ADVERTISEMENT
クイック解説
今ではかなり確実に認識されていることだが、1969年は人類の文化面でも時計史の面でも大きな重要性を持っている。時計史でいえば、もちろんオメガ スピードマスター プロフェッショナルが月面で初めて装着された年だ。
しかしまた、史上初の自動巻きクロノグラフムーブメントのうち少なくとも3つが製作された年であると共に、初めてのクオーツ腕時計がセイコーから市販され、時計づくりの新時代の終わりと始まりを記録した年でもある。
60年代の別の文化的アイコンにとって、それは変化の年でもあった。『007は二度死ぬ』の完成と共にショーン・コネリーがジェームズ・ボンド役を降り、最初にして最後のジョージ・レーゼンビー版ボンドが登場した。作品の評価は賛否両論が入り乱れていた。デイリー・ミラー紙の批評家は、「彼(レーゼンビー)は、10フィートの長靴を履いた4フィートの足のように役にはまっていなかった」と述べた。レーゼンビーによる控え目な演技を中傷する者もいた。
他の面において『女王陛下の007』は、初期のボンド作品の奇抜な言動や小道具と決別した。しかしながら、その後の数十年間で、ボンドファンから普遍的な称賛には至らないが、批評家に気に入られなかったそれ以前のようなストーリー展開において、少なくともある程度の評価は得た。その中には、ボンド映画では稀有な純粋なラブストーリーも含まれていた(この作品では悲劇的な結末だが)。
シーマスター ダイバー300M 『女王陛下の007』50周年モデルは、作品に言及した部分をいくつか備えているが、その1つはかなり変わったものだ。文字盤には、ジェームズ・ボンド映画のクレジット部分の冒頭に現れる「銃身のライフリングをのぞく」ようなデザインが施され、日付リングの7の数字には、有名な「007」のロゴと同じフォントが使用されている。夜間には10時の蛍光パーツに「隠された特徴」が現れ、円内に「50」の数字が見られる。しかし筋金入りのボンドファンにとって最も興味深い特徴は、12時のマーカーだろう。映画に登場するものと同様に、ボンド家の紋章が図案化されている。
他のすべての面において、本機は標準的なシーマスター300Mであり、同軸エスケープメントや300m防水、ヘリウムエスケープバルブ、「マスター クロノメーター(Master Chronometer)」認定を備えている。
ファースト・インプレッション
映画に登場するボンド家の紋章は、いくつかある実際のボンド一族の紋章の一つを採用したものだ。最も簡単な紋章の文脈において、「山形紋の黒を背景とした、銀白の3つの金色の円盤模様」もしくは、「黒色の山形紋を背景とした銀の3つの金貨」と表現される。
映画のデザイナーが盾の上に兜、それに左上隅に赤い手を加え、準男爵(これは、準男爵ではないボンドにとっては違和感があるが)の身分や「Orbis Non Sufficit(ワールド・イズ・ノット・イナフ)」という家訓を示した。この家訓は言うまでもなく、後年のボンド作品のタイトルとなった。
ジェームズ・ボンドのシリーズが勢いを失う様子が微塵も見られない中、7007本限定の本機は、上記の紋章のように密かに配された部分を魅力的だと感じる、生粋のボンドファンに愛される一本だろう。しかしながら、これはどんな場面でもかなり見映えのする時計でもある。
金色の針や蛍光インデックスの周辺パーツが、ダークな文字盤を背にして魅力的に光を放つのだ。本機は既に販売中だが、ジェームズ・ボンド作品と『女王陛下の007』との関係という面で、1969年と同様、2019年もボンド映画にとって変化の時期である。ファンや批評家の長年のお気に入りだったダニエル・クレイグが、現在撮影中の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の完成と共に役を降板するのだから。
基本情報
ブランド:オメガ(Omega)
モデル名: シーマスター ダイバー300M 「女王陛下の007」50周年記念モデル(Seamaster 300M For The 50th Anniversary Of On Her Majesty's Secret Service)
直径:42mm
ケース素材:ステンレススティール、サイドに18Kゴールドシリアルプレート
文字盤色:黒、ガンバレルモチーフ
インデックス:アプライド、18KYG
夜光:あり、針とインデックス、10時位置に隠れた“50”の表示
防水性能:300m
ストラップ/ブレスレット:ラバーストラップ
ムーブメント情報
キャリバー:オメガ Cal.8800
機構:時、分、秒表示、日付表示
直径:26mm
パワーリザーブ:55時間
巻き上げ方式:自動巻き(手巻き付き)
振動数:3.5Hz(2万5200振動/時)
石数:35
クロノメーター認定:マスター クロノメーター(COSC)認定
価格・発売時期
価格:70万円(税抜)
販売時期:発売中
限定:7007本
話題の記事
Breaking News パテック フィリップ Ref.5711 ノーチラスがチャリティのための1点ものとして復活
日本の時計収集を支えた機械式時計ブームと、市場を牽引した時計ディーラーたち
Four + One カントリー歌手の時計コレクションが描く音楽キャリアの軌跡