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ミニッツリピーターは、時計製造における最高傑作だ。リピーターほど美しく、崇拝され、マスターするのが難しい複雑機構はないだろう。その起源は1600年代後半にまで遡るのだが、初期の「ダム・リピーター(ハンマーが時計のケースを直接叩く機構)」は、当時宮廷で人気を博した。このような音を奏でる装置は、権力者を怒らせることなく、所有者が時間を確認することを可能にしたのだ。ほどなくして、アブラアン-ルイ・ブレゲは、時、15分、分をケースではなく、コイル状に巻かれた針金のゴングを打ち鳴らす機構を考案した。この複雑な形状のリピーター(少なくとも100個の部品が追加されたと考えてよい)は非常に高価で、この複雑機構は長い間、社交界の頂点に属する人々や収集家らに注文された。
ミニッツリピーター機構を搭載する腕時計は、懐中時計と別物だ。 心地よい音質だけでなく、腕時計の小さなケースサイズの中でも十分な音量を確保することは容易なことではないからだ。 20世紀初頭、このハードルを克服できるメーカーはほとんど存在しなかった。例えばヴァシュロン・コンスタンタンにおいて、前世紀初頭に製造した腕時計式ミニッツリピーターは20本に満たない(この記事でその中の1本を紹介している)。 パテック フィリップは、ヘンリー・グレイブ氏のような最高の顧客のために最初のミニッツリピーターを作った-その作品は2012年に299万4500ドル(当時約2億3776万円)で落札された。
ミニッツリピーターは、今では世界中の数十の時計メーカーによって製造されているが、いまだにロマンチックで近寄りがたい雰囲気が漂う存在だ(そしてパテック フィリップの場合はとりわけその傾向が強い)。 そのため、パテックがニューヨークで開催したクロノグラフとミニッツリピーターの特別展示会に僕らが招待されたとき、何台ものカメラとマイクを持参する必要があった。 全部で9種類のミニッツリピーターが防音室で鳴っている様子を収録したからだ。パテック フィリップのミニッツリピーターのほぼ全コレクションを網羅した(Ref.5207/5208を除く)。
Ref.5539G - トゥールビヨン機構搭載ミニッツリピーター
Ref.5539Gは、6時位置にトゥールビヨンとスモールセコンドを備えたミニッツリピーターを搭載している。 ブラックエナメルダイヤルを採用し、349個の部品から構成される。Ref.3939にインスパイアされ、Ref.5339の後継となったモデルだ。Ref.5539Gは2013年のバーゼルワールドで発表され、販売価格は約55万7000ドル(約5680万円)だ。
Ref.7000R -特別に設計された初のレディス用ミニッツリピーター
リピーターは男性のためだけの嗜みだと思っていたならば…それはそれで正しい。しかし、パテック フィリップは2011年に初のレディスミニッツリピーターであるRef.7000Rを発表し、それに変更を加えようとした。 美しいローズゴールドの33.7mmケースに収められたCal.R 27 PSは342個の部品から構成されている。 Ref.7000Rの販売価格は約37万5000ドル(約4000万円)で、パテックの時計師によると、素晴らしい音を奏でると誰もが賞賛する時計だということだ。
Ref.5104P - ミニッツリピーター搭載スケルトン・パーペチュアルカレンダー
Ref.5104Pは、永久カレンダーを搭載した特大サイズ(43mm)のミニッツリピーターだ。 ダイヤルは完全スケルトン化されており、恐ろしいほど美しい515個の部品を見ることができる。 ケースはプラチナだが、リピーターのスライドはローズゴールド製。 Ref.5104Pは2006年に発表され、販売価格は約64万5000ドル(約6800万円)だ。
Ref.5207R - ミニッツリピーターと瞬時日送り式窓表示永久カレンダーを搭載するトゥールビヨン
Ref.5207Rは、トゥールビヨン脱進機と瞬時日送り式窓表示永久カレンダーを搭載したミニッツリピーターだ。 41mmのケース内に549個の部品からなるムーブメントを搭載する。 パテック フィリップの腕時計の中で3番目に複雑なこのモデルの販売価格は約73万8000ドル(約7780万円)。
Ref.5213G - レトログラード式永久カレンダー機構搭載ミニッツリピーター
Ref.5213Gはレトログラード式永久カレンダーを搭載したミニッツリピーターだ。 直径40.6mmで、ヒンジのついた「オフィサースタイル」の開閉裏蓋を備えている。 2012年発表、販売価格は約63万1000ドル(6650万円)。
Ref.5078P – エナメルダイヤルのミニッツリピーター
Ref.5078Pはパテックの最もシンプルなミニッツリピーターだ。 直径38mm、エナメルまたはラッカーのダイヤルを備えている。 このモデルには他の複雑機構は搭載されておらず、時間表示だけの腕時計と勘違いされがちだが、このモデルは342個もの部品で構成されている。一見控えめなRef.5078Pは2005年に発表され、販売価格は約38万6600ドル(約4070万円)だ。
Ref.5074P - カセドラルゴングと永久カレンダー搭載ミニッツリピーター
Ref.5074Pは、時計収集家の間でパテックのミニッツリピーターとしておそらく最もよく知られたモデルだ。 伝統的な永久カレンダーとミニッツリピーターを搭載する。しかし、このリピーターの特別な点は、コレクションの中で唯一カセドラルゴングを搭載していることである。 これは、内部のワイヤーゴングがケースの周りを1.5周することで、より深く豊かな音を奏でることを意味する。 なぜ42mmのRef.5074だけがカセドラルゴングを搭載したのかは誰もが勘ぐるところではあるが、とにかく美しい音を奏でるピースであることは間違いない。 この時計にはプラチナの他にローズゴールドモデルも存在し、2002年に初出した。 467個の部品からなるRef.5074Pの小売価格は、約62万2000ドル(約6473万円)だ。
Ref.5307P - トゥールビヨン、ミニッツリピーター、瞬時日送り式窓表示永久カレンダーを搭載する40個のバゲットダイヤモンドベゼルのミニッツリピーター
Ref.5307Pは上記のローズゴールドと同じモデルだが、この特別なリファレンスには40個のバゲットダイヤ(3.91ct)がセットされている。 ある人々の話では、ダイヤモンドのセッティングにより、プラチナ製リピーターでは通常見られない方法で音を逃がすことができるとのことだ。 この時計は2013年に発表され、販売価格は85万ドル(9000万円)前後だ。
Ref.5216P - トゥールビヨンとレトログラード式永久カレンダーを搭載するミニッツリピーター
Ref.5216Pは、トゥールビヨンとレトログラード式永久カレンダーを搭載したミニッツリピーターだ。 初代カラトラバRef.96にインスパイアされた39.5mmのプラチナケースを採用する。 ダイヤルはブラックラッカー塗装、販売価格は約76万5000ドル(約8050万円)。
舞台裏
パテック フィリップのミニッツリピーター9本(その多くにはトゥールビヨンや永久カレンダーも含まれる)に触れるチャンスがありながら、写真が少ないと思われただろうか? 上の動画の中でのチャイムの演奏に加え、個々の時計の画像ギャラリーを下にご紹介しよう。パテック フィリップのミニッツリピーターについての詳細はこちらをご覧いただきたい。
動画撮影
ウィル・ホロウェイ