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ジュネーブ・ウォッチ・デイズの前夜、アーノルド&サンおよびアンジェラスのマネージングディレクターであるパスカル・ベシュ(Pascal Béchu)氏に案内され、マニュファクチュールはプライベートな訪問のために門戸を開いた。「ラ・ジュー・ペレ(LJP)は毎年約15万個のムーブメントを製造しており、これはスイスの時計製造における主要なプレーヤーとして、マニュファクチュールの強さと地位を際立たせています」とパスカル氏は私に語った。「革新、コラボレーション、そしてポートフォリオの拡大への継続的な投資と相まって、この生産能力は業界内での当社の影響力の増大を反映しています」。20年以上の業界経験を持つパスカル氏は、その目覚ましい生産量によって示される今日のLJPの役割の重要性を認識している。
ラ・ジュー・ペレのムーブメントは今日、最も興味深い時計のいくつかに動力を供給しており、2012年からシチズンウォッチグループの時計製造において切り札のひとつとなっている。ラ・ショー・ド・フォンのマニュファクチュールは生産を拡大し、同時にグループの旗艦的な姉妹ブランドであるアーノルド&サンとアンジェラスの地位向上にも貢献している。
本社をラ・ジュー・ペレ マニュファクチュール内に置く両ブランドは、共通のリーダーシップと高まる魅力によって結びついており、それは今年、それぞれが象徴的なクロノグラフとトゥールビヨンのカテゴリーでGPHGにノミネートされたことによって強調された。
約120人を雇用するラ・ジュー・ペレ社はETAが小規模な独立系ブランドへのムーブメント供給を減らして以来、着実な上昇軌道にある。マニュファクチュールは革新と技術的な卓越性に焦点を当てることで、そのアイデンティティを維持してきたのだ。「G100やL100といったムーブメントの開発は性能、精度、耐久性への私たちのコミットメントを明確に示しています」とベシュ氏は語る。そこで私は試験装置上でブレモンの刻印が施されたローターが回転しているのに気づいた。「このムーブメントは私たちのマニュファクチュールのラインナップとともに、ブレモンをスイスの最高ブランドとして位置づけるものです。同時にラ・ジュー・ペレ社は技術的な独立性によって差別化されているのです」
私が見せてもらったところ、LVMH、特にタグ・ホイヤーやティファニーのために革新的なソーラークォーツムーブメント製造に取り組む、現在成長中の独立したチームもある。「スイスのソーラークォーツ技術は持続可能性と高い性能が融合する、ラグジュアリーな時計製造における自然な進化です」とパスカル氏は言う。「ソーラークォーツウォッチはバッテリー交換の必要なく最大15年間動作し続けることができ、これは特に利便性、耐久性、長期的な信頼性の観点から計り知れない利益をもたらすのです」
ラ・ジュー・ペレ社はフレデリック・コンスタントのようなシチズンウォッチグループのブランドへの供給や、LVMHへの外部供給(ソーラークォーツ)といった両端(さらには3つの側面)に取り組む有力な競争相手であり、ファーラン・マリからブレモンといった小さな独立系ブランドはETA 2824の代替機であるG100や、バルジュー7750の代替機であるL100のようなムーブメントをますます利用するようになっている。
アーノルド&サンとアンジェラス
確かに手ごろな価格のETA代替機を生産することは、LJPの生産量において重要な部分を占める。それでも最も魅力的な仕事のいくつかは、シチズンウォッチグループ内のふたつのハイエンドブランドであるアーノルド&サンとアンジェラスのためのものだ。「両ブランドは共通の専門知識と、自社でのムーブメント開発および製造から恩恵を受けています」とパスカル氏は私に語る。「この2重のアプローチはそれぞれの明確なブランドアイデンティティを維持しつつ、革新を促進します。またチームにとっても、違いがありながらも補完的な関係の2ブランドに取り組むことは刺激になるのです」
アーノルド&サンは、技術的に創意工夫に富んだムーブメントでそのクロノメーターの遺産を深く掘り下げてきた。同時に、アンジェラスはタフなスポーツウォッチと洗練されたレトロな要素を融合させており、私にとってGPHGにノミネートされたクロノグラフ テレメーターの純粋な精神は特に際立っている。
「私たちはそれぞれのブランドのDNAと遺産を反映した、特注ピースとコンプリケーションを設計することで両ブランドを育んでいます」とパスカル・ベシュ氏は語る。そのときある時計師がより暖かい気候向けにつくられ、東アラビア数字を特徴とし、そして“'Dial-Side True Beat”を意味する特注品のDSTB 42を広げて見せてきた。「アーノルド&サンはジョン・アーノルド(John Arnold)の時計製造の遺産を継承し、対称性と複雑なコンプリケーションに重点を置いています。対照的にアンジェラスはヴィンテージからのインスピレーションだけでなく、アバンギャルドな構造も探求しています」。両ブランドはラ・ジュー・ペレ社の専門知識が、マニュファクチュール自体のブランド価値を高め、時計製造の歴史のなかからふたつの強力な名前を復活させる上でいかに役立っているかを示している。今年のWatches & Wondersに戻り、ふたつのGPHGノミネートモデルを詳しく見ていこう。
アーノルド&サン コンスタントフォース トゥールビヨン 11
GPHGにおけるトゥールビヨン部門は、正式にノミネートされた6ブランドそれぞれにとって節目となるカテゴリーだが、今年はモダニスト的な傾向が特徴だ。受賞候補の6つの時計のなかで、4つの未来的なビジョンはウルバン・ヤーゲンセンとアーノルド&サンの伝統的な強さによって挟み撃ちされている。アーノルド&サン コンスタントフォース トゥールビヨン 11はジョン・アーノルドの260年の遺産を記念して製作され、LJP マニュファクチュールの熟練した小規模なチームによって組み立てられている。
GPHGのカテゴリー内においてこの時計は、グループ内で最も純粋なミニマリストダイヤルによって深い伝統主義とのバランスを保っている。コンスタントフォース トゥールビヨン 11はクリーンで非対称なコントラストを持つ、穏やかで禅のようなダイヤルを特徴としており、対称性愛好家である私が今年体験した最高のムーブメントのひとつだ。そしてもし19世紀後半の英国の懐中時計のデザインとの類似点に気づいたなら、その観察は的を射ている。本作のインスピレーションは1808年にアブラアン-ルイ・ブレゲが製作した最初のトゥールビヨンに由来しており、それはジョン・アーノルドが設計したムーブメントをベースにしていた。
41.5mmのコンスタントフォース トゥールビヨン 11の心臓部にある対称的な複雑さは、ダイヤルの広々とした空間と対照的だ。乳白色の窯焼きエナメル表面にはふたつの対照的な要素が配置されている。10時位置にはゴールドの縁取りを施したホワイトオパールの凹型ダイヤルがあり、くっきりとしたローマ数字とずんぐりとした青焼きの矢印針で時と分を表示する。4時位置の45°の角度にはポリッシュとサテン仕上げを施したイエローゴールド(YG)製ブリッジが額縁のような開口部の上に浮かび、魅惑的なコンスタントフォース機構を固定。ジョン・アーノルドのマリンクロノメーター No.11へのオマージュであるアンカーは、事実上のトゥルービート秒針として機能し、その青色は反対側の針と露出したネジの色と完璧に一致している。
対称的なブリッジワークの背後に隠れているものの、手巻きのCal.A&S5219についてひと言触れておこう。これは直径33mm、厚さわずか10.48mmというサイズであり、伝統的な2万1600振動/時で動作し、ツインバレルにより100時間のパワーリザーブを確保している。ツインバレルと1分間トゥールビヨンのあいだには特許取得済みのコンスタントフォース機構がある。ミニマルなダイヤル側の4時位置から見えるこの機構はそれぞれの香箱から脱進機に供給されるエネルギーのバランスを取り、アーノルドとブレゲが長年追求した均一で予測可能な精度を可能にしている。発売時の小売価格は身の引き締まるような、しかし理解できる12万9800スイスフラン(当時のレートで約2250万円)であった。
アンジェラス クロノグラフ テレメーター
GPHGにおいてもうひとつの激戦区であるクロノグラフ部門には、アンジェラスが18KYG製のクロノグラフ テレメーターで参戦している。アンジェラスは2016年にヴィンテージの眠りからモダンな雰囲気で復活した。多くのコレクターにとって同ブランドは、インスツルメント ドゥ ヴィテッセのような強力なリリースを特徴とするラ ファブリックコレクションの発表でその地位を確立した。テレメーター モノプッシャー・クロノグラフコレクションは“もしも”のアプローチで、いまだに根強いタイムトラベルへの欲求に訴えかける。
同時に新しいものも提供している。このクロノグラフでアンジェラスは、小振りでありながら情報量の多いダイヤルによって1940年代のクラシックな単色グラフィックのスタイルを強く踏襲している。ケースはクリーンでほとんど飾り気がなく、当時ツールウォッチであったであろうものにふさわしい。それは我々が今、むしろドレスウォッチ的なクロノグラフと見なすものとはかけ離れたものだ。
スケールの読み取りを明確に保つため、ツインレジスターはダイヤルの中心に向かって引き寄せられており、これは煩雑になりがちなダイヤルに明快さをもたらす機能的な工夫だ。厚さ9.25mmとスリムでありながら、直径37mmのこの時計は驚くほど重厚な18KYG製であり、2025年のWatches&Wondersで私の手首に与えた繊細な存在感を今でも覚えている。ラグは44mmの長さを持ち、力強いケースサイドのカーブとモノプッシャームーブメントの魅力を伴っている。SS製モデルが1万7500スイスフラン(当時のレートで約300万円)で販売されていることを考えると、ラ・ジュー・ペレ社のマニュファクチュールで製造されたムーブメントが感動を与えるのは当然だと期待されるが、実際にそうなのだ。
Cal.A5000は厚さわずか4.2mmで、バルジューの派生ムーブメントと比較しても力強い印象を与える。SSとYGのツートンデザインの有機的な形状のブリッジワークが特徴だ。際立ったコート・ド・ジュネーブ仕上げと明確な面取りが施されており、時代に完璧に合致。サテンとグレイン仕上げを施したダイヤルは、ボックス型サファイア風防の下であなたの注意を引こうと競い合っている。15本限定のこのYGバージョンは2025年のWatches&Wondersでのデビュー時に3万2300スイスフラン(当時のレートで約560万円)で販売され、現在はすでに完売している。
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