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私が初めてジュリアン・フォールの存在を知ったのは2014年のバーゼルワールドの会場であった。チューダーはちょうどレンジャーシリーズを発表したばかりで、ステンレススティール製のブレスレットやカーフスキン製のストラップから、よりエキゾチックでヴィンテージ風のBund<ブンド>ストラップまで、さまざまなストラップが用意されていた。しかし、話題となったのは、そうしたストラップではなかった。レンジャーのストラップには、迷彩柄のきめ細やかなファブリック生地で作られたストラップが付属していたのだ。迷彩柄はナイロンにプリントされただけのものではなく、生地に織り込まれているのだと、ブースに展示にいたチューダーの担当者は短く付け加えた。後で知ったのは、この生地のストラップがバチカン教皇領の法衣を作ったのと同じ人々によって、フランスのシャトル織機で製造されたということであった。
3年後、私はその工場を見学し、5代目のオーナーであるジュリアン・フォール氏にインタビューすることになった。自身が率いる会社と名前を同じくするフォール氏は、昔ながらの手法で高品質のリボンを作る家業に生を受け、先代と全く同じ方法で商売を続けている。彼は19世紀から20世紀初頭のシャトル織機を操る熟練の職人を雇い、フランスやヨーロッパにおけるファッション界のトップに君臨する顧客のためにリボンを製造する。その中には、ランバン、クリスチャン・ルブタン、そしてもちろんチューダーも含まれる。
フォール氏の会社は、リヨンから車ですぐ近くの静かなサン-ジュスト-サン-ランベール村にある。もともとは女性たちが内職のために、自宅内の織機で織っていたが、現在では織機は工場内に移され、フォール社の従業員が3交代制で稼働している。
午後の見学で最も驚いたのは、昔ながらの手法と現代の技術が融合していることであった。チューダーの迷彩ストラップのパターンはその典型例だが、フォール氏と彼のチームは、複雑なデザインのために織柄をプログラムできる独自のソフトウェアを開発したのだ。100年前の木製織機の上には、後付けのコンピュータが設置されており、各織柄が正確に織りなされるようになっている。
同社の顧客は現在では名だたるファッションブランドがリストに連なっているが、その信じられないほど広範なアーカイブには、カトリック教会や20世紀初頭にアメリカの大学を含む主要な文化機関のために行われた仕事が記録されている。
動画の独占インタビューでは、ジュリアン・フォールが、世界最高品質のファブリックストラップをどのように製造しているかを説明している。
動画&写真撮影:グレイソン・コーホーネン