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Watching Movies ダニエル・クレイグ『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のカーテンコールでオメガ シーマスターを着用

すでに最新作のボンドウォッチについてはご存知だろうが、彼がどのように使うかをご紹介する。ネタバレにはご注意を。

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イアン・フレミングがジャマイカの太陽の下、ゴールデンアイの机で『カジノ・ロワイヤル』を書き始めたとき、自分が作っているものが何であるかを予想することはできなかった。1ヵ月で書き上げたスパイ小説が、文化を変え、宇宙を変えるほどの大帝国になるとは、誰が夢にも思わなかっただろう。

 今日、ジェームズ・ボンドといえば、タキシード、マティーニ、アストン・マーティン、そして英国訛りで聞き古したジョークを言うハンサムな男性というイメージがある。このフランチャイズは、映画ビジネスにおける知的財産の重要性、そして映画の世界が持つ永続的な力を示してきた。しかし、忘れてはならないのが時計の存在だ。ショーン・コネリー、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナン、ダニエル・クレイグ、そしてジョージ・レーゼンビーまでもが、私たちの小さな趣味のカルトヒーローとしての地位を確立した。この映画では、2つの時計がアイコンとなった。ロレックスのサブマリーナーとオメガのシーマスターだ。オメガが007の公式時計となって以来、映画が公開されるたびにスペシャルエディションが続々と登場している。

テーラードスーツと丈夫なオメガ シーマスターを身にまとい、ジェームズ・ボンドになりきるダニエル・クレイグ。画像提供:Omega and MGM

 新作のボンド映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)には、間違いなく最高のデザインと評判のボンドウォッチが登場する。ただ、それが発表されたのは2019年にまでさかのぼる。私たちは、ダニエル・クレイグのスワンソングを長いあいだ待っていた。映画が公開された今、私たちは彼がその時計をどんなに望んでもできないほどかっこよく見せていることを証言することができる。


注目する理由

 このジェームズ・ボンド ウィークエンドで知った方も多いと思いうが、長らく延期されていた『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の劇場公開がようやく実現したことをご存知だろうか(まぁもちろん知っているだろう)。パンデミックがなければ、この映画は2020年4月に映画館のスクリーンに登場するはずだった。もはや時間とは何だろうか?

ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)とオメガ シーマスターが、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』がいつ公開されるのかと1年半前と同じように物思いにふけっている。画像提供:MGM

 Watching Moviesでは、オンラインでストリーミングできる作品や、DVDやBlu-ray(VHSテープでも可)の棚から取り出して楽しめる作品を中心に紹介してきた。今回の特集では、全面的に新作を取り上げるが、それには理由がある。今日、ボンドほど時計と結びついた映画のフランチャイズはないし、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の劇場公開への期待と、ダニエル・クレイグが007を演じる最後の作品であるという事実から、この作品を取り上げないわけにはいかないのだ。

 もちろん、映画のストーリー自体のネタバレはしないが、映画のなかで見られるボンドと彼の時計に関連する多くの登場シーンに触れることになる。まだ映画をご覧になっていない方は、(もちろん感染対策をしっかりとした上で)お近くの映画館に足を運んでいただき、戻ってきたらこの記事を再開して欲しい。そうでなければ、さっそく本題に入ろう。

引退したボンドが初めてビジターとしてMI6に到着したが、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、あのチタンダイバーなしではありえない。画像提供:MGM

 本作は、2015年に公開された『007 スペクター』の直後、ボンドは、その名を冠した邪悪な組織のエージェントチームから逃れながら、熱烈な恋に落ちたマドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)と休暇を過ごしていた。そこからボンドは、スペクターのボスであるエルンスト・スタヴロ・ブロフェルド(クリストフ・ヴァルツ)や新たな悪役リュシファー・サフィン(ラミ・マレック)など、あらゆる重鎮たちと遭遇することとなる。

 この映画は基本的に、2時間半にわたってボンド映画の魅力を余すところなく映している。ボンドがハイネケン、ウォッカマティーニ、スコッチを飲む時間が確保されており、私たちが待ち望んでいたオメガの時計、非常に興味深いオメガ シーマスター プロフェッショナル 300mを着用している。

数多くのアルコールからひとつを手にしてリラックスしているボンド。今回は『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の時計に合わせてスコッチを飲んでいる。画像提供:MGM

 これは『ゴールデンアイ』のピアース・ブロスナン時代にさかのぼる、クラシックなボンド・シーマスターのデザインで、先日、コール・ペニントンが記事「ジェームズ・ボンド シーマスターの魅力は任天堂が教えてくれた」で紹介した作品だ。歴史的な特徴は、2つのリューズである。1つは時計を動かすため、もう1つはヘリウムエスケープバルブの役割を果たす。時計の直径は42mmで、波打ったような縁を備えたベゼルとスケルトンの針が特徴的だ。

映画よりも2年近く前に発売された「オメガ シーマスター ダイバー300M 007 エディション」。

 通常の生産モデルには、セラミック製のベゼル、レーザーエッチングされた波のモチーフの文字盤を搭載。しかし、このボンド・スペシャルモデルはそこから外れている。ダークブラウンのアルミ製ベゼルに、フラットでブラウンの文字盤だ。マーカーにはエイジング加工が施され、文字盤には「ダーティダース」と呼ばれる英国政府の官有物を示すブロードアローが描かれている。ヴィンテージ感あふれるミラネーゼブレスレットとNATOスタイルのストラップの2種類が用意されている。

すべての表示に夜光が塗布されたベゼルをもつオメガ シーマスター ダイバー 300M 007 エディション。

 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でクレイグはこの時計を身につけているが、この時計は映画のなかで特別に紹介されており、Qによる調整も受けている。つまり、この時計はただの時計ではなく、電磁パルス兵器を内蔵したボンドのガジェットなのだ。

 この時計の最も興味深い点は、クレイグ自身との個人的なつながりだ。もちろん、これは正真正銘プロダクト・プレースメントだが、それでもクレイグは、自分にとって最後のボンドウォッチとなるこの時計に特別な関心を寄せていた。クレイグ自ら、デザインプロセスにも参加しているのだ。

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で信頼のおけるシーマスターを身につけて悪者を追うボンド。画像提供:MGM

 そして時計関連の部分はそれだけではない。ラシャナ・リンチ演じる主人公のノミ(映画のなかでは007として活躍)はアクアテラ150mを、マネーペニーはデビル・プレステージ・クォーツを着用している。

ノミを演じるラシャナ・リンチとオメガのシーマスター アクアテラ150m。画像提供:オメガ、MGM

マネーペニーを演じるナオミ・ハリスとオメガ デビル プレステージ クオーツ。画像提供:オメガ、MGM

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見るべきシーン

 クレイグは過去に、007としての最初の2作品にQというキャラクターや長年慣れ親しんできたガジェットが登場しないことに失望したと語っていた。しかし、2012年に公開された『007 スカイフォール』でその状況は一変し、ボンドとしての最後の出演作となった本作では、それが実現している。映画の後半、もう一人の007であるノミ(リンチ)と一緒に、ロシアと日本のあいだの紛争海域にある島を襲撃する準備をしているとき、Q(ベン・ウィショー)はボンドにシーマスターの改良版を渡す。Qが手を伸ばして機器から時計を取り上げると(表向きには時計に磁力を与えるため)、年季の入った文字盤がクローズアップされる。その後、Qはこの時計の電磁力を説明し、ボンドにその使い方を教えるのだ。

画像提供:MGM

 ボンドとノミがサフィンを追うために島内を移動する際に、この時計の能力を垣間見ることができる。ボンドはサフィン側に寝返ったかつてのスペクターの子分と対決し、激しい殴り合いとレスリングの末、首を絞められてしまう。ボンドは仕事を終わらせるために、自分の腕時計に目をやり、ベゼルを動かしてEMPを放出。EMPは子分の電子眼球(過去にスペクターとの連絡に使ったもの)に直接当たり、彼は即死する。ボンドはその後、Qに無線で「君の時計を誰かに見せたよ。心を揺さぶったみたいだ」と言うのだった。

画像提供:オメガ、MGM

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(出演:ダニエル・クレイグ、ラシャナ・リンチ、ラミ・マレック)は、キャリー・ジョージ・フクナガが監督し、ベン・ウィルキンソンが小道具を担当している。現在、映画館で上映中だ。

トップ画像: Andy Gottschalk

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