私はApple Watchが発表された翌年に時計メディアの世界に足を踏み入れた。私の機械式時計に対するキャリア、そして個人的な興味は、Appleがバルログ(※)のように降臨し、機械式時計に対するすべての人の情熱と熱意を破壊するのではないかと、業界関係者が恐れていた時期に生まれたものだ。
※編注;『指輪物語』(原題:The Lord of the Rings)や『シルマリルの物語』(原題:The Silmarillion)などの創作に登場する怪物。
とはいえ、世界的な経済危機にもかかわらず、伝統的な時計産業、つまり昔ながらの機械式時計はかつてないほど好調だ。リシュモンとLVMHは、時計部門が予想以上の収益を報告している。2022年11月の輸出額は、スイス時計業界にとって過去最高の月となった。ムーンスウォッチのようなバイラル商品がインターネットを席巻し、いうまでもなく世界中のスウォッチブティック周辺の通りを席巻している。ついでながら言うと、今日において高級時計はこれまでにはない形で世界的な文化的話題の一部となっている。
Apple Watchは、パテック フィリップやオーデマ ピゲの世界を傷つけるものではない。リストウェアという概念をよりユビキタスにし、その範囲を広げることに貢献したようだ。Apple Watchは、我々が知っている腕時計を脅かすものではない(だろう)というのが、今の私の意見だ。自分は勝手にそう思っている。
過去8年間、Apple Watchのニュースは、かなり周期的なアプローチを期待されるようになってきた。8月から9月にかけて新モデルが発表され、短期間で納品される。これらのリリースのほとんどは、車輪の再発明ではない。Apple Watchがこの数年で見せた最大のアップデートは、2017年のSeries 3でLTEセルラーを直接サポートするようになったときと、2019年のSeries 5で常時接続ディスプレイを追加したときだろう。
これは、Apple Watchの8年の歴史のなかで、従来のApple Watchのプラットフォームから最も大きく逸脱したモデルです。我々はApple Watch Ultraのようなものをこれまで見たことがなかったし、それはスイスの時計業界も同様だ。
そのため、私は本稿でちょっと違うアプローチをしようと思ったのだ。私はダイビングのライセンスを持っていないし、走らない。運動の習慣は、せいぜい散発的なものだ。ジェイソン・ヒートン(Jason Heaton)やDC レインメーカー(DC Rainmaker)がまだ言及していないようなことを、この製品を限界まで使ってみていえるだろうか? そこで、従来の時計愛好家のレンズを通して、Apple Watch Ultraに対する私の見解を述べたいと思う。2014年にベンが初代Apple Watchを初めて扱った数日後に使用した形式を、もう一度見直してみることにしたのだ。
そして、はっきりさせておきたいのは、私は自分がウェアラブルテクノロジーに嫌悪感を抱いているわけではないということだ。Apple Watchは、私にとって腕時計の話題のなかで常に重要な位置を占めているが、それが私の焦点になったことは1度もない。この文章はMac Bookで打っていて、隣にはiPhoneが置いてあるが、私はレビュー期間以外、Apple Watchを所有したことはないのだ(Series 2、Series 5、そして今は実地試験の一環としてSeries 8とUltraモデルを装着している)。
本稿のために、私は3カ月近くApple Watch Ultraを断続的に着用した。丸1日着用したこともあれば、数時間しか腕につけなかったこともあり、その後、私物の機械式時計につけ変えたこともあった。
以下が、私の感想である。
Apple Watch Ultraについて知っておくべきこと
ベルとホイッスルが豊富: どのスマートウォッチも、我々のほとんどが必要としないような革新的な新技術でいっぱいであり、Apple Watch Ultraは、おそらく90%の確率で不要と思われる情報を提供する究極の例だろう。
だが、Apple Watch Ultraの優れた点は、ディスプレイスクリーンのアップグレードによって、その情報に簡単にアクセスでき、かつ消化しやすくなっていることだ。例えば、UltraはApple Watchのなかで最も明るい画面、2000nit(※)を実現している。2000nitだ! nitとは何かよくわからないが、これはこれまでのApple Watchの2倍の出力にあたり、厳しい日光の下での視認性を高めているそうだ。
※編注; ディスプレイの明るさなどを表わすときに用いられる輝度、明るさの度合いを示す単位。ニト。
Apple Watch Ultraは、EN 13319(ダイブコンピュータの国際規格)に認定された潜水能力を持つ100mまでの防水機能も備えており、摂氏-20℃から55℃(華氏の場合は-4℃から131℃)のあいだの極端な温度にも耐えることができる(私より時計のほうが優秀だ!)。さらに、最大86dB(600ft/約183m先まで聞こえるらしい)のサイレンもあり、新しい“アクションボタン”(詳しくは後ほど)を長押しすることで、簡単にオフ/オンを切り替えることができる。この時計は、ライフセーバーであり、パーティの仕掛けでもあるのだ。
Apple Watch Ultraのそのほかのアップデートには、Apple Watch史上最大のバッテリー駆動時間が含まれており、1回の充電で36時間の自律動作を実現する。GPSの性能も見直され、L1信号とL5信号の組み合わせに接続する新しい高精度デュアルシグナルリンクに更新。あらゆるスマートウォッチで利用できるGPSシステムのなかでも、より高精度なものになるはずだ。セルラーサービスはすべてのApple Watch Ultraに自動的に組み込まれ、風切り音の低減を考慮し、Ultraのケースにはふたつのマイク(合計3つ)が追加された。
Apple Watch Ultraは、新しいApple Watch Series 8と多くのディテールを共有しており、特にウェイポイント/バックトラック機能を備えた気の利いた新しいコンパス機能を搭載している。Series 8のレビューで、ウェイポイント/バックトラック機能を使用した経験についてはかなりの時間を費やしたため、ここではそのトピックについて再び深く掘り下げることはしないが、これは本当に楽しい機能で、(つまり年に1、2回、私がハイキングに行くときの)確かな使用例を見つけることができると思う。
Apple Watch Ultraは、これまでのどの時計よりも、身につける人とその周囲の環境について多くの情報を提供する。しかも、その情報は持続可能かつ魅力的な方法で提供され、ポケットにしまったかさばるスマートフォンではできないような、リアルタイムの生きたフィードバックを提供するのである。
大きなApple Watchのケース: Apple Watch Ultraは、一見してApple Watchとわかるようになっているが、実はSeries 8と比べても、ケース形状や外観が異なっている。最大のポイントは、ケース全体が航空宇宙グレードのチタンで作られていることだ。サイズは上から下まで49mm(従来の直径を左右で約46mm)、厚みは14.4mmと、Apple Watch史上最大の大きさだ。サイズは1種類のみ(現時点では)。上部のサファイアクリスタルは、偶発的な衝撃や衝突から保護するため、完全にフラットになっている。もし、何かの拍子に画面が消えてしまったり、黒くなってしまったりしたら、まるで手首にミニチュアテレビの画面があるかのように錯覚してしまいそうである。
サイズが大きくなったことに対する率直な感想は? 邪魔になるとは思わなかった。決して大きすぎるとは感じなかったのだ。私は大きな時計が嫌いではないし、Ultraは明らかに大きく充実した製品だが、私の手首に対して圧倒的に大きいというわけではない。Apple Watch Ultraがあなたにとって大きすぎるかどうかを判断するには、自分の頭を使い、自分自身に正直になる必要がある。Appleは今、ひとつのサイズしか提供していないため、本当に単純なイエスかノーかの質問だ。私は今までパネライや、G-SHOCK、あるいはありふれたセイコーのダイバーズウォッチをつけたことがあるなら、Ultraは、おそらくあなたの手首にフィットすると思う。正方形の時計は円形の時計とは異なる着用感であることは誰もが知っているため、49mmという大きさには驚かされるが、それは少し誤解を招く可能性がある。
購入前にお近くのApple Storeで試着し、快適かどうか確認することをおすすめするが、HODINKEEの読者の多くは、自分の手首のサイズについて一般よりもよく理解をしていると思う。もし、あなたのおじいちゃんが1954年のジュニアプロムにつけていたドレスウォッチのようなつけ心地を期待していたら、嫌な思いをすることになるだろう。
サイズ以外で外観上の最も大きなアップグレードは、ケース右側面に超大型の“デジタルクラウン”とサイドコントロールボタンを収めた立体的な面が存在することだ。新しいデジタルクラウンは、グローブ着用時の操作性を考慮し、従来のどのクラウンよりも直径を大きく、溝を深くしている。
ケースの左側には、ワークアウトの開始やラップタイムの入力など、さまざまな機能を設定できるカスタマイズ可能な、コントラストの高いインターナショナルオレンジカラーの“アクションボタン”が新たに設けられている。Apple Watch Ultraを手にしているあいだ、私はクイックアジャストアクションボタンを主にストップウォッチ機能に設定しておいた。というのも、この機能が最も伝統的なクロノグラフを連想させるからだ(だったらどうなんだ!)。ただ、アクションボタンは少し敏感だ。意図せずに誤ってボタンを押し込んでしまうことが何度もあった。
“ウルトラ”の価格は価値に見合うか?: 機能が増えれば、その分コストもかさむ。しかし、それは驚くことではない。なにしろ史上最も高価な時計は、オンリーウォッチ 2019に登場した記録的なスティール製パテック フィリップのグランド・コンプリケーションなのだから。そして、Apple Watch Ultraは、桁違いに複雑でありながら、桁違いに安価なのだ。
アメリカでは、チタン製のApple Watch Ultraの定価が12万4800円(税込。北米では799ドル)であるのに対し、アルミニウム製の新しいSeries 8は5万9800円(税込。北米では399ドル)からとなっている。この差は決して小さくない。基本的に最も安いSeries 8の2倍の価格であり、アルミニウム製のエントリーモデルApple Watch SEはさらに安い開始価格(税込3万7800円。北米では249ドル)で購入できると、発売以来多くの人々や、識者が指摘してきた。
Apple Watch Ultraは、同じS8 SiPプロセッサチップと同じヘルス&ウェルネスセンサーの大部分を共有していたとしても、Series 8の2倍の価値があるのだろうか? おそらく、ほとんどの人にとってそうではないだろう(それでいいのだ!)。しかし、そのコストの多くは、素材の違いに起因している可能性が高いことを指摘しておこう。例えば、Apple Watch Series 8のステンレススティールケースのモデルは10万4800円(税込。北米では699ドル)からで、チタンのApple Watch UltraとアルミニウムのSeries 8を比較するよりもはるかに合理的な価格差だ。そしてちょうど昨年の2022年、45mmのチタンケースとGPS+セルラーを備えたSeries 7を見ると、希望小売価格は849ドルで、これはベーシックなApple Watch Ultraの現在の定価より50ドル(約6625円)高くなっている。
サイズが大きく、ケースの素材も高級になり、機能も増えたことを鑑みると、Apple Watch Ultraの価格はそれほど悪くはなさそうだ。
ガーミンが問う: Appleは、戦略と実行がすべてだ。西半球全体の家電製品におけるピラミッドの頂点にいるのには理由がある。しかし、彼らにもいくつかの盲点があった。Apple Watch Ultraは、Apple Watchの既存モデルがほとんど太刀打ちできなかった重要な点、つまりガーミンがFenixやMARQなどのスマートウォッチコレクションで大きな成功を収めている、主にアウトドアや持久力を要する運動競技を対象としているのだ。これまでのすべてのApple Watchとは異なり、ガーミンのスマートウォッチの大半はソーラー充電機能を備えており、Apple Watch Series 8のバッテリー寿命は18時間と比較的短いため、重要なアドバンテージとなっている。
Apple Watch Ultraは、その全体的な頑丈さだけでなく、物語を変えるための一歩を踏み出した。Ultraは通常の設定で36時間の充電が可能だが、新たに“アドベンチャー向けのバッテリー駆動(multi-day adventure battery life)”モードが加わった。このモードが起動すると、充電間隔を最大60時間まで延長することができる。最新世代のApple製品で印象的なのは、その充電の速さだ。Apple Watch Ultraもその例に漏れない。Apple Watch Ultraは、充電ゼロの状態から約90分でフル充電の80%まで回復し、2時間半後には100%に達する。
Appleとガーミンの両方が独自の長所と短所を持ち続けていると仮定して問題ないようだ。もしあなたがスマートフォンやラップトップを介してすでにAppleのエコシステムに入っているなら、私はApple Watchを選ぶのが理に適っていると思う。あなたが充電機会ゼロの状態ですぐに1週間砂漠の真ん中に向かう場合を除いてだが。
Appleがほかのスマートウォッチ候補に対してまだ持っているひとつの大きな切り札は、短い時間なら完全にスマートフォンと置き換えることができるということだ。急な電話にも腕時計で対応でき、その後、ほかのすべての電源を完全に切り、ボタンを閉めることができる。
Apple Watch Ultraの素晴らしい点
クラス最高のUI: Appleを成功に導いている要素のひとつは、同社が行うすべてのことが、エンドユーザーを念頭に置いて思慮深く取り組まれていることである。これは高級時計の世界でもよく見られるアプローチだ。エンドユーザーの製品体験を変えることができるなら、ほんの小さなディテールにも最大限の配慮が払われる。
数百万、数千万円の高級品の世界では期待できることかもしれないが、使い捨てが多く、トレンドに左右されやすい家電の世界ではそうもいかない。だが、それはAppleの得意とするところであり、Apple Watch Ultraも同様だ。私は、Apple Watch Ultra専用のウォッチフェイス、ウェイファインダーを使って、表示されるコンプリケーションの配列(合計8つ)を調整したり、カラーインターフェイスを微調整したり、ディスプレイを自分好みにしたりと、常に遊んでいる自分に気がついた。Apple Watch Ultraは、あまりにも多くのガジェットと機能を備えているため、まるでいじり倒してくれといわれているような気分になる。
Apple Watch Ultraは多くのことを、しかも多くのガジェットと機能を予想することなく扱うことができる。私はすぐに、市場に出たばかりの高級機械式腕時計を扱い、レビューし、評価するのと同じように、Apple Watch Ultraのさまざまな側面を評価している自分に気づいた。私はいつも、モノの背後にある意図や目的を理解しようと努めているが、Apple Watch Ultraについても、その意図はすぐに理解できた。Apple Watch Ultraを手にしたとき、そこには膨大な量の熟考と目的意識に基づいた開発がなされていることがすぐにわかったのだ。
フィット感と仕上げ: ユーザーインターフェースと同様、私はいつもApple Watchのさまざまなモデルのケースのディテールと仕上げのレベルに感銘を受けている。私はApple Watch Series 2、Series 5、Series 8、そして今回のApple Watch Ultraをさまざまなテストやレビューのために着用したが、特にエントリーレベルのセグメントに大きく傾いたカタログを持つ多くの現在の時計ブランドと比較して、いつも感動して立ち去ることができる。Apple Watchは、ビヨンセのゴールドリンクのApple Watchであろうと、私が身につけたApple Watch Ultraであろうと、どのモデルを持っていても一般的に高い品質管理を保っているのだ。お粗末な品質管理にがっかりすることに慣れている人にとって、Appleのアプローチは、その一貫性だけで、新鮮な空気のように感じられることがよくある。
ストラップ!ストラップ!ストラップ!: 腕時計を愛用している人は皆、ストラップを交換するのが大好きだろう? その理屈はスマートウォッチにも当てはまる。結局のところ、人々はアクセサリーを身につけたいと思っているのだ。Appleは最初から、さまざまなストラップの選択肢を用意し、クリエイティビティをサポートしてきた。Apple Watch Ultraが、アルパインループ、オーシャンバンド、トレイルループといった、それぞれ特定のアウトドアアクティビティに関連した潜在的なアイテムたちとともにリリースされるのは、驚くことではないのだ。
私が試用したストラップは、本格的なハイカーや探検家のために設計されたアルパインループだった。私はそのどちらでもないのだが、問題なく使用できた。Appleが開発した3つのストラップは、それぞれの地形(アルパイン=山)に特化した異なるアタッチメントシステムを採用している。例えばアルパインループは、デイジーチェーンループと半円形のフックを組み合わせたもので、14峰の山々を登るのに適しているように思われる。オーシャンバンドはシリコン製でウォータースポーツや水中での活動を想定しており、トレイルループはフックとループの留め具システムを備えたナイロン製だ。
ロレックスとの意外な共通点: ここで、大胆な、そしておそらく不必要な発言をする。Apple Watchを開発したAppleは、スマートウォッチおよびウェアラブル業界の“ロレックス”と見なすことができるだろう。この比較は、いくつかの理由で真実味を帯びている。ロレックスとApple Watchは、その製品カテゴリー(高級腕時計とスマートウォッチ)の世界的な代名詞である。さらにロレックスとApple Watchは、それぞれの本国(スイスとアメリカ)において、消費者のあいだで最も知名度の高い組織である。そして、両社とも反復的な優れたプロセスを通じて成長し、進化することを望んでいる。漸進的な改善によって、時間が経つにつれて大きな違いを生み出すことができるのだ。
Apple Watch Ultraのイマイチな点
過剰なまでのエンジニアリング: Ultraは、大衆向けのウェアラブルデバイスというよりも、いろいろな意味でコンセプトの証明のように感じている。Apple Watch Ultraを毎日使うようなアクティブな人は、この世界にはほとんどいないだろうし、そもそもApple Watchをユビキタスなものにした理由と少し矛盾している。Apple Watchは日常生活のためのツールだったのだ。
Ultraを最大限に活かすには、私よりもはるかにダイバーであり、トライアスリートであり、探検家である必要がある。
とはいえ、このあたりもApple Watch Ultraが製品として従来のハイエンドウォッチ市場と共有している部分である。なにしろ世の中には、認定ダイバーの数よりも多くのダイバーズウォッチが存在するのだから。機械式時計も必要以上に頑丈に作られているのものがたくさんある。そして、そのスペックが自慢の種とされているのだ。なるほど、納得である。
いつまでも続くわけはない: 定期的なアップデートは家電業界では当たり前のことであり、Apple Watch Ultraがまさに家電製品である理由でもある。この言葉は、必ずしも機械式時計のようなロマンスや感動を呼び起こすものではないし、その点については詳しく説明しない。それは何度も何度も繰り返されてきたものだ。個人的にどんなに好きな時計であっても、Apple Watch Ultraは家電製品であり、いくら個人的にスマートウォッチを楽しんでいても、世代を超えて受け継がれるものである可能性は低いだろう。でもそれでいいのだ! しかし、それでも手首が少し寂しくなってしまう。
情報過多: Apple Watch Ultrasは非常に多くの異なる能力と機能を備えており、私には手に取るたびに多くの新しい発見があった。ヘブライ暦や中国の太陰暦の複雑な仕組みを知りたいだろうか? Apple Watch Ultraでは、アップデートされた太陰暦のウォッチフェイスで簡単に見ることができる。クイーンズ区の5階にある私のアパートの正確な標高を知る必要があるだろうか? いや、そんな必要はない。でも、Apple Watch Ultraにはその答えがあるのだ。
これらのデータをすべて利用できるのはいいことなのだろうか? 多少は、まぁ、そうだろう。でも、結局のところ、少し圧倒されてしまう。私は、仕事の大半をラップトップで過ごす人間のため、腕につけている時計が何であれ、ほかのものから切り離す方法として手首にある時計をよく見ている。Apple Watch Ultra(そしてほかのApple Watchモデル)は、その目的に反しているのだ。
では…、買うべきなのか?
Series 8やSEモデルではなく、Apple Watch Ultraを選ぶ理由はいくつかあると思っている。もしあなたが伝統的な腕時計のバックグラウンドを持っているなら、必要なのは少しの可処分所得とAppleの“ツールウォッチ”という目新しさを体験したいという欲求だけかもしれない。
すでにApple製品のエコシステムに参加しているなら、Ultraはガーミンに代わる選択肢であることは間違いない。そして、もしあなたが前世代のApple Watchをお持ちなら、Ultraはクラス最高の現行モデルとして際立った存在であり、アップグレードを検討する価値は十分にある。
私はさまざまな世代のApple Watchを少なからず経験してきたが、Apple Watchは今でも人に聞かれたら、いちばんにおすすめするスマートウォッチだ。新しいSeries 8とApple Watch Ultraだったら、どちらを選ぶか? 答えはとても簡単だ。私ならUltraを選ぶ。
サイズが大きくなっても気にならないし、どのマイナス要素も致命的ではなく、プラス要素を挙げればきりがない。Apple Watch Ultraの耐久性の向上、楽しいものから命を救うものまで印象的な新機能の数々、そして向上したバッテリー寿命が、決断を容易にしている。Ultraはシンプルにめちゃくちゃいいのだ。
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