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エリック・ウィンド氏は、ウィンド・ヴィンテージ(Wind Vintage)のオーナーであり、Reference Pointsのコラボレーターとしてよく知られている。しかし、もっと昔、HODINKEE初期の頃にコラム“Bring A Loupe”で多くの寄稿記事を執筆していた同氏を知っている方もいらっしゃるだろう。彼はヴィンテージコレクションをより多くの人々に伝え、このウェブサイトでの彼の仕事を通じて、時計趣味の興味深い側面を紹介してきた。
私も含め、多くの人にとってウィンド氏といえば、ヴィンテージウォッチの代名詞のような存在だ。しかし、今回の記事のために話を聞くまで、彼の個人的なコレクションについてあまり詳しく知らなかった。本人曰く「50本くらいは持っている」とのことだ。
そのなかから、4つの時計に絞ってもらったのだが、これには彼も頭を悩ませたに違いない。この道一筋の彼にとって、数ある時計のなかから購入し、所有することになる時計は、どれも特別な存在に違いないからだ。
ネタバレ注意。“もうひとつ”のものを含め、ここにあるのはすべてヴィンテージだ。驚くべきだろうか? ノーだ。ほかのものが見たいか? もちろんそれもノーだ。
エリック・ウィンド氏との4+1をお楽しみください。
彼の4本
ギャレット クラムシェル クロノグラフ
「ギャレットは、クラムシェルと呼ばれる防水クロノグラフを製造した、最初ではないにしろ、初期の会社のひとつです」とウィンド氏は言う。「ケースバックは4本のネジで固定されていて、ポンププッシャーを備え、ツバ付き風防で下に収まっています。防水クロノグラフを作るための、とても興味深く、斬新なアプローチでした」
デザインはクラシックで控えめ。また、夜光塗料がないため、欠落の心配もなく、そのまま身につけることができる。
「第二次世界大戦でアメリカのパイロットが着用した卓越した時計のひとつです」とウィンド氏は話す。「ケースはロレックスのような重厚感があります。特に1940年代前半のクロノグラフに引かれるのですが、グレーとブラックの配色のこの時計は、絶対に売るつもりはありません」。ウィンド氏は友人であるMenta Watchesのアダム・ゴールデン氏から譲り受けたが、ゴールデン氏以前にも十分な出自があった。
「もし、自分の時計がこれだけで、一生これを身につけなければならないとしたら、それはとても幸せなことだと思います」。
ヴァルカン クリケット
ヴァルカンはウィンド氏が最初の好きになった時計のひとつだった。ジョージタウン大学在学中に、HODINKEEでこのブランドとクリケットについて読んだのを覚えている。もちろん、クリケットはアメリカの大統領と関係があるのだから、おもしろい。そして大学在学中からHODINKEEに寄稿し、歴代大統領の腕時計を紹介する長編ガイドを執筆することになったのだ。
「私は基本的にひとつのブランドをあまり多く集めない主義なんです。でも大好きで手放せないクリケットがたくさんあるんですよね」。このグレーダイヤルのバリエーションは、Ad Patinaの広告で見つけてからウィンド氏が何年もかけて探し求めた1本だ。
ウィンド氏は、友人のチャーリー・ダン氏から特別なクリケットを譲り受けた。「一周回った感じでしたね。チャーリーに最初のクリケットを売って、彼は私がこのモデルが大好きなことを知っていたのです。」と振り返る。「チャーリーはヴァルカンのクリケットについてHODINKEEで“A Watch of the Week”を書き、私はこの時計を「ロレックス エクスプローラー 完全コレクターズガイド」で着用しました」。
チューダー サブマリーナー Ref.9401/0
ロレックスのサブマリーナーは、ウィンドが初めて意識し、欲しいと思った高級時計だ。
「中学生の頃、コロラドに家族で旅行に行ったときのことです。父と一緒にロレックスの販売店に入って見たんです。目を閉じて“時計”というワードを思い浮かべると、サブマリーナーが目に飛び込んできます。時計のプラトニックな理想形だと思いますね」。
ウィンド氏は、Reference Points『ロレックス サブマリーナー 歴代モデルを徹底解説』でも紹介した「ニートフォント」のメーターファースト Ref.5512をコレクションしている。しかし、最近、彼が最も身につけているサブマリーナーは、ハイブリッドモデルと呼ばれるこのチューダーのサブマリーナーだ。「ラウンドシェイプの夜光プロットと長方形の夜光プロット、スノーフレーク針を備えた、より伝統的なサブマリーナーのダイヤルを備えている点で、ブラックベイ フィフティ-エイトのベースとなったモデルですよ」と語った。
ロレックス GMTマスター Ref.1675
35歳の誕生日に、ウィンド氏の妻は何か特別なものをプレゼントしたいと考えた。「彼女は、私が最近(販売のために)購入したこのゴールドのGMTマスターに夢中になっていることを知り、彼女と子供たちからのプレゼントとして買ってくれないかと頼んできたのです」。
「もちろん、これは一生つけてもいい時計だ 」と。「それにフロリダらしい時計でもあるんですよ。色もすごくいいし、太陽の光に照らされたダイヤルの光沢は、ゴールドの文字が浮き出ていて壮観です。レイトギルトのダイヤルには硫化亜鉛トリチウムというものが入っていて、夜でも光り、時間が少し見えるので、ちょっと便利なんです」。
「ロレックス GMTマスター 歴代モデルのReference Points記事と私の35歳の誕生日、妻と子供たち、そしてフロリダの生活のあいだで、思い出が合流したのです。息子のチャーリーと一緒にライダーカップに参加したのですが、愛国心にあふれた選択だと感じました。時計の美しいところは、時計と一緒に思い出を作ることができ、それが時計に対する気持ちをさらに高めてくれることです」。
もうひとつ
ロンジンの腕時計クロック
ウィンド氏は“もうひとつ”のためにいろいろなものを選ぶことができた。愛用しているスコッティ・キャメロン009パター。インドのチャンディーガルで買ったジャンヌレのチェア。フロリダのクレイグスリスト(Craigslist)で見つけたすばらしいオフィスデスク。オズワルド・ミルズ・オーディオのフリートウッド・サウンド・カンパニーのダビールラウドスピーカー。
「時計は私の人生です」とウィンド氏は肩をすくめる。「時計の形をしたこの特大のロンジン時計は、見るたびに笑顔にしてくれるんですよ」。
この時計は、ノルウェーの元ロンジン販売店の廃墟となったクローゼットのなかで発見された。ウィンド氏の知る限りでは、オリジナルのスタンドがない状態でロンジン・ミュージアムにあるものと、ここでご覧いただいているもののふたつしか現存していない。ロンジンは、なかの懐中時計のムーブメントが今も元気に動いていることを記録しており、ウィンド氏はそのムーブメントの抄本を注文することができた。
「とても特別なものです。私が愛する時計と収集のすべてが詰まっているんです」。