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OpenAIはもうご存じだろうか? Midjourneyは? ChatGPTはどうだろう? 私はジョー・ワイアット(Joe Wyatt)、botとはまったく無縁の人間だ。HODINKEEで映像関係の仕事をしている。普段は最新のスペックシートを編集したり、Watches In The Wildの記事に取り組んだりしているが、最近は新しいテクノロジーである人工知能に興味を引かれている。
AIという言葉は以前から知っていたが、今やポストプロダクション(映像撮影後の編集、マスタリングなどの作業)に欠かせなくなってきているという点においては目新しさを感じる。映像の手ぶれを補正したり、音声からノイズを除去したりするツールを使うとき、そのプロセスを自動化するために何らかの形でAIが利用されているのだ。それがここにきて、デジタルアートやフォトリアリスティックな画像を作るための選択肢にもなりつつある。
ソーシャルメディア上では、DALL-E 2、Midjourney、Stable Diffusion、そしてCraiyonやWonderのようなプログラムが話題になっている。驚くほど発達したこれらのプログラムは、コード化された魔法によって、検索バーに入力されたアイデアだけで心を揺さぶるようなイメージを生成してくれるのだ。私はこの新しい技術にすっかり夢中で、AIから共有されるアートワークに魅了され続けている。仕事中はもっぱら時計に集中しているのだが(当たり前か)、今現在存在しない時計をAIに催促したらどうなるのか、それを試してみたくてウズウズしているのだ。
iOS用のWonderアプリ。
さまざまなプログラムについて調べているうちに、Wonderというモバイルアプリを見つけた。DALL-E 2やMidjourneyといった高機能なプログラムに移行する前に、まずはこれから始めることにした。テキストプロンプトをWonderに打ち込み、スタイルモディファイア(アセット)を組み合わせることで、さまざまなタイプの画像を作成することができる。Snapchatのレイアウトのような感じだ。DALL-E 2ではカスタマイズ性がさらに向上しており、カメラのメタデータやハリウッドレベルのライティングといった詳細な情報を入力することで、狙ったイメージを高精度で表現することが可能になっている。だが正直なところ、スマートフォン依存になるのにはWonderで得た成果だけで十分だった。あふれ出るアイデアを打ち込み続け、4時間ほど経っただろうか。出力されたイメージは、信じられないほど素晴らしいものだった。
初めてアプリを開いたとき、私の胸は期待に膨らんでいた。まだ自分が望んでいるものが明確ではなかったので、Wonderが身近な時計ブランドをどのように解釈するのか、チューリングテストのような形で基本的なプロンプトをいくつか与えてみることにした。その結果、ジェームズ・ステイシー(James Stacey)のフォトショップスキルには及ばないものの、なかなか興味深い成果が得られたのだ。
ロレックス サブマリーナー(Rolex Submariner)
カルティエ タンク(Cartier Tank)
パテック フィリップ(Patek Philippe)
このアプリが特定のブランドやモデルを理解しているのは、さほど驚くべきことではない。AI画像生成ツールはまず、インターネット上にある膨大な画像を分析し、与えたプロンプトに対する知識を深める。そこで得られた情報を組み合わせることで、ユーザーが要求したであろうものを生成しようとするのだ。では次に、ちょっと変わった画像を見てみよう。
スパゲッティでできた時計(Watch Made Of Spaghetti)
試さずにはいられなかった。しかし、Wonderはスパゲッティ“クロック”を出力してくれたようだ。エンジェルヘアパスタ(極細のパスタ、カペッリーニ)から覗く、オレンジのストラップも素敵だ。結果は予想から大きく外れることもあれば、当たることもある。しかし、想像もしていなかったイメージに仕上がることも多く、そこがまたおもしろい。
ピザでできた時計(Watch Made Of Pizza)
これはスパゲッティに比べて正解に近い。ピザ生地のベゼルが光と戯れている姿が印象的だ。#chefskiss
チョコレートでできた時計(Watch Made Of Chocolate)
これはとにかくおいしそうだ。
翼のある時計(Watch With Wings)
Wonderが翼を時計に融合した姿は、私に「こんなやり方もあるのか!」と新たな視点を与えてくれた。このアプリがどれだけの画像を参照しているのか、何を参考にしているのかはわからない。だが、これには本当に存在していそうな美しさがある。
植物が成長する時計(Watches Growing Out Of Plants)
時計の部品からできた本(A Book Made Of Watch Parts)
羽根でできた時計(Watch Made Of Feathers)
アプリが次々とおもしろい時計を作り出していくなか、イメージ生成を自分の手で行う必要がないことで、どれだけの時間を節約できているかと考えずにはいられなかった。私のフォトアルバムがまるでユニークな時計で人気を博しているInstagramのページのように見えてきて、想像力が大いに刺激された。
時計の製造は、たいていの場合デザインから始まる。Wonderのようなツールを使えば、実際に作りたい製品のインスピレーションを引き出すことができるのではないだろうか。AIを使ってオンラインで高級時計を認証することを目的としたアプリ、Watch CSAのように、時計の世界でも人工知能はすでに利用されている。私自身はまだ使ったことがないが、AIがさまざまな形で活躍している様子は本当にクールだ。
有史以前の時計(Prehistoric Watch)
腕時計のビュッフェ(Wristwatch Buffett)
時計のなかの銀河(Galaxy Inside A Watch)
少し趣向を変えて、あるポップカルチャーの登場人物にちなんだ時計を依頼したらどうなるのだろう?
スパイダーマンの時計(Spiderman's Wristwatch)
『ロード・オブ・ザ・リング』から出てきた腕時計(Wristwatch From 'Lord Of The Rings')
『ゲーム・オブ・スローンズ』に登場するホワイトウォーカーの時計('Game Of Thrones' White Walker Watch)
トゥールビヨンとクロノグラフを搭載した時計のムーブメント(Tourbillon, Chronograph, Watch Movement)
ポップカルチャーや食べ物にちなんだ時計だけでなく、トゥールビヨンやクロノグラフなどをアプリ上で組み合わせた、非常識なムーブメントもたくさん作ってみた。
デジタルアート制作に、スタイルオプションを活用
アプリ内のさまざまなスタイルオプションを使うことで、通常なら何時間もかかるデジタルアート作品を作ることも可能だ。
今回のコレクションは私が作成できたもののほんの一部であり、アプリもまだひとつしか試せていない。AIが持つ可能性は、現時点では無限大のように思える。トム・クルーズ、リストショット、ロレックス サブマリーナーと入力することで、画像だけでなく、ゼロから実際のビデオクリップを受け取ることができるようになる日が私は待ち遠しい。
すでにAIを使った試みを実践している人がいるなら、その作品をぜひ我々のSNS上で自由にシェアしていただきたい。そして、次回のAIウォッチシリーズにも期待していて欲しい。