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Photo Report 2022年ミッレ ミリア、時間との戦い

世界で最も美しいレースは、ショパールにとって特別な情熱であり、長年のパートナーシップでもあるのだ。


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ミッレ ミリア(Mille Miglia)のようなレースはほかに存在しないし、イタリア以外の国でこれを正当に評価することはできない。1927年から1957年のあいだに24回開催されたミッレ ミリア(通称1000ミリア=1000マイル)は、ブレシアからローマ、そしてブレシアに戻るという公道での総当たり耐久レースだった。1977年からは、サーキットのように全力疾走するのではなく、決められた距離を正確な平均速度で走る「定常走行レース」として復活し、今年で40回目の開催となる。

 このイベントには、1927年から1957年のあいだに製造され、その時代にレースに出場した車両が参加できる。これらのクルマがイタリアを1周する1000マイルの道のりを走るため、素晴らしいコレクターズカーイベントとなっているのだ。レースは段階的に行われ、ドライバーの休息と地元の人々のクルマ鑑賞のために、ルート上のさまざまな中継地点で停車する。

karl-friedrich and friends

ミッレ ミリアのスタートを前にしたカール・フリードリッヒ・ショイフレ(Karl-Friedrich Scheufele)氏と娘のキャロライン・マリー(Caroline Marie)氏、レーシングドライバーのジャッキー・イクス(Jacky Ickx)氏。

 ミッレ ミリアは僕のやりたいことリストに長いこと入っていたが、今年、1988年からメインスポンサーとしてレースをサポートしているショパールと一緒にオープニングセレモニーに参加する機会を得ることが出来た。ショパールの共同社長であるカール・フリードリッヒ・ショイフレ氏は、1989年から毎年レースに出場している大のクルマ好きだ。いつも共同ドライバーは有名なレーシングカー・ダイバー(そしてショパールのアンバサダー)であるジャッキー・イクス氏だが、今年は娘のキャロライン・マリー氏とともにドライブする(上の写真はその3人)。

 HODINKEE Radioの最新エピソードで、カール・フリードリッヒ氏とジャッキー氏に話を聞くことができ、彼らの出会いやミッレ ミリアの特徴、そしてショパールがなぜ長年にわたってこのイベントに欠かせないサポーターであるのかについて、素晴らしい話を聞くことができた。こちらをクリックしてお聴きください。

300sl details

カール・フリードリッヒ・ショイフレ氏の1955年型300SL(W198)。

sl300 details

カール・フリードリッヒ・ショイフレ氏の1955年型300SL(W198)。

car macro

オースティン・ヒーリー100/6

the start of the day

カール・フリードリッヒ・ショイフレ氏の1955年型300SL(W198)。

 レースは2022年6月15日から18日までいくつかのステージで行われ、僕らの1日はイタリアのスタート/ゴール都市ブレシアから約45分離れたホテルで始まった。ドライバーではない僕のためにシャトルバスが用意されていたが、カール・フリードリッヒ氏の1955年型メルセデス・ベンツ300SLのあとに出発する1955年型フィアット・ミレチェントのミニサイズの後部座席にイタズラで乗り込んでみた。この景色は、なんというフレームだろう。

car driving on the road

1955年式フィアット・ミレチェント1100/103TVベルリーナの後部座席からの眺め。

karl-friedrich's 300sl through the window

1955年式フィアット・ミレチェント1100/103TVベルリーナの後部座席から見た300SL。

the view out the windshield

高速道路を走る小さなクルマ。

 当初の予定より長いドライブになった。フィアットの燃料問題が発生し、ブレシアに向かう途中のイタリアの高速道路の脇で止まってしまったからだ。

dash detail of the millecenta

フィアット・ミレチェント1100/103TVベルリーナのダッシュボードと、それに付随するレース用のSOSボタン。そう、僕らはそれを使わなければならなかったのだ。

break down in brescia

少なくとも、止まったときはいい感じだった。

 ブレシアの迷路のような古い街並みに入ると、故障はあまり気にならなくなった。街の誰もがなぜこのようなクルマがここにあるのか知っていたし、僕らが迷っていることも知っていて、可愛いフィアットの後部座席から僕が体を伸ばす前に、しばしば押したり微笑んでくれた。

 そして、ヴィットリア広場にたどり着き、車検の最終段階である“クルマの封印”を受けることになった。


ミッレ ミリア・ヴィレッジ - ヴィットリア広場、ブレシア
the staging aera

公式スタート前のブレシアのステージングエリア。

a porsche 356

1955年製 ポルシェ 356 1500 スピードスター

headlights

1950年製 ヒーリー 2400 シルバーストーン

the staging area

 正直なところ、ヴィットリア広場は完全に動物園だった。ペブルビーチやヴィラデステとは違う、純粋な自動車のスペクタクルだ。広い通路の両側を埋め尽くすほどのクルマが波状的に運ばれてきて、最終チェックを経て広場をあとにする。インフルエンサー、ドライバー、関係者、そして僕のようなカメラマンが大勢いるなかを、クルマがゆっくりと這うように進んでいく。大音量の音楽が流れ、マイクを持った男がPAで延々とテンポよくしゃべり続ける。何を言っているのかわからない。イタリア語は話せないし、気温は35度くらい。カメラが熱くなっている。

ショパールのイベントでもめったに見られない、L.U.C タイム トラベラー ワンのワールドタイマー。

a 300sl

1954年式300SLに施された、プログラムで見た最高のリバリー。

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mille miglia

1949年製 ヒーリー 2400シルバーストーンの詳細

a blue car

1949年製 ヒーリー 2400 シルバーストーン

the staging area

ヴィットリア広場には多くのクルマがショーのために入ってくる。

jaguar

1952年製ジャガー XK120 OTSロードスターの細部

300sl dash

300 SLの内装

a jaguar dtype

すごい……1956年製 ジャガー Dタイプ

筆者はうっとり。

ヘッドホンが必要なほどの大音量。アーメン。

 クルマが。そう、クルマだ。炎天下に立っていると、次から次へと夢のクルマが目に飛び込んでくる。黒いDタイプ、素晴らしいフィアット、フェラーリ、アルファロメオの数々。そして、ブルーのBMW507は、ドライバー一家の祖父が新車で購入し、3世代に渡って家族に愛されてきたという驚くべきクルマだ。下にスクロールして、ぜひ見て欲しい。

a chopard watch

今年のミッレ ミリア2022レースエディションを身につけたドライバーとショパールのレースカーの1台。

a man in a car

レッツゴー。

an alfa romeo

1930年製 アルファロメオ 6C 1750 グランスポーツ

a mercedes

1955年式 メルセデス・ベンツ 190SLと見物客

a mercedes

1955年式 メルセデス・ベンツ 190SLのダッシュボード

aston martin

ナンバープレートがないこと、ミッレ ミリアのプレートやミートボールがないことから、ANC スポーツカー製の1957年型 アストンマーティン DBR1のレプリカと思われるもの。

two men in a car
a jaguar

ジャガー XK 140のディテール

details of a porsche 356

ポルシェ 356 スピードスターのディテール

details of an alfa 6C

1929年製 アルファロメオ 6C1750 スーパースポーツのディテール

bmw 507

文字どおり言葉を失うほどの1957年式 BMW507。ブルーは初めて見たが、今回のイベントのなかでいちばん好きかもしれない。

a bmw 507
a bmw 507

ワオ。

a red car

過去の走行を伝える、1952年式 パリゾット パスクアリン フィアット 750 スポーツ。

two alfa romeos

古いものとそうでもないもの。1928年式 アルファロメオ 6C 1750 スーパースポーツ・ザガート(左)と1954年式 アルファロメオ 1900 スポーツスパイダー。

a fiat

美しい1950年製 フィアット コッリ 1100。

an alfa romeo with a flag on it

ビバ・イタリア。

an alfa dash

アルファロメオ6Cの驚くべきインテリア。そのスイッチギアを見てほしい。

a red car

ワイルドな1938年製 フィアット 1100 ベルリネッタ MM。

a blue car

1957年式 アルファロメオ ジュリエッタ・スプリング・ヴェローチェ・ベルトーネ 

the dash of a rally-prepped car

1936年式 ライリー・スプライトのダッシュボードには、レギュラーラリーを支援するためのコンピューターが。

a fiat

1955年製 ランチア オーレリア B24 スパイダー “アメリカ” ピニン・ファリーナ

a red 300sl

真っ赤な300SL


よく言われること...「で、時計は?」
the chopard 2022 mille miglia

 僕らはここまでに多くのクルマの画像を見てきたが、そこには時計のストーリーもあり、それは主要ブランドの通過儀礼の結果ではない。ショパールは1988年以来、ミッレ ミリアの重要なサポーターであり、彼らはこのレースをネームシップとしてスポーツウォッチの全ラインを展開し続けている。そして、毎年開催されるこのイベントにちなんで、ミッレ ミリアの特別なデザインを施した限定モデルも発表している。

 今年、ショパールは限定クロノグラフ、ミッレ ミリア 2022 レースエディションを製作した。スティール製が1000本(税込99万円)、18Kローズゴールドとのツートーンが250本(税込145万2000円)のこれらのクロノグラフは、既存のGTSラインをベースに、44mm径、ブルーセラミックのタキメーターベゼルが、ブルーとレッドのアクセントのあるシルバーダイヤルを取り囲んでいるのが特徴だ。

the mille miglia 2022 chopard

 その特大ケースのなかには、自動巻きで、3時位置に日付を持つ、COSCクロノメーター認定を受けたETA7750が収められている。この時計には、ダンロップのヴィンテージレーシングタイヤのパターンを取り入れたラバーライニングの、実に美しいブラウンのレザーストラップが装着されている。

the mille miglia 2022 chopard
the mille miglia

ショパール ミッレ ミリア レース エディション 2019のツートンカラーのモデル

the mille miglia

ショパール ミッレ ミリア レースエディション 2015は、このレースのリピーターの腕に見られるような真っ赤なダイヤルが特徴。

the first mille miglia from chopard

 上の写真は、ショパールのヘリテージ担当、フアン・ガルシア(Juan Garcia)氏から特別に見せてもらったもの。1988年に発表されたショパール ミッレ ミリア ウォッチのオリジナルモデルだ。クォーツ式のモノプッシャークロノグラフで、サイズはわずか32mm、赤く塗られたベゼルとトリチウムマーカーが特徴だ。そしてここにきて、33.5mmのセイコーが小型腕時計をリードしていると思っていたが……。

a lume shot
the case back

 2022年版は僕の腕には大きすぎるのだが、これらの最新のミッレ ミリア レース エディションの外観や雰囲気がとても気に入っているし、小さくてよりヴィンテージ感のある39mmと42mmのサイズは、長いあいだいいと思っていた。

the the mille miglia 2022 chopard
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レースはヴィアーレ ベネチアから始まる
a ferrari

このイベントで僕の好きなもう1台は、チューリッヒで登録された1953年製のフェラーリ 250MM ベルリネッタ ピニン・ファリーナだ。

 ミッレ ミリアでの滞在の最後には、ブレシアのヴィアーレ ベネチアという道路の閉鎖区間の特別ステージで、各車が公式計時を開始するのを見ることができた。実を言うと、451台すべてのクルマがスロープを駆け上り、レースを開始するのを見るために滞在したわけではないが、素晴らしいクルマを見るため、そしてあの素敵な300SLのカール・フリードリッヒ氏とキャロライン・マリー氏を応援するために、僕らはその場にとどまった。観客は道の両脇に何マイルも並んでいた。

a green car

1955年式 HWM ジャガー3.4がステージに近づく。

a man in a jeep

1952年のフィアット AR 51 カンパニョーラで1000マイルの長旅の始まり。

a car entering the start point

1953年式 ジャガーXK 120 OTSロードスターがスロープを登り、イベントのスタート地点へ。

people happy at mille miglia

ミッレ ミリアで最も古いマシンのひとつ、1927年式 ランチア ラムダ ティーポ 218のドライバーの無事を祈る。

a bugatti

1927年製のブガッティT37。信じられないような音。

a blue car

1945年式 D.B.シトロエン・スパイダーでスタイルにポイントを。

bugattis

ローマへの初のスタートを待つ1927年製 ブガッティT37のペア。

a pair sitting close in a red car

1948年製 OSFAフィアット750Sで接近戦。

chopard 300sl

カール・フリードリッヒ・ショイフレ氏所有の1955年製 メルセデス・ベンツ300SLがステージに近づく。

a car entering the start area

ファンダムと1947年式 アルファロメオ 6C 2500 SS スパイダーコッリ。

a fiat 500

愛らしい1952年製 フィアット 500C ベルヴェデーレ

a healy

極めてクールな1947年製 ヒーリー ダンカン・ドローン

a green car

もう1台のヒーリー、今度は1948年式の2400 エリオット。

a bugatti

1929年製 ブガッティT40のノーズ

a ferrari

驚異の1955年製 フェラーリ 857S

sometimes you need a push

ヴィンテージカーならでは。

red on red

1947年式 チシタリア 202 S MM スパイダー ヌボラーリ

a blue car

同じく1947年、印象的なタルボ・ラーゴ T 26GS。

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a red car

ワイルドな印象の1946年 ランチア アプリリア・スポーツに続き、1947年 チシタリア 202 S MMスパイダーが登場。

flying the italian flag

1941年式ランチア アプリリア・ベルリーナ 1500から旗を振っているところ。

 僕も含め、ある種の人間にはヴィンテージカーと時計への愛情は切っても切り離せないものだ。ミッレ ミリアは、一見するとヴィンテージレーシングカーのドライバーのコスプレをする機会のように見えるが、実はそれ以上のものなのだ。エネルギー、興奮、人ごみ、そしてイタリア。酔いしれるほどだ。

 僕はこれまで、ブランドとのパートナーシップやアンバサダーに魅力を感じたことはない。ときには、それがクールであることもある。個人的には、不発に終わったパートナーシップは、そのモデルやブランドに対する僕の興味を失わせることがある。しかし、ショパールはミッレ ミリアと素晴らしいパートナーシップを結び、ショパールの独立した家族経営のブランドとしての能力を活かしながら、彼らのリーダーシップの情熱を反映させることができたのだ。

a ferrari

1952年製 フェラーリ340アメリカ・スパイダー・ヴィニャーレ

a jaguar xk120

1950年製 ジャガー XK120 OTS ライトウェイト

a green car

1955年製 HWM ジャガー 3.4

 この光景を目に焼き付けようとするのは、ドライバーとして、あるいは観客として、イタリアを訪れるもうひとつの大きな理由になる。僕は今、カメラの後ろから見ているが、いつかハンドルの後ろから見ることができたらと思う。なんてね。

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