ADVERTISEMENT
クイック解説
1974年に誕生した国産高級時計ブランドのクレドールは、ゴールド製のクラシカルな時計や宝飾時計で、独自のコレクションを展開してきた。今回、復活以来、本格ドレスウォッチを展開するゴールドフェザーに、新たな頂点となり得る存在が加わる。このコレクションとしては初めてトゥールビヨンムーブメントを搭載したモデルで、世界限定10本、2530万円(税込)と極めてエクスクルーシブに展開される。
本作は9時位置のトゥールビヨンキャリッジを太陽に見立て、そこから放射状に広がるモチーフが鳥の群れとなって舞い上がり、12時位置のクレストマークへ向かう光景がダイヤルに描かれている。幻想的なダイヤルは伝統的な漆を用い、クレドールとしては初めて、異なる3種類の技法を一挙に使って表現。キャリッジの周囲を囲む輝きは蒔絵、内側の赤みを帯びた金色の鳥は24金の切金(きりがね)、外側の色鮮やかな鳥は螺鈿で仕上げられている。
2018年に登場した、クレドール シグノ 螺鈿ダイヤル キャリバー6870 25周年記念限定モデル。Courtesy of Seiko
この漆芸を手がけたのは加賀蒔絵の巨匠・田村一舟氏だ。彼は2016年のクレドール「FUGAKU」を皮切りに、2018年のシグノ螺鈿モデル、2021年のリネアルクス“桜流水”、2023年のアートピースコレクション“流星螺鈿”、2024年のゴールドフェザー「クレドール」50周年記念限定モデルの漆芸を手がけてきた。顕微鏡を使いながら貝や金を漆の層に貼り込み、研ぎ出しを繰り返す緻密な仕上げや高蒔絵による立体的な装飾を得意としており、今回のダイヤルにもその技法が生かされている。なおクレドールのロゴとともに、筆記体の“Goldfeather”ロゴが高蒔絵で描かれるのは今回が初めてだ。
ムーブメントには、厚さ3.98mmの薄型手巻きトゥールビヨンCal.6850を搭載。前作Cal.6830と同じサイズながら香箱を大型化し、約60時間のパワーリザーブを確保した。現代の名工で黄綬褒章を受章した齋藤勝雄氏が組み立てから調整、ケーシングまでを一貫して担当する。ケースは裏蓋一体型の新構造を採用し、8.6mmの薄さを実現。ムーブメントの裏側には、猛禽類の風切り羽を思わせる彫金が施され、三日月状に切り出した夜光貝の螺鈿に高蒔絵で輪郭を重ねることで奥行きのある表現がなされている。
Courtesy of Seiko
トゥールビヨンを支える第二キャリッジ受けは、翼を広げた鳥をモチーフとした造形が特徴だ。手作業による上面の平滑な仕上げをはじめ、頂点のエッジを際立たせたり、狭い部分を整えたりする作業には高度な技術が必要で、粗研磨から鏡面出しまでの複数工程を経て側面の絹目模様とともに完成する。
ファースト・インプレッション
少しのあいだだけ、このゴールドフェザーの実機を見せてもらった。ダイヤルは切金や螺鈿、高蒔絵が重なって華やかに見えるはずなのに、漆黒の漆が全体を引き締めているせいか、または鳥のモチーフが同じテーマで統一されているからか、上品にまとまっていてギラついた印象はない。角度を変えるたびに鳥の群れが浮かんでは消えるように見えて、わずかな時間だったにも関わらず、思わず見入ってしまった。
プラチナケースならではの存在感を備えつつ、ケース径は38.6mmと手に取りやすいサイズ感だ。また8.6mmの薄さも相まって、全体の印象はすっきりとしている。
本作を見て感じたのは、これが今のゴールドフェザーが到達できる最高傑作だということ。これまでもクレドールはシグノ“螺鈿”やリネアルクス“桜流水”、“流星螺鈿”といった超絶技巧を凝らしたモデルが発表されてきたが、このトゥールビヨンはそれらの集大成と言える存在だ。伝統工芸による装飾の美しさに加え、Cal.6850は香箱の容量を増やすために全体の約3分の1のパーツを再設計し、特殊な形状のアンクルを用いることでスペース効率を高めている。こうしたウォッチメイキングの工夫と新構造のケースが組み合わさり、ゴールドフェザーの美しさと機能性を一段と高めている。実物を前にすると、その完成度に圧倒された。
クレドールはブランド50周年を経て、今後も新作展開を続けていくという。今回のトゥールビヨンを目の当たりにすると、ゴールドフェザーがこれからどんな方向に進化していくのか、期待せずにはいられない。
基本情報
ブランド: クレドール(Credor)
モデル名: ゴールドフェザー トゥールビヨン限定モデル(Goldfeather Tourbillon Limited Edition)
型番: GBCF999
直径: 38.6mm
厚さ: 8.6mm
ケース素材: プラチナ950
文字盤: 漆芸・切金・螺鈿を組み合わせた加賀蒔絵ダイヤル
インデックス: なし
夜光: なし
防水性能: 日常生活用防水
ストラップ/ブレスレット: レザーストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: 6850
機能: 時・分表示、トゥールビヨン
直径: 25.6mm
厚さ: 3.98mm
パワーリザーブ: 約60時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 22
クロノメーター: なし
追加情報: 日差 +15秒~-10秒
価格 & 発売時期
価格: 2530万円(税込)
発売時期: 2025年10月24日(金)発売
限定: あり、世界限定10本
Photos by Masaharu Wada and Yusuke Mutagami
話題の記事
Introducing ゼニス デファイ エクストリーム クロマに新たなふたつの限定モデルが登場
Introducing ヴァシュロン・コンスタンタンが36.5mmの新型トラディショナル・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダーを3本発表
Introducing タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ ×フラグメント リミテッドエディションの第3弾を発表