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Introducing パテック フィリップ Ref.5978P – 全く新しいパーペチュアルカレンダー・クロノグラフが登場!(編集部撮り下ろし)

パテック フィリップの歴史上わずか7度目となる、手巻き式のパーペチュアルカレンダー・クロノグラフが登場。これは本当に素晴らしい1本だ!

ミラノから直接レポートしよう。パテック フィリップから、全く新しい時計が登場した。いや、これは本当に大きなニュースだ。世界で最も重要な高級時計メーカーが187年の歴史のなかで、パーペチュアルカレンダー・クロノグラフを発表するのは、今回でわずか7度目となる! 1941年にRef.1518、1951年にRef.2499、1986年にRef.3970、1994年にRef.5020(あれ、これは忘れていたんじゃない?)、2004年にRef.5970、そして2011年にRef.5270が登場した。つまり、今回の新作5978Pは、僕がこの分野を取材してきたキャリアのなかで、実物を目にするのがわずか2本目となる。これを聞いたとき、僕がどれほど興奮したか、想像してもらえるだろう。さあ、5978Pに挨拶しよう。

Patek Philippe Reference 5978P

187年の歴史のなかで、わずか7度目となる、新しいパーペチュアルカレンダー・クロノグラフが登場!

 これは見慣れた意匠であるようでいて、これまでとは大きく異なる時計だ。手巻き式のパーペチュアルカレンダー・クロノグラフとして初めて、瞬時に切り替わるカレンダー機構を搭載。ダイヤル上部にあるアーチ状の窓にすべての情報が表示することで、これまでのどのパーペチュアルカレンダー・クロノグラフよりも視認性が大幅に高まっている。わずか30ミリ秒で表示が瞬時に切り替わる様子は、まさに驚きの見せ場だ。

 Ref.5208やグランド・コンプリケーション Ref.5308で見たことがあるデザインだと思った方はいるだろうか。まさにそのとおりだ。要するにパテック フィリップは、最上位の複雑時計に搭載してきた独創的な瞬時切り替え式のパーペチュアルカレンダー機構を、同社の最高峰の時計を支えるベースクロノグラフムーブメント Cal.CH 29-535に組み合わせたのだ。考えてみれば驚くほど理にかなった構成だが、それでもやはり驚きだ。これにより、パテック フィリップの現行コレクションには1990年代初頭以来初めて、パーペチュアルカレンダー・クロノグラフが同時に2モデル並ぶことになる。当時のRef.3970とRef.5020は、ケースのデザインこそ異なるものの、同じキャリバーを搭載していた。今回は異なるふたつのムーブメントが用いられている点も興味深い。

 念のため補足しておくと、Ref.5978Pはミラノで開催されるウォッチアート・グランド・エキシビションのために製作された120本限定モデルだ。ただ、このリファレンスがそう遠くないうちに通常のコレクションに加わることは想像に難くない。先へ進む前に5978の系譜をおさらいしたい方は、2014年に公開したReference Pointsを読むか、下記の動画を観て欲しい。

 さて、これまでの背景を押さえたところで、現代の話はどうだろうか。もちろん、そちらも抜かりない。こちらが、ポール・ブトロス氏(そう、あのポール・ブトロス氏だ!)によるRef.5270の発売当初のレビューだ。

 Ref.5270はパテック フィリップのパーペチュアルカレンダー・クロノグラフの系譜を忠実に受け継ぎながらも、レマニアやバルジュー製ではなく、自社製のクロノグラフムーブメントをベースにし、ケース径を41mmへと拡大した点がこれまでのモデルとの違いだった。歴代のリファレンスほどコレクターから愛されてきたわけではないが、時計史における重要性とスイス時計製造らしいクラシックな表現、そして“パテック フィリップらしさ”を明快に表現していることから、徐々にカルト的な人気を獲得しつつある。僕自身もRef.5270Pを所有していて、最新号の『パテック フィリップ マガジン』では、この時計にまつわる個人的なエピソードを紹介している。

 しかし、5270は過去15年のあいだに何度かダイヤルデザインを変更してきた点で、それ以前のモデルとは異なる。個人的には5270-001のサーモンダイヤルがいちばん好みだが、今年のWatches & Wondersで発表された新しいダイヤルも、魅力的であることは認めざるを得ない。

Patek Philippe Trio

パテック フィリップは今年初めにフラッグシップモデルであるRef.5270のダイヤルをアップデートしたが、その反響はきわめて大きい。

 5270はどのダイヤルを選んでも、歴代モデルの面影を色濃く残している。一方、基本的な機能はまったく同じでありながら、5978Pにはそうした印象がない。そこが実に面白い。その理由のひとつは、ダイヤル上部に並ぶ3つの大きな窓だ。瞬時に切り替わるカレンダー機構を見せるこの表示は、今回採用されたキャリバーそのものに由来する。だが、それだけではない。スターン氏とパテック フィリップのチームが意識的に選び取った、そしてあえて言わせてもらえば、歓迎すべきデザイン上の判断も大きいのだ。

Patek Philippe Reference 5978P

ご覧のとおり、こちらはミラノで開催されるウォッチアート・グランド・エキシビション限定モデルだ。

 まず、ケースはパーペチュアルカレンダー・クロノグラフでよく見られる装飾的なスタイルではなく、5208や5205などに採用されている“カラトラバスタイル”だ。凹型のベゼルに、内側へ向かって薄くえぐり込まれたようなカーブを描くラグが特徴であり、これまでのどのパーペチュアルカレンダー・クロノグラフよりもドレッシーさが抑えられている。今回、このモデルにこのケースが組み合わせているのはとてもクールだ。ダイヤルは、上部に配された技術的な印象の強い3つの窓に加え、ブラックのグラデーションがかかった外周リングを備え、ネイビーブルーのサンバースト仕上げが施されている。凹状の中央部は質感のある仕上げが施され、3時位置と9時位置の表示はさらに一段低い位置に配されている。インデックスはホワイトゴールド製のバトン型で、針は夜光塗料を備えたドーフィン型。実に魅力的な仕上がりだ。ブルーとレッドの配色は、今年発表された5204Pを彷彿とさせる。

 CH 29-535 PS QIと名付けられたキャリバーは、実に500個もの部品で構成されている。これは5270Pに搭載されるCH 29-535 PS Qの456個を上回り、意外なことに、スプリットセコンドとパーペチュアルカレンダーを備える5204のCHR 29-535 PS Qの496個よりも多い。瞬時切り替え式のパーペチュアルカレンダー・クロノグラフが、スプリットセコンドを備えた従来型のパーペチュアルカレンダーより製造が難しいと言いたいわけではない。ただ、部品数だけを見ると、そう受け取れてしまう。

 さて、ここでもパテックの優れた判断が光る。ムーンフェイズは5308とは異なり、正しい向きに配置されている。逆さまのムーンフェイズを好む人を、僕は実際にひとりも知らない。あるべき位置に戻ってきたのは喜ばしいことだ。さらに、ファブリックのような風合いを持つコンポジット素材のストラップも採用された。カジュアルな雰囲気をいっそう強めるもので、スイス流に言えば“スポルティフ”な仕上がりだ。そうそう、発売の地にちなんで、カレンダー表示がイタリア語になっていることはお伝えしただろうか。気が利いている。伝統あるスイス時計の系譜に連なる5978Pだが、過度にフォーマルな印象ではない。そこが本当にうれしい。42mm×14.45mmというサイズだけは、正直あまり理想的とは言えない。

Patek Philippe Reference 5978P

本日ミラノにて、きわめて背の高いマーク・カウズラリッチ氏の手首にプロトタイプの5978が装着されていた。

 5270のケース径は41mmで、5970と比べて大きすぎるという声もある。今回の新作は、それよりさらに1mm大きい。ブランド最上位のグランド・コンプリケーションのために考案されたカレンダー機構を採用している以上、より大きなケースが必要になることは理解できる。しかし、現代の市場において、スポーティでカジュアルな時計だからといって、大きくなければならないわけではない。42mmというサイズが、購入をためらわせる要因になる人もいるだろう。実際に自分の腕に載せてみるまでは判断を保留したいが、もしこの新作が39mmか40mmで登場していたらどうだろう。多くの人が(私も含めて!)即決で購入する人が大勢いたはずだ。

 もちろん、それは120本を超える数量が生産され(実際にはそうならない)、イタリア国外でも販売され(こちらも予定はない)、価格が数十万ドル以下(これも期待できない)場合の話だ。とはいえ、最初の2つ、つまり生産本数と販売地域の制限がいずれ解消されるとすれば、このまったく新しい複雑時計がパテック フィリップのコレクションに加わることを、多くの人が歓迎するのではないだろうか。発売時点で、パテック フィリップは本モデルの価格を公表していない。詳細が明らかになり次第、記事を更新する(編注;公式サイトによると本作の価格は5495万円)。

Patek Philippe Reference 5978P

5978のキャリバーを真のプロトタイプの形でご紹介する。光の反射や埃など、写り込みがひどい点は申し訳ないが、私たちの努力を評価してもらえたらうれしい。

 5978Pには、技術面で初の試みがあるのだろうか。まあ、あると言えばある。パテック フィリップによれば、1本の時計に瞬時切替機構を搭載するのは初めてだという。どういうことなのか。少々複雑でマニアックな話になるが、こういう話こそ掘り下げる価値がある。

 パテック フィリップの最高級モデルのなかには、クロノグラフの積算分針が瞬時に切り替わる一方で、カレンダーは瞬時切り替え式ではないものがある(5270や5204がその例だ)。また、改良されたカレンダー機構を備えながら、自動巻きミニッツリピーターをベースにクロノグラフ機能をモジュールとして組み合わせた、瞬時作動ではないモデルもある(5208や5308がこれにあたる)。5978Pは、クロノグラフの積算分針とカレンダーの日付表示の両方が瞬時に切り替わる。これは実に見事だ! ただし、同様の機構を初めて実現した時計というわけではない。高級時計製造におけるパテック フィリップの最大のライバル、A.ランゲ&ゾーネは、数年前からダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨンで同じ機構を実現している。とはいえスイスの皆さん、ご安心を。彼らも完璧というわけではない。生産終了となったダトグラフ・パーペチュアル・トゥールビヨンを除けば(登場時の価格は3万ユーロ/約530万円台後半からだった)、ランゲの時計には、瞬時に切り替わるクロノグラフの積算分針とカレンダーの両方を備えたモデルはない。奇妙な話だが、事実である。すべてのダトグラフは瞬時切り替え式の積算分針を備えている。これは設計上の基本方針だ。しかし(トゥールビヨンを搭載しない)旧型のダトグラフ・パーペチュアルではカレンダー機構の切り替えに時間がかかり、瞬時には切り替わらない。そして世界中でまだこの記事を読んでいる4人ほどの皆さんには、これで事情がおわかりいただけただろう。どういたしまして。

 では本作は、1本の時計にふたつの瞬時作動機構を搭載した世界初の時計なのか。パテック フィリップにとっては、確かにそういうことになる。

Patek Philippe Reference 5978P

5978P、その未来はどうなるのか?

 さて、5978Pの話に戻ろう。この新作に対する僕の主な不満は、ケースがあと1〜2mm小さければ、という点に尽きる(瞬時切り替え機構をランゲが先に実現していたことなど、まったく気にしていない)。それ以上に、パテック フィリップのパーペチュアルカレンダー・クロノグラフの系譜がまったく新しい方向へと枝を伸ばしていくことに、大きな期待を寄せている。時計の世界にある数々の系譜のなかでも、これはおそらく僕がもっとも好きなものだ。ティエリーをはじめとするチームが、今後数年でこの新しいキャリバーとリファレンスをどのように発展させていくのか、楽しみでならない。


アップデート:価格が判明した!

 記事公開後、このプラチナ製の限定モデル(120本)の正式な価格が発表された。5495万円(税込)だ。気になる人もいるだろうが、これは現在4050万円で販売されている5270Pよりも、1000万円以上高い。果たして、この価格設定に納得できるだろうか。新作であり、パテック フィリップであり、プラチナ製であり、複雑機構を備えている。そう考えれば、購入する人は必ずいるだろう。しかし今後、限定モデルではない通常のコレクションとして展開されることになった場合、既存のラインナップのなかでどのような位置づけになるのか、想像するのは難しい。価格は、パーペチュアルカレンダー(しかしこれは旧式で従来型で、瞬時切り替え式でない)とスプリットセコンド・クロノグラフを備えた6201万円の5204とほぼ同じだ。両方を買い、さらに5270をすべて揃えるような人もいるだろうが、それにしても高価に感じられる。とはいえ、2026年に高いと感じないものなどあるだろうか。そしてこの記事の公開からわずか3時間後にこの追記を書いている時点で、5978Pの120本はすでにすべて購入希望者が決まっているに違いない。改めて、2026年の時計製造の世界へようこそ。


基本情報

ブランド: パテック フィリップ(Patek Philippe)
型番: 5978P-010

直径: 42mm
厚さ: 14.45mm(風防を含めると14.24mm)
ケース素材: 950プラチナ、6時位置にブリリアントカットダイヤモンドをセット
文字盤: ブラックのグラデーションを施した外周を備えた、ネイビーブルーのサンバースト仕上げを施したダイヤル
インデックス: ファセット加工を施した、18Kホワイトゴールド製のアプライドインデックス(バトン型7個、スクエア型4個)
夜光: 針と分目盛りにホワイトの夜光塗料を使用(プレスリリースでは夜光塗料のブランド名は明記されていない)
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ネイビーのコンポジットストラップ。テキスタイルを思わせるモチーフとレッドのステッチ(トップステッチにはイタリア国旗を表現したトリコロールのディテール)が施されている。プラチナ製トリプルブレード構造のフォールディングクラスプ付き


ムーブメント情報

キャリバー: CH 29-535 PS QI
機能: 時・分表示、8〜9時位置のスモールセコンド、瞬時切り替え式30分積算計付きのコラムホイール式クロノグラフ、瞬時切り替え式のパーペチュアルカレンダー(曜日、日付、月、閏年表示)、昼夜表示、ムーンフェイズ
直径: 32mm
厚さ: 8.1mm
パワーリザーブ: 55〜65時間(クロノグラフ停止時)
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 33


価格&発売時期

価格: 5495万円(税込)
限定: あり、120本限定

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