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オーダーメイドもあれば、13.43カラットのポートレートカットダイヤモンドを風防に使用した特注品のパテック フィリップのようなものもある。この時計は10月5日から開催されるクリスティーズ・ドバイのオンラインウォッチオークションにて、推定100万~200万ドル(日本円で約1億4980万~2億9955万円)で出品される。
1990年に、ある顧客がこの1点もののパテックを注文し、それのためにラスクダイヤモンドを提供した。パテックはこのダイヤモンドに合うように、カスタムしたホワイトゴールド製ケースと一体型ブレスレットを製作し、唯一無二のリファレンスである3843/1を与えた。クリスティーズによると、これは知られているなかで3番目に大きいラスクダイヤモンドだそう(最大のものは27カラットで、ロシア皇帝アレクサンドル1世のミニチュア肖像画を覆うように使用されている)。ラスク、すなわちポートレートカットは透明で平らなダイヤモンドの側面に研磨とファセットを施したものだ。
この巨大なダイヤモンドが、風防として使われる効果を物理的に体験できたらいいと思う。クリスティーズは、宝石歴史家のダイアナ・スカリスブリック(Diana Scarisbrick)氏の言葉を引用して、“ファセットの反射がポートレートを照らし、高度に磨かれた透明な表面が、クリスタルよりもはるかに鮮やかに被写体を輝かせている”と説明している。風防の美しさを捉えることはできないが、この効果がわかる写真をいくつか楽しもう。
ダイヤモンドをちりばめた時計もあれば、このような時計もある。このパテックは、クリスタルにラスクダイヤを使用したことが知られる唯一の時計だ(時計や宝飾品メーカーの皆さん、ちょっと試してみてくれないだろうか?)。2014年には、シースルーバックに9.44カラットのダイヤモンドを使用した、珍しいチタン製パテックを取り上げて、“フローレス オフィサー(Flawless Officer)”という愛称で呼んだ。
ダイヤモンドの風防の下には、スターン・フレール(Sterns Frères)社製のゴールドで作られたサンバーストブルーダイヤルが収められており、その左右非対称なダイヤルの周囲にはWG製インデックスが散りばめられている。このダイヤモンドのトライアングルシェイプと、ジュネーブのケースメーカー、アトリエ・レウニ(Ateliers Réunis)社による18KWGの特注ケースも程よくマッチしている。固有のリファレンスナンバーに加え、ケースバックにはラスクダイヤモンドのカラット数を刻印。ケースには同じくWGで出来たメッシュブレスレットが組み合わされている。また、このパテックの3843/1には1994年に販売されたことを示す、フィリップ・スターンのサインも入ったデジタル原産地証明書が付属。これによりユニークピースであることを示している。
この時計を初めて見たとき、ジルベール・アルベール(Gilbert Albert)の左右非対称のデザインや、最近マライカ(・クロフォード)が取り上げた、パテックが70年代に発表した大胆な一体型ブレスレットウォッチをほうふつとさせた。数十年の時を経て、パテックが大胆なデザインを再考するのは素晴らしいことだ。
この時計は2016年のクリスティーズ・香港にて、348万香港ドル(当時の相場で約4875万円)で落札されたのが最後だった。その前年には、同じく香港の小規模な日本のオークションハウスで10万ドル(当時の相場で約1210万円)弱で落札されている。それから7年が経った今、クリスティーズ・ドバイに登場し、100万~200万ドル(日本円で約1億4980万~2億9955万円)のエスティメートで出品される予定だ。ダイヤモンド風防を使った、非対称の個性的なパテックのマーケットは決して大きくないが、クリスティーズの強力なマーケティングと、別のマーケットへの投入によって、以前のオークション結果よりも大きな落札額をもたらすことができるかどうか、注目される。
クリスティーズウォッチオンライン・ドバイエディションは、10月5日から19日まで入札可能なオンラインオークションだ。詳細はオークションページをチェック。