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アメリカ連邦最高裁判所は、トランプ大統領による緊急貿易関税を違法とする判決を下した。この判決は世界経済に大きな影響を与えるものであり、スイスや日本、ドイツなどの輸入品に課された関税によって打撃を受けていた時計業界にとっては救いとなる可能性がある。最高裁は6対3の評決で、大統領が国家非常事態のために制定された1977年の法律を適用し、世界の貿易相手国に輸入関税を課したことは、権限の乱用であると判断した。
しかしアメリカ大統領は金曜日の最高裁判決に対し、既存の関税を維持するための法的な抜け道があると宣言し、別の通商法を用いてさらに10%の世界的な関税を課す意向を示した。大統領は、米議会と協力することなく新たな関税を課すと述べた。この動きを米国の裁判所がどのように解釈するかは定かではない。
記者会見でトランプ氏は、裁判所の決定を「残念だ」と述べ、自身の関税法に反対した判事を「非愛国的で不忠実だ」と非難した。
金曜日に発表された最高裁の決定は、米国に輸出される時計に関税を支払ってきた輸入業者にとって、大きな恩恵をもたらす可能性がある。スイス製の時計の場合、関税率は10%から最大39%にも及ぶ。ニューヨーク・タイムズ紙によると、連邦政府は2024年の年初から2000億ドル(2024年の平均レートで約30兆3000億円)以上の関税を徴収している。スイス、日本、ドイツ製の時計を扱う輸入業者は数百万ドルを支払ったとみられ、判決が維持されれば連邦政府に還付を求めることになるだろう。この判決は、スイスの時計メーカーにとっても歓迎すべきニュースだろう。彼らは力強いスイスフランと高騰する金価格による大幅なコスト圧力に加え、最近の二国間貿易協定の下で米国に輸入されるスイス製品に課された15%の関税に直面していたからだ。この関税が課されたあと、業界のほぼすべてのトップブランドが価格を引き上げた。
2月20日の記者会見で演説するトランプ大統領。Image courtesy of Getty Images
ドイツに拠点を置くコンサルティング会社The Bridge to LuxuryのCEOであり、元スウォッチ グループAGの経営委員会メンバーでもあるフランク・ミュラー(Frank Müller)氏は、この判決は歓迎すべき驚きだったと述べた。ドイツのミュンヘンで開催された宝飾品と時計の見本市インホルゲンタ(Inhorgenta)でのインタビューで、彼は米国の関税を無効にするという決定が、業界にさらなる短期的な不確実性をもたらすだろうと警告した。
「最高裁がこの決定を下したことは、心強い兆候です。最高裁の構成を考えると、誰もが予想していなかった判決だっただけに、これは朗報です。悪いニュースは、これから数週間のうちに私たちが混乱に直面することです」と彼は語った。
ミュラー氏は、最終的にどの程度の関税率に直面するのか、そのあいだに物流や輸送ルートがどう影響を受けるのか、そして最終的に還付がどのように、いつ実施されるのかといった点について、メーカーや輸出業者からの懸念が生じるだろうと述べた。
ロレックス、リシュモン、そしてブライトリングのオーナーであるパートナーズグループの幹部らは昨年トランプ大統領と会談し、スイスと米国の通商関係について協議した。
最高裁判事のブレット・カバノー(Brett Kavanaugh)氏は、判決に対する反対意見のなかで次のように述べている。“数十億ドルにのぼる還付は、米財務省に重大な結果をもたらすでしょう。裁判所は、政府が輸入業者から徴収した数十億ドルを返還すべきかどうか、もし返還するならどのように行うべきかについて、何も述べていません”。そのプロセスは“混乱”をきわめる可能性が高いとカバノー判事は記した。書面による反対意見はまた、トランプ政権がスイスを含むさまざまな貿易相手国と署名した貿易協定が、今や疑わしいものになったことも示唆した。
裁判所が関税を無効にすることを見越してか、大統領は最近のソーシャルメディアへの投稿で、関税が政府の財源を増やしたことを強調している。
ビジネス・法律の専門家は、トランプ氏が輸入課徴金を課すために国際緊急経済権限法(IEEPA)を発動したことは権限を超えているとした最高裁の決定を受け、トランプ政権が米国の通商法の下で異なる政策や規則を用いて関税を再賦課しようと試みると予想していた。
米国が課したスイスの輸入品への関税を受け、スイスの時計メーカーは2025年に価格を引き上げた。ロレックスからオーデマ ピゲ、パテック フィリップに至るまで、各ブランドは関税を部分的に相殺するために値上げを実施した。関税への対応として昨年米国で15%の値上げを行ったパテックは最近、スイス製品への関税が39%から15%に引き下げられたことを受け、米国の小売店で約8.5%の値下げを行ったことを認めた。しかし、世界のほかの地域のパテック購入者は4%の価格上昇に直面している。
金曜日の取引では、時計メーカーを含む高級品メーカーの株価が上昇し、LVMH、リシュモン、スウォッチ グループが値を上げた。しかし投資家たちは最高裁の決定がトランプ氏の関税政策の最終決定とはならないだろうとみているため、上昇は控えめなものだった。S&P 500やナスダックを含むより広範な市場指数は、投資家が最高裁の判決とトランプ政権の次の一手に対して様子見の姿勢をとったため、ほとんど反応を示さなかった。
欧州連合(EU)当局は、通商政策の変更を発表する前に判決を検討する予定であると述べ、英国政府当局者も同様の声明を発表し、通商判決に関するさらなる詳細を待っていると述べた。
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