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パテック フィリップが25年ぶりの新コレクション発表に続き、再び注目を集めている。今回の話題はブレスレット一体型のステンレススティール製スポーツウォッチである。2006年に登場したSS製Ref.5711 ノーチラスは、それ以来ヘッドラインを独占してきた。このモデルは10年にわたる長いウェイティングリスト、製造終了、さらに1年限定のグリーンダイヤルやティファニーブルーのダイヤルで2度の“凱旋”を果たし、その終了プロセスがむしろ人気を加速させたといっても過言ではない。
本日、時計コレクターたちの背筋を震わせる5711という文字列が再び響きわたることとなった。SS製Ref.5711が今回限りで復活したのだ(おそらく本当に最後の登場となるだろう)。今回復活を果たしたのは、手彫り装飾が施された特別仕様のRef.5711/1500Aである。これはパテック フィリップが1点ものとして製作し、2024年11月25日に開催されるチルドレン・アクション・ガラ(Children Action Gala)でオークションに出品される予定だ。
チルドレン・アクションは、1994年にスイスの起業家ベルナール・サブリエ(Bernard Sabrier)氏によって設立。ジュネーブを拠点とするこの財団は、世界中の貧困に苦しむ子どもたちの生活を改善することを使命としており、これまでに21万5000人以上の子どもたちを支援してきた。チルドレン・アクション・ガラは2年に1度開催される資金調達イベントであり、財団のプロジェクトを支援するための厳選されたオークションアイテムが出品される。そのなかには時折、きわめて重要な時計が含まれることがある。
2005年以降、パテック フィリップはチルドレン・アクション・ガラのオークションで1点ものの特別な時計を提供し、チルドレン・アクションを支援してきた。これまでに提供された時計には、2007年のRef.6000T カラトラバ、2009年のRef.5180T スケルトン、2012年のRef.5131J ワールドタイム、2015年のRef.5396T 年次カレンダー、2018年のRef.5524T カラトラバ・パイロット・トラベルタイム、そして2022年のRef.5270T 永久カレンダー・クロノグラフなどがある。これらはいずれもチタンケースや、文字盤に特別な仕様が施された1点ものであり、チルドレン・アクション・ガラに出品されたパテック フィリップの時計が毎回驚異的な価格を記録するのも不思議ではない。それぞれのリファレンスのなかでも最高額となっており、特にRef.5270Tは2年前に970万スイスフラン(当時の相場で約14億3070万円)で落札された。今回のRef.5711/1500Aがこの名誉を手にするには、650万3500ドル(日本円で約9億9480万円)を超える必要がある。とはいえこれらの高額落札はすべてよい目的のために使われている。
今回のRef.5711が本当に最後のSS製モデルとなるのか、憶測が飛び交うことは間違いない。しかし時計そのものの魅力に目を向けると、パテック フィリップのふたつの側面が巧みに融合した実に興味深いモデルであることがわかる。今日の時計業界において、伝統的なスイススタイルの時計製作と、現代的なラグジュアリーウォッチの両方で成功を収めるブランドはほとんど存在しない。そのなかでパテックは、トップレベルでこの微妙なバランスを保ち続けている。たとえばRef.5260/1455R アクアノート・ルーチェ“レインボー”のような新境地を開拓しつつ、Ref.5160/500R レトログラード日付表示針付永久カレンダーのように、歴史を尊重したモデルも発表している。
5711/1500Aのケース、ベゼル、ブレスレット、ケースバックには“マオリ風”のモチーフが手彫りされている。この彫刻スタイルはニュージーランドのマオリ族をほうふつとさせるものであり、パテック フィリップにとって新しい試みであるが、その全体的なデザインは5160/500RやRef.6002R スカイムーン・トゥールビヨン、そして伝説のRef.5175R グランドマスター・チャイムにも通じるものがある。工芸の観点から見ると、このような手彫りの装飾はパテックがハイコンプリケーションモデルで何度も採用してきた技法である。今年のチルドレン・アクションのために製作されたこの5711は、手彫り装飾が施された最初のノーチラスであり、同社初のスポーツウォッチやSS製ウォッチとしても同様に、初の試みとなる特別なモデルである。
このユニークノーチラスの文字盤はダークグレーで、わずかにブラウンのニュアンスが含まれている。また時計には手彫りが施されたカフリンクスも付属する。このダイヤルカラーは公式には表記されていないが、カフリンクスについては“チャコールグレーのサンバーストセンターとブラックグラデーションの縁”を特徴としていると記されている。
2024年のチルドレン・アクション・ガラは、財団設立30周年を祝う特別な夜となり、そのなかで5711/1500Aが史上最も高額で落札されたノーチラスとなる可能性に挑む。オークションはフィリップス・バックス&ルッソのオーレル・バックス(Aurel Bacs)氏がライブで進行し、全収益はチルドレン・アクションに寄付される予定だ。同財団の運営モットーである“最初の人権は、子ども時代を持つこと”に基づき、世界中の子どもたちの支援に活用される。
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