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HODINKEEは、時計はすべての人のためにあると信じている。そこで、世界各地で活躍するコレクターやクリエイターを紹介する、この新しい動画シリーズをお届けできることを大変誇りに思う。第一弾は、タイだ。エピソード1では、現地のセイコーマーケットの特徴をご紹介する。エピソード2では、世界で最も興味深いパイロットウォッチコレクションを手がける人物に出会った。そして、エピソード3では、時計製造の秘密が隠された町工場を訪ねる。
ショッピング大国のタイでは、巨大なショッピングモールで午後の時間をつぶすのが国民的な娯楽となっている。同じ屋根の下には、高級ブティックから狭苦しい屋台まで、あらゆるものがまぜこぜになっている。2010年初頭のある日の午後、私は涼をとるためにこのショッピングモールに入ったのだが、そこで衝撃的なものを発見した。ショーウィンドウに飾られたセイコーの限定モデルだ。
私は、時計自体を愛しているのと同じくらい、セイコーが大好きだ。そして、このタイ限定モデルについては、時計のフォーラムで読んだことがあったものの、見るのは初めてだった。しかも店員がいなかったため、聞くこともできない。自分で調べるしかなかったのだ。
その後、この特殊性の高い時計の市場を理解するために、10年にわたる探求が続いた。確かに他の国にもセイコーの限定モデルがあるにはあるが(北米ではプロスペックスSLA053/SLA059など)、数が少ないのだ。タイでは、アメリカで流行する何年も前から限定モデルがリリースされていた。そして、欧米の人々にとっては、これらの時計の多くは無名のままなのだ。
例えば、セイコーは昨年、“セイコー プロスペックス モンスター KMITL Go Beyond the Limit” という1000本限定モデルをリリースした。この時計は、タイ初の医療研究イノベーション病棟であるモンクット王チャオクン・タハン病院の建設をバックアップする機関、モンクット王ラカバン技術研究所へ進出の資金調達を目的に作られたものだ。セイコーがスポンサーとなったファッションショーや、地元の人々が川の精プラ・ウパクートの助けと保護を求めるファイ・タ・コーンなどの特定の祭典に焦点を当てた限定モデルは、他の国では見ることができないだろう。これはタイでしかできないことなのだ。だから、この新シリーズのスタート地点として最適だと考えた。
これから数ヵ月間、私は独自の時計収集文化を持つ特別な場所をたくさん訪れる予定だ。読者の皆さんもぜひ、この旅に参加して欲しい。なぜなら、私が思うに、時計はショーケースの下に閉じ込められるためのものではないからだ。時計はリアルな世界で楽しむものであり、自然のなかで身につけるものなのだから。
プロデュースと撮影を担当したUkrit Vanagosoom、David Jumpa、Katie McDermottに感謝したい。アメリカ本国のDavid AujeroとJoe Wyattは、素晴らしい動画編集でエピソード全体を生き生きとしたものにしてくれた。このシリーズは、私に話を聞かせてくれた人々なしには実現しなかった。この記事では、Akirakorn I-kitisiri氏と明石 宏幸氏にご協力いただいた。