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Editors' Picks 2024年現時点でのベストスポーツウォッチ

2024年も上半期が終わって間もないが、ここでスポーツウォッチ部門のメダルを授与しよう。

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第33回オリンピック競技大会がパリで満を持して開催され、世界最高のアスリートたちが日々メダルを獲得している。それに関連してHODINKEEでは、2024年のベストスポーツウォッチについて考えてみることにした。今年のベストリリースは何だろう? そしてその理由とは?

 そこでエディターたちに、それぞれ個人的に選んだ時計に金メダルを授与してもらった。2024年はまだ半ばであり、年末までにさらに多くのエントリーがあるであろうことは間違いないが、現時点での受賞者は以下のとおりである。500ドル未満のムーンスウォッチから100万ドルを超えるリシャール・ミルまで、各賞の詳細をご覧いただきたい。

リシャール・ミル RM 27-05 フライング トゥールビヨン ラファエル・ナダル/マーク・カウズラリッチ

 私はもともと、もっと手ごろな価格の時計を選ぶつもりだった。パッと思いついたところで、オメガの新しいホワイトダイヤルのスピードマスターにしようと思っていたのだ。この時計には取材で多くの時間を費やしてきたこともあり、近い将来間違いなく購入することになるだろう。しかし同僚のタンタンがすでにこの時計をセレクトしていたため、オメガは彼に任せることにした。そうなったときに、私には極端にスポーティなものを選ぶという道が残されていた。リシャール・ミルほど極端なものはなかなかないだろう。

 リシャール・ミルは高価すぎるとか、ただ見せびらかすための時計だろうという感情的な反応があることは理解できる。私もこの時計を実際に見たことはない。しかしRM 27-05のスペックを見たときには、ただ頭を振って笑うしかなかった。片面搭載の(フライング)トゥールビヨンムーブメントは厚さ7.2mmのカーボンTPT® B.4ケースに収められ、時計全体の重量はわずか11.5g(ストラップを含む)となっている。さらに驚くべきことに、この時計は300Gのテストにも耐えられるのだ。そして価格は115万ドル(日本円で約1億7200万円)で、限定80本。これこそまさにリシャール・ミルの狂気じみた魅力だ。たとえそれが、私には到底想像もできない価格だったとしても。

オメガ スピードマスター ムーンウォッチ ホワイトラッカーダイヤル/タンタン・ワン

 今年のベストスポーツウォッチは、ホワイトダイヤルを備えたオメガの新しいスピードマスター ムーンウォッチだ。私はこれまでに、いくつかのブラックダイヤルのムーンウォッチを所有しては売却してきた。しかし数カ月前から所有しているこの時計は、私にとっての永久定番になりそうだ。

 Cal.3861を搭載したブラックのムーンウォッチは、時計と宇宙飛行の歴史の正当な系譜を受け継ぐ完璧な存在だ。しかし一方で、微細な変更が加えられた新しいホワイトダイヤルは、スウォッチ グループが初めて発表した真にモダンなムーンウォッチのように感じられる。ホワイトダイヤルのスピードマスターはマークがWeek on the Wristで紹介しているように目新しいものではないが、このモデルはムーンウォッチとして一線を画しているように見える。

 ブラックPVDの針とインデックスがリッチにラッカー仕上げされたホワイトダイヤルがコントラストを成し、アワーマーカーはプリントではなくアプライドになっていることでダイヤル全体に立体感が生まれている。これにより時計からは完全にリフレッシュした印象を受け、ただの新しいカラーバリエーション以上のものが感じられた。ダイヤルに赤で“Speedmaster”と印字されていることや、先端に色が乗ったクロノグラフの秒針について最初はどう受け止めるべきか分からなかったが、しばらく使っているうちにその鮮やかな色のアクセントが気に入ってきた。これらの細かな要素がすべて組み合わさることで、本モデルはストイックな兄弟たちよりもダイナミックな(そして敢えて言うならば、おもしろみのある)モデルになっている。

チューダー ブラックベイ 58 GMT/トニー・トレイナ

 “ベスト”という言葉には非常に重みがあり、本来主観的であるものに対してある種の客観性も含んでいるように思える。ベストな復刻版? それならゼニスのデファイ リバイバルかもしれない。すでにファンに人気があるモデルをコンパクトにしたという意味でベストなものは? それなら(ステイシーが選ぶだろうが)ドクサ サブ 200Tだろう。ベストなスーパーカーウォッチ? まあ、リシャール・ミルかな。

 同僚のエディターたちのリストを見ても、現代の機械式スポーツウォッチを語るにあたって代表的なメーカーがまだ現れていない。そしてもしすでに登場していたところで、もうひとつ追加したって問題ないだろう。2024年のベストスポーツウォッチは、間違いなくチューダーのブラック ベイ 58 GMTだ。退屈で予測できたアイデアに聞こえるかもしれないが、それはチューダーが常に優れたブランドであり続けているからにほかならない。

 さかのぼること6年前、チューダーはブラック ベイ 58とブラック ベイ GMTを発表した。それ以来私たちは、この2モデルが交わって何か新しいモデルが生まれることを求め続けてきた。そしてそれから6年後、少し遅すぎたかもしれないがチューダーはブラック ベイ58 GMTをようやく提供してくれたのだ。初めに見たときはベゼルが気に入らなかったが、とても古いGMTマスターのリッチにエイジングされたベークライトベゼルを見て、チューダーが目指していたものが少し分かった気がした(先日のPhoto Reportに登場したRef.6542を見れば、私の言っていることが分かるだろう)。私が持っているブラック ベイ 58よりも約1mm厚く、ブラック ベイ プロよりも数mmほど薄くなっているが、それでいてマスタークロノメーターだ。フェイクリベットや金メッキのアクセントなどについて文句を言う人もいるだろうし、それはそれで間違っていないが、私はそれほど気にならない。少なくともブラック ベイ 58 GMTが素晴らしい時計だと思うという事実を覆すほどのことではない。GMTウォッチが溢れている世界で、チューダーは傑出した1本を作り上げたのだ。

スヌーピーのムーンスウォッチ、ミッション・トゥ・ムーンフェイズ・ニュームーン/リッチ・フォードン

 この夏は時計コレクターと話せば話すほど、奇妙なトレンドが浮かび上がってくる。自宅の時計ボックスや靴下が入っている引き出し、金庫のなかにたくさんの時計を持っているにもかかわらず、多くの人がとりわけ暑い夏の日にムーンスウォッチとそのバリエーションに手を伸ばしているというのだ。休暇中や耐え難い暑さのニューヨークで用事を片付けているさなかにも、クォーツ駆動のバイオセラミック製オメガ×スウォッチは多くの人々の手首に見られる。何が言いたいかというと、ここで私が選んだ時計は皆さんが一見して思うほど皮肉な選択ではないということだ。端的に言えば、私がスポーツウォッチを評価する際に“今年のベスト”であるかどうかを決める要素のひとつは、最も暑く湿度の高い日に最高にリラックスできる(ビーチで寝転がったり)か、あるいは特に面倒な(徒歩でクリーニング屋に行ったり、理髪店、食料品店に行く)活動をする際につけられるかどうかだ。

 2024年7月時点でムーンスウォッチに対する私の評価は臆面もなくポジティブだ。2年前にこの時計が出たとき、多くの時計愛好家にとって話題性の象徴のような存在だったことは理解している。しかし今日においてオメガとスウォッチが月を追うごとに新しいバリエーションを発表し続けているためか、疲れ果てた私はこの時計を受け入れるようになった。ムーンスウォッチは論争の種ではなく、この時計が時計愛好家にとって本当の意味で役にたつ実用的な製品であると確信している。

 ムーンスウォッチをつけて何をしてもいいし(もちろんデフォルトのストラップをNATOストラップに交換したほうがいいだろうが)、この時計を手首につけていることに満足できる。デザインは私たちが愛してやまないムーンウォッチそのものだ! ブラックスヌーピーのバリエーションは私にとってかゆいところに手が届くような(ちょうどいい)存在だが、もしあなたにとってそうでないとしてもそれはそれで構わない。あなたの考える今年のベスト・スポーツウォッチは、きっと別のものなのだろうから。

ゼニス クロノマスター オリジナル トリプルカレンダー/ジョナサン・マクウォーター

 今年は私がゼニスを(再)発見した年だ。優れた復刻モデルが次々と登場した結果、このブランドに対して特別な愛着を持たざるを得なくなった。それが今年の“ベスト”スポーツウォッチとして、必ずしもスポーツウォッチの定型に習わず過去を振り返るもの、つまりクロノマスター オリジナル トリプルカレンダーを選ぶ理由だ。

 私が時計収集に目覚めたのは、ヴィンテージウォッチの世界からだった。特にトリプルカレンダーとは何であるかを初めて知ったとき、興奮し、魅了されたことを覚えている。トリプルカレンダーは私が時計とはこうあるべきと考えていたものすべてを備えているという意味で、まさに思い描いていた理想の時計だった。トリプルの名のとおり、曜日・日付・月表示にクロノグラフ、そして何といってもムーンフェイズまで搭載しているのだ。2024年になりゼニスは私のお気に入りのスポーツウォッチのひとつを素晴らしい復刻モデルとして再現し、またもやその実力を見せつけてくれた。

 クロノマスター オリジナル トリプルカレンダーは、ベースモデルから(ほぼ)何も変えないというブランドのいつものレシピに従っている。このモデルはその他の同時代の時計のように完全な復刻というわけではないが、私からするとほとんど違いがない。ケースサイズは完璧で、クロノグラフムーブメントは高振動のエル・プリメロであり、当然ながらそのコンパクトなケースには曜日・日付・月表示とムーンフェイズが詰め込まれている。私が(現時点での)ベストスポーツウォッチに選んだのは、このテーマに対してまったくなじみのないものでありながら、現代的な文脈からするとても斬新で歓迎すべきものだからだ。

 トニーが紹介記事で述べたように、私はゼニスが魅力的な時計づくりという点で、また過去を讃える思慮深い復刻をとおして彼らのカタログを進化させていることを高く評価するようになった。これからもその調子で頑張って欲しいし、ゼニスはこれまで以上に私の関心を引いている。

ドクサ サブ 200T/ジェームズ・ステイシー

 確かに、本心ではモーメンタムのUDT エクリプスを選びたかった。しかしまだその時計を実際に見たことがないため、今年のもうひとつのお気に入りであるドクサ サブ 200Tを選ぶことにする。カルト的な人気を誇る300Tを小型化し、よりシンプルにした200Tはこの春のWatches & Wonders 2024で発表された時計で、ドクサはこのモデルを12色以上のカラーバリエーションで展開している。下に見えているのは、シルバーダイヤルの“シーランブラー”カラーだ。

doxa sub 200t

 SSブレスレットで1590ドル(日本円で約24万円、しっかりとしたラバーストラップの場合は少し安くなる)で販売されており、200Tは300Tやヴィンテージ風の300(仕様によっては2600ドル、日本円で約39万円に迫る)よりも低価格でドクサの美学を提供している。この見た目が好きであれば(僕は大好きだが)、ドクサ サブのようなつけ心地を叶えてくれる時計はほかにない。そしてサブ 200Tの小さな39mm径ケースは、その魅力をより幅広い手首に広げてくれる。

 さらにこのブランドはカラー展開が非常に秀逸で、サブ 200Tはドクサの標準的な“アイコニック”カラーと、鮮やかなブラッシュ仕上げが施された新しい“サンレイ”ダイヤルで提供されている。この価格で、ダイバーズウォッチの黄金時代(クラシックなサブ 300は1967年に発売された)に生まれた実績のある本格的なデザインの腕時計を手に入れることができるのだ。シンプルなスイス製のセリタSW200 自動巻きムーブメントと200mの防水性をそこに加えれば、楽しく魅力的なスポーツウォッチの完成だ。この時計は、カルト的な人気を誇るドクサの世界への素晴らしいエントリーアイテムとなる。