trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag

Second Opinions 全ての腕時計がユニセックスであるべき理由

彼女の新しい月刊コラムの第一回目では、カーラ(Cara Barrett)は、時代遅れな性別についての考え方に引退の時が来たと述べている。


ADVERTISEMENT

約10年前にこの奇妙で素晴らしい業界に飛び込んで以来、わたしはいつも少し堂々とした時計を好むようになった。ちょっとしたこだわりがあるの。確かに、特別な日のために、たまには可憐なダイヤが欲しくなる。でも、本当に欲しいものはわたしに力強さをくれるもの。わたしのコレクションを見ても、ありきたりなレディスウォッチは見当たらない。男性向けに作られた時計でも、自分が好きなものがある。それだけでも不思議なことで、なぜこれが"男性用"の時計なのか? なぜそれらはただの...時計ではないのだろうか?

 より多くのブランドが ― そしてより多くの人が ― 伝統的なジェンダーの境界線を無視している時代に、時計業界がこのような区別を続けていることは、わたしにとっては狂気の沙汰だ。特に「レディスウォッチ」というカテゴリはとても無意味だと思う。その理由を述べる前に、わたしはジュエリーウォッチ(ブルガリのセルペンティ、ピアジェのカフス、ヴァン クリーフ&アーペルのカデナなど)を指しているのではないことを明らかにしておきたいと思う。わたしが言及しているのは、いわゆるメンズウォッチのカテゴリで、単に女性用に縮小されたもの、まばゆさを施したもの、クォーツ化されたものを指している。また、わたしはレディスウォッチをオブジェとして捉えることに対しては何も否定していないことをはっきりさせておきたい。実際、HODINKEEで何度も書いているように、わたしはその多くを愛している。

  この記事の内容は、時計についてではなく、それらを販売するためのアプローチと、それがいかに時代遅れであるかについてである。

 それはさておき、わたしは何を言いたかったのか? そうか、時計はユニセックスであるべきだということと、その理由だ。

Unisex

 消費者としては、何を買うべきか、何を買ってはいけないかなどは言われたくない。わたしは自分で決めたい。わたしを見下しながら、照明の悪いショーケースに並んだレディスのセクションへ導き、彼らが考えるわたしが好きそうなものを紹介してくる販売員を必要としていないのだ。クレイジーと呼ばれても構わない、ただ私が探しているものは、ときには少なくとも36mmはある最新のスティール製スポーツウォッチだったりするのだ。多分それはクロノグラフだ ― 分からないけれど、わたしは探しているものを見つけるとき、見た瞬間に分かるの。そして、それはそのショーケースには並んでいない。

 わたしが所有しているほぼ全ての時計は、少なくとも36mmで自動巻きか男性用に作られたものだ。APのロイヤル オーク 15450も、ロレックスのデイデイトRef. 1803 ― あからさまに男性的な印象を受ける。その内いくつかは石が付いていて、ほとんどがブレスレット仕様だ。間違いなく、全てがクラシカルなデザインかつかなり極上のつくりで、いくつかの例外を除いて、わたしの残りの人生を共に過ごすことになると思う。

 ところで、今や2021年。ジェンダー・ウォッチは、ヴィクトリア朝的なものと言っても過言じゃない。いくつかの企業(ゼニスのような)がこの問題に取り組んでいて、彼らがキャンペーンでメンズウォッチを女性が着けたり、自立した強い女性に焦点を当てた協調的な広告努力をしているのを知っている。今は、他のブランドも追随する時だと思う。各ブランドがグループ全体として、異なるアプローチで時計に取り組むのなら、彼らが得るものは何かを考えてみてはどうだろうか。

最終的には、時計をユニセックスにすれば、より多くの時計が売れるようになる。

 まず、彼らは100%の顧客に商品を提供することになる。45%や55%ではなく、われわれ全員を対象にすることになるのだ。これにより、男性と女性の両方に商品を着用させる、共同キャンペーンにマーケティング費用を使うことが可能になる。グッチのようなファッションブランドは、既にジェンダーに捕われないアパレルコレクションを発表しているが、これは服のフィット感が異なるために難しいことだ。一方、時計は、たとえ巨大なウブロであっても、ストラップを交換したり、ブレスレットを調整したりするだけで、どんなサイズの手首にもフィットする。最終的には、腕時計をユニセックスにすれば、誰もが自分の手首に乗った腕時計の姿を思い描くことができるため、より多くの人に販売することができるだろう。

 第二に、ユニセックスウォッチは、より良い製品設計を可能にする。パテック フィリップ 7118 ノーチラスを思い出して。これは、35mmのスポーツウォッチで、スティール、ローズゴールド、イエローゴールド、ダイヤモンドの有無などがある。7118と5711の違いは、サイズ、日付の配置、波状模様の文字盤と直線模様の文字盤の違いだけだ。もしパテックが5711と同じ文字盤の7118を発売したら、男性にも女性にも同じように人気が出るとわたしは確信している。オーデマ ピゲは、ロイヤル オークでこれを始め、34mm、37mm、39mm、41mmと、男性でも女性でも手首のサイズに合わせたモデルを用意しているし、もちろん、女性にも超絶似合う。わたしは、身に着けているからこそ分かるのだ。

 最後に、ジェンダーフリーの時計があれば、これまで男勝りの業界や男の趣味であったものに、女性がもっと参加していると感じられるようになるだろう。読者の方からいつも聞かることに、なぜ時計の仕事をしている女性や、時計を身に着ける女性が増えないのか?ということがある。時計会社は、レーシングカーのドライバーや戦闘機のパイロットなど、男性向けのユニセックスな時計を販売しているからだろう。今後のオメガの広告ビジュアルで、新しいスピードマスターを女性が着けているのを見てみたいものだ。そして、もしわたしたちが他の女性(シックで自立した働き者の女性)が身に着けているのを見たら、きっと買いたくなると思うのだ。

Unisex
ADVERTISEMENT

 今こそ時計の世界は、しばしば取り残されたり軽蔑されたりしている、人口の半分の人々と対話をするときです。そして、そのことはやっかいにもブランドだけでなく、新参者、特に女性には理不尽なほど敵意をもつコミュニティにも及んでいる。ベセニー・フランケル氏(Bethenny Frankel)に出演いただいた「Talking Watches」をご覧いただきたい。わたしたちの読者が、この企画の女性ゲストを募集したところ、成功していて、面白くて、頭がよくて、本当に時計を愛している方を見つけることができた。そして、いつもコメントをする人たちは何をしていたか? 彼らは彼女をあざ笑い、そのコレクションのいくつかをプレゼントとして受け取っただとか、元カレにその内1本を売り返すことを拒んだと皮肉った。こういった敵意は、女性が写真やビデオを投稿することを躊躇させるのに十分だ。

 男性の皆さん、ご自分のInstagramのフィードにリストショットを投稿して、身に着けているものについて複数のコメントやDMを受け取ることが想像できます?(もちろん、わたしは良い意味で言っていない) 新しい時計の話をしているときに、男性の同僚が変態的なYouTubeのコメントに目を通し、削除しなければならないことがどれほど屈辱的か分かる? 最悪だわ。そして、それはもうたくさんだと思わせるのに十分。そして、こんな体験をしているのはわたしだけではないことを知っている。時計メディアの世界(および一般的なメディアの世界)の女性はいつもこの問題に対処する必要がある。そして最悪なのは、そうした良くない言動を指摘するとビッチだと非難されること。

まだあまりにも多くの女性が、同じ土俵に立っていないと感じている。これは変える必要があることだ

 先日、ある思考実験をした。Instagramで、わたしのフォロワーの女性たちに、時計について質問できるように声をかけてみたのだが、何百通ものメッセージが届いた。すると、興味深いメッセージがたくさん届いた。クールでしょ? 悲しいところは、通常、彼女たちはとても静かなので、時計の話をしたいと思っていなかった。
 そして、全体的に聞かれたのは、彼女らが時計を1つだけしか所有していなかったり、詳しい"専門家"ではなかったりしたため、自分に話すための"資格"があるかさえ分からなかったということ。まだあまりにも多くの女性が、同じ土俵に立っていないと感じている。これは変える必要があることだ。このことについて何か行動を起こすために、権力のある立場にいる女性エグゼクティブがあまりにも少ない。そして、女性が本当に欲しがっているのは、バービー人形のために作られたような時計だと思っている男性が多すぎるのだ。

 時計は全ての人のためのものであるべきだ ― 時計に夢中になったばかりの人も、何年も前から集めている人も。時計から時代遅れのジェンダー意識を取り除くことは、コミュニティをより包括的なものにするための良い第一歩であるだけでなく、わたしたちができる文字通りほとんど最低限のことだと思う。

カーラ・バレット(Cara Barrett)は、2015年からHODINKEEに在籍し、編集や宣伝面に貢献。パートナーシップや特別プロジェクトに従事する以外の時間は、ジュエリー・ウォッチから、In-Depth パテック フィリップ Ref.3448 “センツァ・ルナ”と呼ばれる好奇心をそそる存在の記事ようなヴィンテージウォッチのミステリーを解決するものまで、何でもカバー。HODINKEEに入社する前は、サザビーズのウォッチ部門に3年間勤務し、パテック フィリップ チタニウム・コレクションやヘンリー・グレイヴス Jr.のスーパーコンプリケーションなど、数々の記録的なセールスに携わりました。カーラはニューヨークを拠点に活動しています。

Art by Marylou Faure