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Hands-On グラスヒュッテ・オリジナル、アシンメトリーレイアウトの同社初のアニュアルカレンダーを発表

ドイツ時計メーカーのフラッグシップモデル「パノ」コレクションに、新ムーブメントと新たなコンプリケーションが登場。

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グラスヒュッテ・オリジナル(GO)について私が気に入っていることのひとつに、同社がムーブメントの約95%(ネジに至るまで)をドイツ・グラスヒュッテの本社で自社生産しているという事実がある。GOの親会社であるスウォッチ・グループがスイスに拠点を置くのに対し、自社生産とドイツに拠点を置くことで、ある程度の自律性を確保しているのだ。

Glashütte Original Annual Calendar

 そのため、グラスヒュッテ・オリジナルは、ほかでは見つけることが難しいデザインや複雑機構を中心に、実に多様で豊かなラインナップを提供できるのである。このように、グラスヒュッテ・オリジナルは時計作りに対して多様なアプローチをとっているため、どの時計がグラスヒュッテ・オリジナルのシグネチャーデザインといえるかを判断するのは、実はとても難しいことなのだ。しかし、あえて挙げるなら、アシンメトリーな文字盤が特徴的なドレスウォッチ「パノ」コレクションだろう。

 グラスヒュッテ・オリジナルはこのほど、パノコレクションの新たな展開としてパノマティックカレンダーを発表。スタンダードなパノリザーブとムーンフェイズ搭載のパノマティックルナに加え、同社初の年次カレンダーを搭載した複雑時計として、堂々たる存在感を示している。

Glashütte Original Annual Calendar

グラスヒュッテ・オリジナル パノマティックカレンダーの新作は、プラチナとローズゴールドの2本が初登場。画像: グラスヒュッテ・オリジナル

 グラスヒュッテ・オリジナルは、パノコレクションの特徴的なデザイン要素であるオフセンターのダイヤルレイアウトを維持している。実際、パノマティックルナーとパノマティックカレンダーをひと目で見分けるのは難しいかもしれない。その大きな違いは、文字盤右下の丸みを帯びた外周に沿ってスライドする月表示だ。12ヵ月はアラビア数字で表示され、シングルボールベアリングにセットされた黒いディスクが文字盤の下をスライドして現在の月を強調する。例えば上の画像では、日付は8月25日だ(このアニュアルカレンダーには曜日表示はない)。

Glashütte Original Annual Calendar

 月表示は、機能はまったく異なるものの、レトログラード時刻表示の外観と機能を想起させる、興味深いデザインアプローチだ。この実装は、かなり直感的でクリーン、それに文字盤のほかのレイアウトと一貫性があり、文字盤上に月の略称を使用する典型的でかなりうるさいアプローチとは明らかに対照的であると思う。アラビア数字が、スモールセコンドサブダイヤル、ムーンフェイズ、日付窓の数字と統一感を持たせている。

Glashütte Original Annual Calendar
Glashütte Original Annual Calendar

 パノマティックカレンダーでは、文字盤上の情報をよりシンプルにするために、さまざまな工夫が凝らされている。現行モデルのパノマティックルナにあった“Mondphase”や“PanoramaDatum”といったドイツ語の不要なラベルは削除され、文字盤上の各複雑機構を囲むオープンスペースが強調されている。パノマティックカレンダーは、時計が語るべきことを語ってくれるのだ。文字盤を囲むスロープ状の見返しは、これまでのパノにはなかった立体的な魅力がある。

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 パノマティックカレンダーのケースは、標準的なパノリザーブやパノマティックルナの直径40mmよりも大きく、42mm×12.5mmの新たなプロファイルが採用されているのも特徴だ。文字盤上の「月」のコンプリケーションに余裕を持たせつつ、手首に圧迫感を感じさせないサイズになった。

Glashütte Original Annual Calendar

 搭載するCa.l92-09は、Ca.l90をベースに、月表示用のモジュールを追加したモデルだ。月と日付はリューズの2番目の位置で調整。ムーンフェイズは、ケース側面にリューズと同じ高さにあるプッシャーで調整する必要がある。ムーブメントは、大きなひとつの香箱による100時間のパワーリザーブ(パノマティックルナの2倍以上)を備え、内部のヒゲゼンマイはハイテクシリコン製で、グラスヒュッテ・オリジナルのタイムピースに求められる複雑な手作業による装飾が全て施されている。

Glashütte Original Annual Calendar

 グラスヒュッテ・オリジナルは、非常に複雑な時計を作る方法を知っている。同社のコレクションのなかには、フライングトゥールビヨン、パーペチュアルカレンダー、自動巻きクロノグラフ、そして(私の意見では)世界で最も便利なトラベルウォッチを見つけることができる。このような経験から、アニュアルカレンダーをリリースするという選択は、特に興味深いものだと感じている。ハイエンドな永久カレンダーに代わる、より親しみやすい時計として、コレクターがこぞってアニュアルカレンダーを欲しがるということはほとんどないのだ。

Glashütte Original Annual Calendar

 しかし、グラスヒュッテ・オリジナルが得意とするもうひとつの分野、バリューが提供されている。今回撮影したローズゴールドのモデルは、363万円(税込)だ。決して安くはない。もっと手頃な価格のアニュアルカレンダーも存在するが、新しいパノマティックカレンダーほど手作業による装飾やムーブメントの質は高くない。より適切な価値比較は、サクソン通りの向かいにあるA.ランゲ&ゾーネから得られるかもしれない。例えば、ピンクゴールドのシンプルな3針の1815の希望小売価格は、現在327万8000円(税込)となっている。

Glashütte Original Annual Calendar

 グラスヒュッテ・オリジナルは、今回生産されるローズゴールド製に加えて、プラチナ製ケースに一部スケルトン加工が施された150本限定のパノマティックカレンダーを税込み価格489万5000円で提供している。

 グラスヒュッテ・オリジナルが今後、パノマティックカレンダーをどのように進化させていくのか、特に注目したいところだ。貴金属で生産を開始したことは非常に理にかなっているが、将来的にステンレススティール製のパノマティックカレンダーが登場する可能性は大いにあると思う。

クレジットのない画像はすべて著者によるもの。

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HODINKEE Shopはグラスヒュッテ・オリジナルの正規販売店です。また、HODINKEE Pre-Ownedでは、グラスヒュッテ・オリジナルの中古時計を販売しています。グラスヒュッテ・オリジナルについての詳細は、同社のウェブサイトをご覧ください。

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グラスヒュッテオリジナルはどのモデルも良くまとまっていて完成度が高い。中でもこのモデルは素晴らしいと思うが、もう少し小さくて薄ければいいなと感じる。