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オメガ コンステレーションの輝かしい歴史を振り返る

ムーンウォッチの影から踏み出す一歩。70年にわたる精度、性能、そしてエレガンスを振り返る。


スピードマスターは、多くの愛好家にとってオメガの代名詞のような存在だが、それには十分な理由がある‐この時計にはオメガの他モデルや他の時計が到底及ばないほど豊かなヘリテージ(遺産)と歴史があるからだ‐以上。しかし、数十年にもわたり、オメガのフラッグシップウォッチは、1957年に登場したスピードマスターではなかった。スピードマスターに5年ほど先行し、その美しさと正確さで、オメガを手に入れるならこれと言わしめたのがオメガ コンステレーションである。

 コンステレーションの物語は、実はそれより少し前、1948年に遡る。この年、オメガは創業100周年を迎え、のちにオメガとなるラ・ジェネラル・ウォッチ・カンパニーは、1848年にルイ・ブランが創業し、1903年にルイ・ブラン&フレール -オメガウォッチ&カンパニーに社名変更した。これを記念し、オメガはセンテナリーと名付けた実用的な腕時計を製作した。センテナリー(1948年にシーマスターをデザインし、のちにコルム社を設立するルネ・バンワートによるデザイン)は、限られた本数しか製造されなかった。オメガによると、合計6000本が製造され、すべて金無垢製ケースだったという。この時計は大成功を収め、オメガはこの時計をベースにしたコレクションを製作することを決定した。それが、1952年に発表されたコンステレーションというわけである。

First model in the Constellation Collection

コンステレーション コレクションの初代モデル。画像提供、オメガ

 コンステレーションの名は、ケースバックのエンブレムに天文台とその上に8つの星が描かれていたことに由来する。8つの星は、オメガが1933年から1952年のあいだに獲得したふたつのクロノメーター記録と、6つの一等賞を象徴している‐1933年、キュー・テディントン天文台で、オメガはすべてのカテゴリーにおいて世界最高精度の記録を樹立し、1936年にも再びその偉業を達成したのだ。

 オメガの初代コンステレーションは、バンパーローター自動巻きムーブメント(Cal.351、352、354)を採用していた。これはローターが周回しない代わりに、アーチの両端でバンパースプリングに当たり、その反動でローターが往復して主ゼンマイが巻き上がる仕組みだ。このバンパームーブメントは、手首に装着すると、ローターが跳ね返っているのを実際に感じることができる、独特な構造をしている。

Omega Constellation belonging to Elvis Presley

エルヴィス・プレスリー所有のオメガ コンステレーション、1960年。

 初期の多くのコンステレーションウォッチの最も特徴的な点は、独特のファセット・コンベックス・ダイヤルだ。愛好家のあいだでは“パイパン・ダイヤル”と呼ばれ、確かにパイ皿を少し裏返しにしたような形をしている。パイパン・ダイヤルは、12面の小面を持つ、時計製造史上最も美しいダイヤルデザインのひとつだ(1952年の初代モデルには、美しいファセットマーカーも搭載されていた)。

1964 Constellation Grand Luxe

2008年、クリスティーズに出品された1964年製コンステレーション グラン リュクス。画像提供、Christie's

 コンステレーションの最も華やかなヴィンテージモデルのなかには、コンステレーション デラックス、コンステレーション グラン リュクス、コンステレーションIIデラックスカレンダーという名称で販売されたモデルが存在する。これらの時計は、非デラックスモデルと同じムーブメントを使用し、同じ精度で調整されていたが、重要な差別化要因のひとつが、しばしばゴールドブレスレットが採用された点だ。例えば、グラン リュクスモデルには、オメガ ラインホール社製“ブリック”ブレスレットが付属し、想像できる限り豪華なゴールドウォッチ仕様となっている‐運よく、研磨を免れたオリジナルコンディションの個体に出会えれば、その感動はひとしおだろう。

Omega Constellation De Lux

2018年、『Bring A Loupe』で紹介したオメガ コンステレーション デラックス。この時計はA Collected Manに掲載された個体で、1956年にイタリア市場で初めて販売された。画像提供、ACollectedMan.com

 1960年代にかけて、オメガ コンステレーションのモデルは、よりシンプルなダイヤルデザインを採用するようになったが、ケースの形状もより多様化に向かった。この時代のモデルで最も興味深いのは、知名度は低いものの、Ref.368.0847と168.045の2モデルで、いずれも現代的な意味での一体型ブレスレットを備えていた‐ブレスレットの両端にあるふたつのインナーリンクがケースのスロットにはまり、ブレスレットを純正品以外のものに交換することができなかったからだ。Ref. 368.0847には、この時計が発売される数年前に取得したピエール・モワナによる特許が適用されている。

Omega Constellation 1967

1967年製オメガ コンステレーション Ref.168.019。WG製

 これらのリファレンスは、ブレスレット一体型時計の歴史において、もっと頻繁に言及されるべきだ‐1972年に登場したロイヤル オークは、(スティール製としては)高めの価格設定とアグレッシブな輪郭で、おそらくより明確に「ラグジュアリースポーツウォッチ」と定義されると思われるが、一体型ウォッチという考え方においてはコンステレーションは確かに先行している。もし、この時計がドレスウォッチとして人々の記憶に定着していなければ、一体型ブレスレットウォッチのカテゴリーにおけるイノベーターとして記憶されていたかもしれないのだ。

クォーツ時計の技術開発は、通常、単純な一文に集約される。1969年のクリスマスにセイコーが初めて市販のクォーツ時計アストロンを発売した、と。しかし、クォーツ時計の技術は1927年から存在していた。1969年にはすでにロンジンが新型超高精度クォーツムーブメントを発表し(残念ながら記録には間に合わなかった)、スイスのクォーツムーブメント「ベータ21」は納入まであと数ヵ月というところまで来ていたのである。1970年に最初のベータ21クォーツ時計が納品され、このムーブメントを使用した時計には、パテック フィリップ Ref.3597、ロレックス オイスタークォーツ Ref.5100、ピアジェ Ref.14101、そしてオメガは、コンステレーション エレクトロクォーツにこのムーブメントを採用したのである。

The Omega Constellation Electroquartz

オメガ コンステレーション エレクトロクォーツ

 ベータ21キャリバーは、当時の技術的な制約を考慮すると理にかなっているが、変わり種だった。基本的な調速機構は、周波数8192Hzの水晶振動子で、針はオリジナルのアキュトロンに使用されたシステムと同様の音叉モーターで駆動していた。このシステムは十分に機能したが、消費電力が非常に大きく、ベータ21はすぐにより効率的なムーブメントに置き換えられた。

 1970年代を通して、オメガはクォーツ時計の技術開発と歩調を合わせ、LEDやLCDモデルなど、ルネ・バンワートが夢にも思わなかったようなモデルも登場した。しかし、今日のオメガ愛好家にとって、1982年は、3時位置と9時位置に特徴的なグリフ(爪)を持つ、今日私たちが知るコンステレーションの生産を開始した年であると言えるだろう。デザインは、1980年にオメガに入社したキャロル・ディディスハイムが担当し、超薄型のクォーツムーブメント、Cal.1422を中心に構成されている。ブレスレット一体型で、クリスタルの裏側にローマ数字が植字されたダイヤルも特徴的だった。

The Omega Constellation Manhattan Chronometer

オメガ コンステレーション マンハッタン クォーツクロノメーター

 この爪は、現在では多少なりとも装飾的と見なされているが、もともとは技術的な解決策に過ぎなかった‐ベゼルを排することで厚みを抑えるという発想からだ。その目的は、風防下にあるガスケットを圧縮して、超薄型ケースの防水性を高めることだった。1995年になると、コンステレーションは、クリスタルではなくベゼルにローマ数字を配した、現在のような外観に変化し始めた。

 自動巻きキャリバーは、1984年にコンステレーションに再導入され、2003年にはコーアクシャルキャリバーを搭載した初のオメガ コンステレーション(Cal.2500)が登場。そして、2015年に初のマスター クロノメーター・コンステレーションであるグローブマスターがお目見えする。

 現在のコンステレーションコレクションは、1952年から進化を続けてきた時計シリーズらしく多彩で、デザインと精度を両立するプラットフォームとしてのコンステレーションの歴史に則って、その大半は機械式クロノメーターかマスター クロノメーター認定を取得している。39mm径のマスター クロノメーターのグローブマスター(コレクションで唯一、マンハッタンで導入された現代版の爪を持たないモデル)をはじめ、41mm/36mm/27mmケースのコーアクシャル マスター  クロノメーターモデル、34mm/27mmのスモールセコンド マスター クロノメーターモデル、36mm/35mm/28mm/27mmのクォーツモデルが用意されている。また、マスター クロノメーターではないコーアククシャルクロノメーターモデルとして、38mm/35mm/27mmケース(35mmのスモールセコンドモデルを含む)が存在する。

Modern Omega Constellation Co-Axial Chronometer, 41mm

現代のオメガ コンステレーション コーアクシャル マスター クロノメーター、41mm。

 現在、コンステレーションには、想像できる限りあらゆるケース素材やその他パーツ素材を組み合わせたモデルが存在する。私が望むとしたら、おそらく1950年代のクラシックなパイパン・ダイヤルを再解釈したモデルだろう。しかし、現代のコレクションは、腕時計史において最も長く続き、最も重要な時計の新たな章‐クラシカルなミッドセンチュリーの優雅さを表現しているのである。

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