじ込み解除際にラチェット音が鳴り、時計全体に高級感を与えている。

 内部には、クロノメーター認定の自動巻きクロノグラフムーブメント、L688.4が搭載されている。L688.4はETAをベースに改良を加えたものかもしれないが、それにも関わらず、クロノメーター規格に準拠するという追加の利点がある。

 真のツールウォッチの形をしたスピリット クロノグラフは、堅牢な裏蓋に、素敵な地球儀のエングレービングが施されており、ヴィンテージ感をさらに高めている。しかし、ステッチが施されたブルーのレザーストラップ(ブレスレットを入手することもできる)を採用することで、この時計は再びモダンな雰囲気を醸し出しており、ブレスレットのオプションは、この時計をさらにモダンに感じさせてくれるかもしれない。なぜなら、昔のパイロットウォッチでは、ほとんどの場合ストラップが装着されていたからだ。

 ロンジン スピリット クロノグラフは、あなたが望むか否かに関わらず、その存在を主張する。しかし、この時計はその目的を十分に果たしている。この時計の核となるのは、現代的でレトロなデザインのツールウォッチであることだ。足に装着したまま飛行機に乗ったり、浅瀬を潜ったりすることはないかもしれないが(100mの防水性能を誇るが)、必要に応じて時計がこれらのことに対応することを知っておくということは、時に楽しいことかもしれないだろう。

ロンジン スピリット クロノグラフ Ref. L3.820.4.93.0、100m防水。直径42mm、ねじ込み式リューズとクローズドの裏蓋が特徴。レザーストラップにはロゴ入りバックルが付属。ムーブメントは自動巻きのCal.L688.4、毎時2万8800振動/時、54時間パワーリザーブ。サンレイブルーのダイヤルにアプライドマーカー、針とマーカーにはスーパールミノバ。価格は36万8000円(税抜。日本におけるブルーダイヤルモデルの展開は、ブレスレット仕様のL3.820.4.93.6)。詳細は、ロンジンの公式サイトをご覧ください。

Photos:カシア・ミルトン