『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』では、コリン・トレヴォロウ(Colin Trevorrow)監督がノスタルジックな3部作に終止符を打った。トレヴォロウ監督は、ジュラシック・バンドを再結成し、パークとワールドの3部作をひとつの共有ジュラシック・ユニバースに統合したのだ。
その結果、クリス・プラット(Chris Pratt)のユーモアとブライス・ダラス・ハワード(Bryce Dallas Howard)のストイックさ、そして猛烈なノスタルジーが組み合わされたCGI先行型(私はまだ93年のほうがエフェクトが優れていると思っているが)超大作が誕生した。サム・ニール(Sam Neill)演じるアラン・グラント博士、ローラ・ダーン(Laura Dern)演じるエリー・サトラー博士、そしてジェフ・ゴールドブラム(Jeff Goldblum)演じるイアン・マルコムが再登場する。このトリオは90年代のエネルギーをもたらし、オリジナル3部作の魔法のソースを批評家の寵愛を受けなかった(しかし経済的には決して悪くなかった)シリーズに注入しているのだ。
しかし、我々は映画の込み入った事情を話すためにここにいるのではない。時計のためにいるのだ。そしてゴールドブラムは、このクライマックスとなる映画で、(おそらく)物議を醸すであろう改良を加え、科学的インスピレーションを得た大物タイムピースで熱狂をもたらすのだ。
注目する理由
延期に延期を重ねた『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』は今週末に公開される。この映画は、『トップガン マーヴェリック』のような巨大な興行収入とまだ戦う必要がある。しかし、恐竜好きの映画ファンやスピルバーグ信者はこの映画をチェックするだろうし、強力な2位となるかもしれない。
ここでは映画の重要なプロットには触れず、イアン・マルコムと彼のとんでもない時計に焦点を当て、ネタバレなしで検証していこう。
6作目にして4度目の再演となるゴールドブラム。今回は、極悪非道な製薬会社の裏に隠された謎を解き明かそうとする。この仕事を通じて、彼はグラントとサトラーという昔の仲間と再会し、そこからあらゆる冒険、騒動、そして恐竜との遭遇が繰り広げられることになる。しかしその渦中で、マルコムの手首には一見何の変哲もない黒い時計がつけられているが、それをよく見ると……。皆さん、この時計から目を離さないでください。
この時計はご存じ、パリ発のインディペンデントデザインハウス、MAD Parisのもの。どのブランドにも属さず、カルティエやAP、ロレックスなどの時計に大胆なカスタムを施すことで知られているのだ。
マルコムは『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』でMAD Parisがカスタマイズしたロレックスを着用しているが、それはただのロレックスではない。彼の数学的・科学的な性格にぴったりな、ロレックスのミルガウスなのだ。モダンクラシックなブラックダイヤルのミルガウス(=最高のミルガウス)をフルDLCコーティングでカスタマイズしたものだ。グリーンのクリスタルに加え、ホワイトとオレンジの交互に配されたカラーマーカーが、ブルーとグリーンの夜光で発光する。
この時計には、解き明かすべきことがたくさんある。まず、ダイヤルのクロノメーター規格の上にあるIMの刻印。これはもちろん、“イアン・マルコム”を意味するものだ。しかし裏返してみると、そこには衝撃的な事実が隠されていた。ケースバックにはT-REXのシルエットが刻まれており、これは映画のロゴマークにもなっているものだ。
この時計は、映画でゴールドブラムが着用するために特別に作られたものだ。彼のスタイリストであるアンドリュー・ヴォテロ(Andrew Voterro)氏が、MAD Parisと共同でデザインした。昨年5月のインスタグラムの投稿で、この時計を披露したヴォテロ氏は、ミルガウスについて「磁場に耐えることができるため、研究所で働く科学者に好まれる時計になった」と書いている。このことからも、マルコムにとって完璧な選択となった理由がわかるだろう。
ゴールドブラムは、今をときめくセレブリティのなかでも、ひときわ個性的なファッションをする。彼が既成のものを身につけるとは思えないので、これは彼にふさわしいリストウェアの選択だと思う。カスタマイズされたものでなければならないのだ。そして、時計をカスタマイズすることに抵抗がある人も、この時計が純粋に楽しいと認めざるを得ないだろう。
見るべきシーン
この時計が初めて登場するのは、マルコムのキャラクターが紹介されたときだ。その後、昔の仲間であるグラントとサトラーに合流し、2人は世界中の恐竜の未来にまつわる最近の出来事や、イナゴに焦点を当てた地球の未来に関わる特定のプロットポイントについて、マルコムに最新情報を提供する。彼が懐かしい仲間に話しかけるとき、特徴的なオールブラックの服を着て、手首にはDLCコーティングされたミルガウスがあるのがわかる。あなたはその美しさに見惚れ、彼の言葉が耳に入ってこないかもしれない。
このシーンの直後に一連の荒っぽいな出来事が次々に起こり、『ジュラシック・ワールド』シリーズのキャラクターたち(プラットとその仲間)が『ジュラシック・パーク』シリーズのキャラクターたち(ゴールドブラム、その他)と対面することになる。一行は事故のショックから徐々に回復し、お互いを知るにつれて、自分たちがある種の特殊な恐竜の危険にさらされていることに気づく。キャストのワイドショットでは、袖をまくり上げたマルコムが特注のミルガウスを披露している。夜でも、このDLCウォッチの美しさをはっきりと見ることができる。
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(ジェフ・ゴールドブラム、クリス・プラット、サム・ニール、ローラ・ダーン出演)はコリン・トレヴォロウ監督作品。現在、全世界で公開中(日本は7月29日公開予定)。