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Hands-On ゼニス クロノマスター リバイバル シャドウ(編集部撮り下ろし)

あまり知られていない70年代初頭のプロトタイプが、かつてあったらよかったと思うアイデアを加えて復活した。

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伝説のエル・プリメロのムーブメントを使用した最新のゼニスウォッチ、クロノマスター リバイバル シャドウについて聞いたとき、私はとても興味をもった。それは、この時計は実際には日の目を見ることのなかった1970年代のクロノグラフのリバイバルであるからだ。そのルーツは、史上初の自動巻きクロノグラフムーブメントが登場した初期の頃、ゼニスが提案したオールブラックの手巻きの時計だった。

 いくつかのプロトタイプが作成され、ジェームズが少し前に書いたように、その1つはHODINKEEショップでも販売された。このPVDコーティングされたステンレススティールケースをもつゼニスウォッチの初期のモデルは、連続的に生産されていなかったため、その名前やリファレンスナンバーさえ付いていなかった。
 そこにはある意味、矛盾があった:ゼニスの画期的な自動巻きエル・プリメロの後に、手巻きクロノグラフが発売されたという事実である。それは70年代には非常にモダンなPVDケースで、サイズも41mmと当時としては大きなものだった。そして、極めつけはこれだ:内部には、モバード(Movado)と刻印されたブリッジを備えた、非常にエレガントな構成のコラムホイール式手巻きムーブメントが搭載されていたのだ。一見、少々奇妙に思える。

 しかし、実際には理にかなっている。というのは、ゼニスとモバードは、モンディアと共に、かつて同じ所有権下にあったからだ。現在、ダトロンH360など、3万6000振動/時のゼニス エル・プリメロを搭載したモバードの時計は、実際のところ非常にすばらしいバリュー・フォー・マネーを提供し得る。モバード銘が入った手巻きムーブメントを搭載した、オールブラックのゼニス プロトタイプ クロノグラフは、歴史に埋もれていた感があり、我々が今回取り上げる時計の記事を書くために掘り下げるまで、私は見たことさえなかったものである。本機は、そのプロトタイプが過去に求めていたであろうものを再考したものである。

 ゼニス クロノマスター リバイバル シャドウは、昨年のゼニスA384 リバイバルと同じケース形状をしている。これは、オリジナルのエル・プリメロ Ref. A384の仕様に基づいてデザインされたケースで、より有名なref. A386と共に1969年に登場した。しかし、A384は特徴のある、私に言わせればより鋭い形状である:角張ったトノー型だ。振り返ってみれば、A384は、ラウンドのA386と比較して、時計がどのような形になるかをより明確に1970年代の時点で予見していたのである。最新のゼニス クロノマスター リバイバルは、商業生産されなかったPVDプロトタイプと、エル・プリメロA384、そしてブルー文字盤のA3818 「カバー・ガール」や、トリコロールのA3817に見られる古典的な角張ったトノー型との間を結ぶ架け橋として位置づけるのが最善であろう。

 これらの時計からの注目すべき違いの一つは、ゼニス クロノマスター リバイバル シャドウに採用されたケース素材である。それはオリジナルの70年代のプロトタイプ同様ブラックで、復刻版のA384と形状は同じであるが、ダークな色合いは、プロトタイプのようなPVDコーティングやベース素材のSSによって実現されたわけではない。
 ケースはマイクロブラスト加工のチタン製で、光をほとんど反射しないダークなマット仕上げになっている。時計はテクスチャード加工がされたラバーストラップが付いており、ケースはヴィンテージ感を盛り上げる37mmを採用しつつチタン製であるため、全体がかなり軽量である。 

 多少なりとも現代的な2つの時計から、ヴィンテージのインスピレーションを得ているにもかかわらず、クロノマスター リバイバル シャドウの全体的なオーラは非常に新鮮だ。それは、ダークなマイクロブラスト加工のチタン製ケースと、クラシックなゼニス・クロノグラフのデザインにモダンな捻りを利かした文字盤からもたらされているからだろう。グレーのサブダイヤルとタキメーターの目盛りの色合いは、ケースの色に近く(照らされた光によって異なる)、文字盤のマットブラックの背景と対照すると、私が思うところのある種控えめなパンダ効果を生み出している。
 これは、白いクロノグラフの秒針とサブダイヤルの針、そして明るく白い夜光プロットによって強化されている。それは可能な限り最高の形でステルス感があるが、十分に読みやすい。私は過去に真っ暗な時計に惹かれた覚えはないが、この時計にはなぜか惹かれるところがある。あ、そして、これを読んでいる多くの人がきっと気に入るに違いない、プロトタイプから受け継いだデザイン上の重要な点が一つ:日付表示窓はないぞ!

 クロノマスター リバイバル シャドウは超スポーティで、上のリストショットで分かるように、黒いスタイリングと組み合わせると、とてもタイトな印象になる。あまり黒を身に着けない人間としては、この時計の日常的な実用性はどうなのかと思うが、黒を多く身に着ける人にとっては、なんとまあ、これは素晴らしいデイリーウォッチになるだろう。
 また私は、マイクロブラスト加工のチタンがとても角張ったケースデザインとよく合っている点も気に入っている。その形状からするとあたかも反射を意図したようであるが、表面加工がそれを抑制している。以下に、わずかに異なる光を当てたリストショットをもう1枚。ある一定の方法で光が時計に当たるとブラックの外観になるが、照明が微妙に異なると、時計はやや暗いガンメタルトーンに見える。

 内部には、文句なしに最も重要なクロノグラフのムーブメントの1つが搭載されている。そして、シリコン製レバーやガンギ車といった、素晴らしい最新アップデートがいくつか施されている。自動巻きクロノグラフの創世記の波の中で、エル・プリメロは、完全に一体型であること(つまり、モジュール式ではないこと)、3万6000振動/時の高速振動数を誇ること、さらには、その他の初期の自動巻きクロノグラフキャリバーについては言えないが、今日でも従来通り史上との関連性を保ち続けているといった点で際立っている。

 それは、全ての時計愛好家がぜひ体験するべきだと私が思うムーブメントの1つなのだ。

 ゼニス クロノマスター リバイバル シャドウ、Ref.97.T384.4061 / 21.C822。37mmマイクロブラスト加工チタン製ケース。エル・プリメロ 4061 自動巻きクロノグラフ ムーブメント、5 Hz(3万6000振動/時)、31石。時、分、スモールセコンド表示。 12時間積算計。ブラック「コーデュラ・エフェクト」ホワイトステッチ付きラバーストラップ、マイクロブラスト加工チタン製ピンバックル付き。価格88万円(税抜)。

さらなる詳細についてはゼニス公式サイトへ。