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アメリカのスポーツイベントのなかで最も視聴者数が多い有名なスーパーボウル・サンデー、そしてNHL オールスター ウィークエンドから数日後、スポーツ鑑賞の核心に迫る、非常に興味深い話がここHODINKEEまで飛び込んできた。一部はホッケーであり、オールスイス製、また非常にクールで、おそらく(これまで)知られていないであろう時計の話である。
ジュネーブのロレックスとチューダーの建物のすぐ向かいには、ジュネーブ・セルヴェットがプレイするホッケースタジアムがある。ジュネーブ・セルヴェットという名前を聞いたことがないかもしれないが、今日以降はそうも言っていられなくなるだろう。いろんな意味で、彼らはヨーロッパの小さな都市(ジュネーブの悪口を言っているわけではなく、地理的な事実にもとづいて)の地元のホッケーチームなのだ。しかしその小さな街で行われるホッケーは決して小さなイベントではない。ホッケーはスイス最大の国内チームスポーツである。国技ではないが、かなりそれに近い位置にある(もちろんスキーのこと)。
ジュネーブでスポーツのバンパーステッカーを貼ったクルマを見かけたら(それ自体が珍しい)、それはホッケーの…セルヴェットのステッカーである可能性が高い。長年にわたりチームはいくつかの成功を収めてきたが、2022年と2023年に達成したものほどではなかった。というのも22年、セルヴェットが全米選手権の試合に出場したからである。その年の優勝は逃したが、彼らは逆境にも打ち勝ち、昨年、全勝優勝を果たした。
スポーツにおける伝統的な下剋上の物語である。私がこのことを知った理由は、ジュネーブ・セルヴェットのスポンサーであるチューダーが、2023年のキャンペーンをとおして、チームを追ったドキュメンタリーを制作したからだ。HODINKEEの卒業生であり、友人でもある数人が、このドキュメンタリーの制作に携わっている。その模様はこちらでご覧いただきたい。
しかし、それはさらにクールに(そしてより時計らしいものに)なる。チューダーに詳しい情報筋によると、優勝した選手たちにチューダーから時計が贈られたという。それは非常にオールドスクールな贈り物であり、とてもふさわしいものであった。では、その時計とは何だったのか?
それはスティール製ブレスレットに白い文字盤をあしらったチューダー ブラックベイクロノのスタンダードモデルだが、文字盤には優勝を祝うグラフィックがプリントされている。円形のエンブレムには、“Champions Suisse NL 2022/20233”とのテキストと、内側にはチームのシンボルマークが黒で描かれている。文字盤に施されたフラットなプリントは、まるで1960年代のものを見ているかのような、完璧にチューダーらしい非常にスローバックな雰囲気を醸し出している。
といってもチューダーにとって新しいやり方ではない。FacebookやGoogleのブラックベイ、エド・シーラン(Ed Sheeran)のDivide Tourで配られた時計のように、企業やミュージシャンから依頼された特注チューダーをたくさん見てきた。真に素晴らしい理由は、チームスポンサーであるチューダーから勝利のために時計が贈られたということだ。
HODINKEEに勤務する今、学んだことがあるとすれば、それは常に裏の情報を読むということだ。その点でチューダーは期待を裏切らない。これらの時計の裏蓋は、基本的に文字盤の刻印を拡大したものであるが、本モデルは現代的な裏蓋のエングレービングとしては、実にクールで深みのある仕上がりになっている。
私はアスリートではないし、全国大会で優勝したこともないが、時計で有名な街に根ざすセルヴェットは、この特別な勝利の証が好きなのだろうと想像せざるを得ない。トロフィーは素晴らしいものだが、このような時計はずっと手元に置いておけるものだと感じる(私のなかにいる時計オタクというか、センチメンタリストの観点から)。いずれにしても、このような時計が見られるのはとてもクールだ。大々的なプレスリリースはなかったし(実際プレス向け発表はなかった)、それは本当に選手のためだけのものだった。そして我々はそういうものこそ高く評価できると思う。