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Introducing グラマラスな輝きを放つルイ・ヴィトン スピン・タイム エアー クァンタム(編集部撮り下ろし)

正々堂々、ルイ・ヴィトン。

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我々が知っていること

ルイ・ヴィトンはこの20年間、高級ファッションブランドとして名高いクリエイティビティとクラフツマンシップを際立たせる形で、高級時計製造のビジョンに磨きをかけてきた。ルイ・ヴィトンの高級時計部門はその間、ふたつの重要な出来事によって大きく定義されてきた。2002年に発表したドラム型のタンブールケースと、2011年に買収したラ・ファブリック・デュ・タンだ。この工房は、時計製造のベテラン、ミシェル・ナヴァス(Michel Navas)氏とエンリコ・バルバジーニ(Enrico Barbasini)氏が率いる高級時計の実験的なアトリエだ。

A man wears the Louis Vuitton Spin Time Air Quantum.

 この度発表されたルイ・ヴィトンの新作タンブール スピン・タイム エアー クァンタムは、タンブールコレクションとラ・ファブリック・デュ・タンの時計職人による創意工夫の両方から生み出されたものだ。2009年にナバス氏とバルバジーニ氏が初めて考案し、誕生以来、ルイ・ヴィトンのハイエンドウォッチのみに使われている、ユニークでわかりやすいジャンピングアワー表示システムのスピン・タイムを採用している。ジャンピングアワー・キューブの外側には、12個のLEDライトが配置され、特別な時刻表示を際立たせているのが、このエアー クァンタムの特徴だ。

 スピン・タイムは、ジャンピングアワーという複雑機構をかなり巧妙にアレンジしたものだ。エアー クァンタムでは、12個のキューブが「Louis Vuitton」と綴り、それぞれの文字がその日の1時間を表している。11時間は緑地に黒の文字だが、12時間になるとキューブが90度回転して新しい時間を示し、黒地に緑の文字になることで目立たせる。ダイヤル中央には、従来の分針が配置されている。例えば、上の写真では時刻はおよそ12時47分と表示されている。これまでのスピン・タイムと同様、このモデルにもモジュール式ムーブメントが採用されており、12個のマルタ十字型歯車(各アワーキューブに1個ずつ、ムーブメントと直角に取り付けられている)が各キューブを動かし、12時間ごとに回転を開始させる。

A close-up of the three-dimensional Louis Vuitton Spin Time Air Quantum display.

 ルイ・ヴィトンは、野生動物に自然に見られる生物発光と、スピン・タイム エアー クァンタムの名前の由来となった量子物理学の分野に由来する光のフォトンからインスピレーションを得たと述べている。またブラックとグリーンを基調とした現代的で大胆なカラーリングも、この時計の特徴だ。ルイ・ヴィトンは、ドゥ・ベトゥーンがDB28で採用したダイナモシステムとは異なり、12個のLEDディスプレイが使用するオンデマンドのパワーを供給するために、バッテリー駆動の電子システムを選択した(電池交換が必要になると、リューズに内蔵された電池残量インジケーターが点滅する。電池交換は内部の機械式ムーブメントに影響を与えることなく行うことができる)。

 ルイ・ヴィトンは、“いわゆる”ダイヤルの外周に電子LEDシステムを見えないように組み込むことができ、42.5mm×12.3mmというサイズを大きくすることなく、これまでのスピン・タイム エアーと比べてまったく新しい機能を持ち込むことができたのだ。オープンスペースとキネティックアクションに特化した複雑な時計としては、ほかの多くのモーションにインスパイアされたハイエンドな時計と比較して、実につけやすい。チタンケースに施されたブラックDLCコーティングは、手首への快適性と装着感を高めるために施された美的選択であると確信している。

The lit-up Louis Vuitton Spin Time Air Quantum.

 点灯させるには、3時位置のリューズにあるプッシャーを押し込むだけで、LEDが個々のキューブに直接スポットライトを当てる。プッシャーを押しているあいだ、そしてボタンから指を離してもさらに3秒間点灯している。従来のスピン・タイムウォッチに見られるアルミニウムの削り出しキューブではなく、溶融シリカガラスから丹念に作られたキューブは、キューブ内の光をより均一に分散させ、発光と視認性を高めている。

 ムーブメントはCal.LV68で、時計の中心部の内側に配置されている。ETA/セリタ社製のベースキャリバーを使用して、ラ・ファブリック・デュ・タン社製のスピン・タイムモジュールを上部に、電子LEDシステムを自動巻きムーブメントの外側に組み合わせている。スピン・タイム エアーであるため、アワーキューブの囲いはない。つまり、各キューブは浮いているように見えて、実際には個々の長いピニオンでムーブメントに接続されているのだ。スピン・タイムのムーブメントは、歯車とキューブが同じ空間のなかで別々の平面で動作するという、非常に優れた3次元構造を持っていると特筆できる。

 ダイヤルとケースには、大胆な色使いと頻繁に動く時間表示で見逃しがちなディテールを、隠し味的に施している。中央のダイヤルプレートにはコート・ド・ジュネーブ装飾が、さらにDLCコーティングが施されている。ルイ・ヴィトンのモノグラムロゴは、イエローのスーパールミノバでプリントされている。キューブとセンターダイヤルの下にある下側のダイヤルプレートにもDLCコーティングが施されているが、仕上げにはペルラージュが施されている。

The caseback of the Louis Vuitton Spin Time Air Quantum

ケースバックには世界的に有名な「LV」のモノグラムにインスパイアされたメタリックな“回路基板”があしらわれている。

 オープンダイヤル表示の外周には、傾斜した幅広のフランジが配置されている。サンドブラスト仕上げが施されているが、内部は空洞になっており、12個のLEDにパワーを供給する電子システムが内蔵されている。また、このフランジには鏡面仕上げの12個のアワーマーカーが組み込まれ、ディスプレイにさらなる視認性と立体感を与えている。これらのマーカーは、画像で見る限りではアプライドに見えるが、実際には先端にダイヤモンドをあしらった工具で精密に彫り込まれているのだ。さらに、DLCコーティングを施したチタン製タンブールケースは、マットなつや消し仕上げで、ベゼルの周囲にはルイ・ヴィトンの文字が刻まれ、スリムなベゼルと独自のタンブールラグシステムのエッジには、ハイエンドムーブメントの装飾以外ではほとんど見られないアングラージュが施されている。

 ネオングリーンのステッチが目を引くブラックのラバーとアリゲーターの混合素材ストラップを組み合わせた、ルイ・ヴィトン タンブール スピン・タイム エアー クァンタムの価格は、6桁ドルをわずかに下回る、1075万円(税込参考価格)となっている。ルイ・ヴィトンは、この時計が限定生産されると明確にしたが、その数は特定されていない。

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我々が思うこと

ルイ・ヴィトンは、スピン・タイム エアー クァンタムが、現在20年の歴史を持つ高級時計部門の正式な記念リリースではないと言っているが、色と光を強調したこの作品は確かに何かを祝う感じがする。この新作は、昨年発売されたスマートウォッチ、タンブール ホライゾン ライト・アップと同じように光と戯れていると言ってもいいかもしれない。ファッションブランドとしてのルイ・ヴィトン、時計メーカーとしてのルイ・ヴィトン、それぞれに対する思いはあるだろうが、この時計には本物の時計学的なおもしろさがあることを汲み取っていただければと思う。

The Louis Vuitton Spin Time Air Quantum leans on its side.

 ラ・ファブリック・デュ・タン、そしてスピン・タイム エアー クァンタムを生み出したミシェル・ナバス氏は、現在最も経験豊かで才能ある時計職人のひとりだ。オーデマ ピゲ、パテック フィリップ、ジェラルド・ジェンタ、フランク ミュラーで働いた後、閉鎖されたBNBコンセプト(短期間、若きレジェップ・レジェピ〈Rexhep Rexhepi〉氏と一緒に仕事をした)と、ラ・ファブリック・デュ・タンという形で自身の高級時計製造事業を開始したのだ。彼はオーデマ ピゲに在籍していた1986年に、世界初のトゥールビヨンウォッチのひとつを組み立てている。過去11年間、ナバス氏はスピン・タイムのコンプリケーションを駆使して、ルイ・ヴィトンの時計製造における実績を積み上げてきたのだ。

 今週初めに彼と話したとき、ナバス氏はスピン・タイムの構想について、「アイデアは空港にいるときに浮かびました」と言った。「飛行機を待っているときに、ボード上で都市名が反転しているのを見たんです。帰ってきて同僚と、時間を表示する別の方法を考えよう、針じゃなくて、何か回転するものを使ってみよう、と話し合いました。それが最初のアイデアでした。その後、12個のキューブを統合することに決め、このシステムが生まれたのです」

The Louis Vuitton Spin Time Air Quantum

 ナバス氏とラ・ファブリック・デュ・タン、そしてルイ・ヴィトンのハイエンドウォッチとの関係は、2000年代後半にスピン・タイムを独自に開発したことに端を発している。彼とパートナーのエンリコ・バルバジーニ氏は最初のプロトタイプを完成させたのち、「ルイ・ヴィトンの形、タンブールの形があるから 」と、当時誕生して間もないルイ・ヴィトンの時計製造部門を相互に思い浮かべた。

 「スピン・タイムのムーブメントはかなり厚みがあり、ホイールやキューブなど、立体的な構造になっています」と、ナバス氏。「プロトタイプはタンブールの形をしていました。だから、当時ルイ・ヴィトンに連絡して提案したんです。そして、彼らはそれを気に入ったのです」

 それから12年、スピン・タイムはルイ・ヴィトンの高級時計製造におけるキネティックな心臓部を形成するようになった。センタートゥールビヨン、ワールドタイマー、ミニッツリピーターと組み合わせて使用されてきたが、今回のリリースはハイパールミネセンスという形を通してコレクションに新たな次元をもたらした。このような時計にどれだけのものが投入されるのか、我々はよく知らなければならないと思う。12個のマルタ十字歯車、溶融シリカのキューブ、ピニオンをひとつのムーブメントにバランスよく配置することの難しさと必要な公差は、想像もつかない。スピン・タイム エアー クァンタムは、これまでのスピン・タイムほど技術的なおもしろみはないものの、美意識とクラフトマンシップの両面においてルイ・ヴィトンならではの妥協のないアイデンティティを首尾一貫して継承していると思う。

 ジャンプし、回転し、光り輝く。そしてもちろん時刻も表示される。この時計を楽しまない手はない。


基本情報

ブランド: ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)
モデル名: スピン・タイム エアー クァンタム
直径: 42.5mm
厚さ: 12.3mm
ケース素材:ブラックDLCコーティングのチタン
文字盤色: ネオングリーンアクセントのブラック
インデックス: 12個の溶解シリカ製 "ジャンピング"キューブ
夜光: あり、スーパールミノバ+ 12本のバトン型LED
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット:ラバー&アリゲーターストラップ(グリーンとブラック)、ブラックDLC加工を施したSS製アーディヨンバックル


ムーブメント情報

キャリバー: LV68
機構:ジャンピングアワー、セントラルミニッツ
パワーリザーブ: 35時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26
追加情報: ムーブメントに95部品、点灯装置に103部品、3秒間の照明時間


価格 & 発売時期

価格: 1075万円(税込参考価格)
限定: 限定生産

Images by author, unless noted.

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ルイ・ヴィトンの時計について詳しくは、同社のウェブサイトをご覧ください。
ルイ・ヴィトンは、LVMHグループの一員です。LVMH Luxury VenturesはHODINKEEの少数株主ですが、編集上の完全な独立性を維持しています。

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電池が必要だったり、時計としてどうなのかなと思う部分があるが、ルイヴィトンの製品としては素晴らしいのではないかと思う。自分では欲しくないけど、欲しい人は確かに居るだろう。