Photos by Shota Akiyoshi
我々が知っていること
オイスター誕生100周年を記念して、ロレックスは小径のオイスター パーペチュアル2モデルを刷新した。ひとつはブルーのラッカーダイヤルを備えた18Kエバーローズゴールド製の34mm、もうひとつはグリーンのラッカーダイヤルを備えた18Kイエローゴールド(YG)製の28mmだ。いずれも、オイスタースチール製モデルと同様の基本構造を維持している。
参考までに、オイスター パーペチュアルがソリッドゴールドで製造されていたのは、34mm(当時の最大サイズ)が約2001年まで、26mmが2004年までだった。今回のモデルを特徴づけているのは、単にゴールドが使われている点ではなく、その仕上げにある。どちらのモデルも鏡面ではなくサテン仕上げが施されており、金属に柔らかく広がるような控えめな輝きをもたらしている。このような表面処理が全面に施された貴金属製の現行ロレックスはこれが初めてであり、装着時の印象を大きく変える要素となっている。
ダイヤルは、さらに素材面でのニュアンスを加えている。34mmモデルはブルーストーンカラーのラッカーダイヤルに、3、6、9時位置にデュモルチェエライトをセットしたインデックスを備える。一方28mmは、グリーンストーンカラーのラッカーダイヤルにヘリオトロープを配している。これらのダイヤルは緩やかな尖頭アーチ状にカットされており、光の反射を抑えつつ石本来の構造を際立たせる。その効果は研磨というよりも大理石に近く、輝きよりも質感を強調するものだ。ストーンをセットしたインデックスはケースとダイヤルのあいだに調和の取れた対話を生み、貴金属と貴石が呼応しながらも過剰にはならない。ロレックスが装飾用の石をアプライドインデックスに用いることは希であり、このディテールはロレックスに精通したコレクターに向けたものと言える。28mmのYGモデルは、ブラックラッカー、ターコイズ、マザー・オブ・パールを含む多彩なダイヤルバリエーションで展開。一方、34mmのERGモデルには、ブラックラッカー、ブラウンラッカー、そしてマザー・オブ・パールがラインナップされる。
そのほかのインデックスはクロマライトが充填されたゴールド製で、視認性を確保しつつ、石の要素が整然としたダイヤル構造にアクセントを加えている。内部には両モデルとも、時刻表示のみの自動巻きムーブメント Cal.2232を搭載。シリコン製シロキシ・ヒゲゼンマイを備え、約55時間のパワーリザーブを発揮する。
我々の考え
本作は、ロレックスがシンプルなスポーツウォッチに控えめな華やかさを加えつつ、その本質を守り抜いたモデルだ。華やかでありながら、依然として“オイスター パーペチュアルらしいクリーンさ”を保っている。スポーティさと上品さが融合したようだが、このバランスを実現するのは簡単ではない。その役割のほとんどを担っているのがサテン仕上げだ。ゴールドに対するサテン仕上げは貴金属に期待されるハイポリッシュのイメージを覆し、時計に柔らかさと触覚的な質感、そしてモダンな印象を与えている。ラグジュアリーでありながら実用的な1本に仕上がったと言えるだろう。過度な輝きがやや時代にそぐわなく感じられる今の潮流のなかで、この抑制はまさに時宜を得ている。
さらに、その背後には素材に関するより広いストーリーもある。ゴールドは古来、文化や時代を超えて権力や永続性、価値の象徴とされてきた。そして現在、その価格が過去最高水準にあるなかで、それをあえて控えめで広がりを持つように表現したのは示唆に富んでいる。これはゴールドをより現代的で、過度に主張しないものへと感じさせる巧みなアプローチと言えるだろう。
また、これらの時計はより大きな潮流のなかにも位置づけられる。小径時計の人気は高まっており、ロレックスもそれに自然に応じている。特に28mmは、単なるサイズ上の妥協ではなく意図的な選択に感じられる。オイスター パーペチュアルの誕生以来、ロレックスは女性向けの小径スポーツウォッチを作り続けてきたが、ここでは小径モデルの刷新自体が重要であるというメッセージでもあり、小さなリファレンスもまた、大型の人気モデルと同様に重要なのだ。34mmのERGモデルは、バブルバックの系譜に最も近い精神性を感じさせ、ストーンカラーのラッカーダイヤルは独特なトーンを生み出している。ピンクゴールドに対する濃密なブルーはひと言では言い表しにくい魅力を放ち、まさにそれこそが魅力の源でもある。両モデルともカラーコンビネーションは、よく考えられていると感じる。
極小時計へのトレンドは、依然として衰える気配がない。その熱は市場を席巻しており、特に2024年に登場したオーデマ ピゲ ロイヤル オーク ミニがその好例だ。個人的に言えば、小さな28mmのサテン仕上げを施したYG製オイスター パーペチュアルは、数年前にカルティエのベニュワール バングルを試着したとき以来の高揚感を覚えさせた。私は小径のゴールドウォッチには辛口だが、これは間違いなく称賛に値する。ゆったりと手首に乗せたYG製オイスター パーペチュアルを、全身シャネルでまとめたアッパーイーストサイドの女性が着けている光景をぜひ見てみたい。ちなみに、マディソン・アベニューはゆるく着けたゴールドウォッチを見かけるには絶好の場所だ。
総じて、これらのモデルはロレックスが自らの論理を崩さずに進化を続けていることを示している。オイスター パーペチュアルはこれまでもそうであったように、時刻表示のみのシンプルでブランドの基盤となる存在であり続けるだろう。その基盤の上で、素材、仕上げ、プロポーションを探求することで、無理のないかたちで新しさを生み出している。
基本情報
ブランド: ロレックス(Rolex)
モデル名: オイスター パーペチュアル 34/オイスター パーペチュアル 28(Oyster Perpetual 34; Oyster Perpetual 28)
型番: 124205; 276208
直径: 34 mm/28 mm
厚さ: 10.60 mm/10.50 mm
ケース素材: 18Kエバーローズゴールド/18Kイエローゴールド
文字盤色: ブルーストーンカラーのラッカー/グリーンストーンカラーのラッカー
インデックス: 3、6、9時位置にデュモルチェライトが備わった18KPG製インデックス/3、6、9時位置にヘリオトロープが備わった18KYG製インデックス
夜光: クロマライト(ブルー発光)
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: オイスタークラスプとイージーリンクが付いた18KERG製オイスターブレスレット/オイスタークラスプとイージーリンクが付いた18KYG製オイスターブレスレット
ムーブメント情報
キャリバー: 2232
機能: 時・分表示、センターセコンド
直径: 非公開
厚さ: 非公開
パワーリザーブ: 約55時間
巻き上げ方式: パーペチュアルローターによる自動巻き
振動数: 2万8800振動/時(4Hz)
石数: 31
クロノメーター認定: 高精度クロノメーター
追加情報: シリコン製シロキシ・ヘアスプリング(ヒゲゼンマイ)、パラフレックス ショック・アブソーバ、常磁性ガンギ車(ニッケル-リン合金製)
価格&発売時期
価格: オイスター パーペチュアル 34は565万700円、オイスター パーペチュアル 28は445万8300円(すべて税込)
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