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クイック解説
本日、シチズンは宙空の美をデザインコンセプトとするカンパノラブランドから、ブランド初となるトゥールビヨンを搭載したグローバルアート コレクションを発表。同時に販売も開始した。本機は、カンパノラの特徴であるサークル状の五徳リングやシンプルかつ立体的なダイヤル構成、ラウンドフォルムのサファイアガラスなどはそのままに、文字盤に会津漆を用いて特別感を演出。内部に搭載されるトゥールビヨンは、傘下のムーブメント会社であるラ・ジュー・ペレ社(スイス)によるもので、単体の厚みが3.07mm(キャリッジ除く)、ケース厚10mmと非常に薄型に仕上がっている。
このカンパノラ トゥールビヨンには2色の文字盤がラインナップされており、いずれも会津漆の伝統工芸士である儀同哲夫氏によるもの。螺鈿塗りで大小の星々が描かれた青文字盤は「天」と名付けられ、プラチナ粉を蒔いて研ぎ出してから青い透き漆で描いた星雲も神秘的な美しさを強調。一方、「地」とされるブラウン文字盤は、乾漆粉で荒らしたブラックのベースに金を蒔いたことで大地の荒々しさを表現した。ムーブメントも漆文字盤もそれぞれに希少なことから、各5本がシチズン フラッグシップストア(東京、大阪)でのみ販売される。本日より購入可能で、価格は935万円(税込)となっている。
ファースト・インプレッション
シチズンのグループシナジーがいよいよ結実した。このトゥールビヨンをひと目見たとき、僕はそう予感し、その取材の最中でそれは確信に変わった。スイスのラ・ジュー・ペレに駐在し、日瑞をつなぐ架け橋となった土屋建治氏の話を聞くと、ここ3年ほどにわたって両社のあいだでは盛んに技術交流が行われていたそうだ。土屋さんをはじめ、シチズン側の技術者がスイス、ラ・ショー・ド・フォンに駐在しシチズン機械式時計再起を目指したプロジェクトに向け準備をしていたのだ。その第一弾が2021年に発表されたキャリバー0200であり、続く第二弾がこのカンパノラ トゥールビヨンというわけである。
ラ・ジュー・ペレのムーブメントを搭載したカンパノラはこれまでも存在したが、スイスメイドを謳うものは本機が初だ。2012年の買収以降、キャリバー0200ではパーツ製造での協業を昨年ようやく達成し、本機では針やアワーリングなど重要なパーツの製造および、アッセンブルやガワ付けもスイス側が担った。
このCal.Y392 に関しては一時的に世界最薄記録を打ち立てた、アーノルド&サンによるトゥールビヨンをベースとして、テンプをチラネジ仕様からスムーステンプにしつつ径を拡大。ブラックポリッシュされたベルマークがキャリッジに配され、豪奢なフライング・トゥールビヨンのような優美な雰囲気をまとわせた。切削で象られたケースは18KWG製で、、、と、語るべき情報が多い時計なのだが、本機の最大の魅力はこのようにスイスメイド的特徴を備えていながら、日本ブランドの時計であり、その姿は紛れもなくカンパノラであるということ。つまり、本格的機械式時計の要素を獲得したことで、確立したブランドとしての説得力を増したのだ。
時計業界、または広くブランド産業ではロゴを代えればどのブランドの商品にもなりえてしまうようなものも多くある。特に、他国の技術や文化的背景のある伝統工芸を用いる場合、ただロゴを貼り付けた場合には文化の盗用に成り下がることもある。このカンパノラは、漆文字盤を用いているだけではなく、宙空の美というコンセプトに則ってどこか物悲しさを感じさせるような日本の美意識が反映された。時間をかけて、他国の文化を融合させた国産時計とは本当にユニークなものだし、このカンパノラ トゥールビヨンをスタート地点とした今後のストーリーから目が離せない。
基本情報
ブランド: カンパノラ(Campanola)
モデル名: グローバルアート コレクション
型番:天(NZ3000-01L)、地(NZ3000-19P)
直径: 42mm
厚さ: 10mm
ケース素材:18KWG
文字盤色:天=ブルー、地=ブラウン(会津漆)
インデックス: ローマ数字
夜光: なし
防水性能: 日常生活用防水
ストラップ/ブレスレット:ワニ革ストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: Cal.Y392
機構: 時、分、トゥールビヨン(秒)
パワーリザーブ: 約90時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 29石
クロノメーター認定: なし。平均日差−4秒〜+20秒
追加情報:シースルーバック、裏蓋にシリアルナンバー入り
価格 & 発売時期
価格: 935万円(税込)
発売時期: 6月1日
限定:各5本、シチズン フラッグシップストア(東京、大阪)にて販売
詳細は、シチズン公式サイトへ。