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G-STEELは2015年、G-SHOCKが長年培ってきたタフネスデザインに、メタル外装を組み合わせたコレクションとして誕生した。初代モデルのGST-210は、デジタル表示用の小窓とアナログ針を組み合わせた表示レイアウトに、サテン仕上げが施されたダイナミックなステンレススティール(SS)製ベゼルを備え、当時は「ビジネスでも使えるG-SHOCK」として打ち出されていた。そして翌年には、ダイヤルデザインを見直して視認性を高めたGST-W110が登場し、シリーズの人気に火がつくとともに、G-SHOCK愛好家のあいだでも広く知られる存在となる。当時は3万円台という価格帯で高級感のあるタフネスウォッチが手に入ることから、既存ファンのみならず、カジュアル色の強い従来のG-SHOCKが自分のスタイルに合わないと感じていた大人層にも受け入れられた。以降、樹脂のインナー構造の上にメタルを積層するスタイルを武器に、やや小型化したGST-W110、液晶表示を完全に排したフルアナログG-SHOCKのはしりであるGST-B100と挑戦的な展開を続けていく。
GST-110は現在も、G-STEELを象徴するモデルとして販売されている。
特に最近では、5000や2100といったG-SHOCKにおけるアイコニックな品番の意匠も取り入れながら、メタルと樹脂の両素材が共存するG-STEELならではのユニークなアプローチも行われている。2025年の頭に発表された、FINE METALIC SERIESはいい例だ。メタルベゼルを備えるケースから上下に伸びるメタリックなブレスは、手に取ってみると蒸着により金属のような質感を得たタフシリコーンバンドであることに気がつく。また、直近ではバンフォードとのコラボモデルもG-STEELから発表されており、G-SHOCK全体で培われてきた技術を背景としながら、樹脂モデルとフルメタルモデルのいいとこ取りをしながら独自の存在感を示してきているように思う。
今回はそんな勢いに乗るG-STEELから、HODIKEE Japanのエディターがそれぞれに気になるモデルをピックアップした。ちなみに、G-STEELは日本国内では厳密には「GST」から始まるモデルを指すが、海外では「GBM」や「GM」から始まるモデルも該当する。今回はよりG-STEELの幅広いクリエイションを伝えるために、後者も含めたセレクトを行った。時計選びの基準や好みは実にさまざまであり、自然と選ばれたモデルもキャラクターの異なる顔ぶれとなった。各エディターは自分の選んだ時計のどこに惹かれたのか、順にたどっていきたい。
G-STEEL GST-B1000D-1AJF
名作登場、である。正直、今年リリースされたG-SHOCKの中でも指折りの完成度を誇るのがこのGST-B1000Dだと感じている。本作はG-STEELでは珍しいフルアナログ表示を採用し、オリジンモデルをオマージュした八角形ケースを備えたブレスレット一体型モデルだ。大人の着用者を意識した、非常にミニマルでスマートなデザインながら、曜日表示と30分積算計、ストップウォッチを含む機能インジケーターを一体化させたインダイヤルを7-8時位置に。3時には24時間表示のサブダイヤルを配し、4時半位置の日付表示も主張するデザインではなく、あくまで全体の調和を保っている。
極めつきはそのサイズだ。46.9 × 44.2 × 11.6 mmという寸法は、近年のメタルG-SHOCKの原点とも言えるGMW-B5000の49.3 × 43.2 × 13 mmと比べて一回り小さい。オリジンのデザインを踏襲した結果、ケース全長に制約のある5000よりも着用感はサイズ表記以上に優れているとも感じる。ちなみに、ここ数年の小ぶりなG-SHOCKの潮流を作った特徴的な八角形デザインのGA-2100と並べて、ほぼ同程度のサイズ感であるから、メタルにしてスリムなこのGST-B1000Dのすごさが伝わるだろう。
G-STEELはメタルを用いるという共通項はありながら、MT-Gのように他の複合素材との融合を前提としたり、複雑な構造を必須としたりするわけではない。ましてや真新しい金属や機能が搭載されるシリーズではなく、デザイン的にもオリジンや2100といったアイコンたちを明確に継ぐわけでもないが、そうした制約があればこそ、工夫の末にこうした傑作が生まれたのだと思う。
GST-B1000Dは、もちろんG-SHOCK基準の耐衝撃性や先に挙げた必要十分な機能は備えつつ、スリムさとミニマルデザイン、かつ手の届くリアルプライスである6万6000円(税込)を実現して現代のニーズに全力で応えている。これはある意味発明ではないだろうか? G-SHOCKの歴史とは、イノベーションの繰り返しである。時として、明確な進歩ではなく自社が持つ強みの新たな解釈によって価値あるイノベーションを生みだすのもG-SHOCKの個性なのだ。
6万6000円(税込) 詳細はこちらから
G-STEEL GM-5600M-1JF
G-STEELは、メタルのもたらす高級感と、樹脂モデルで見られる自由度の高いクリエイションをバランスよく取り入れたシリーズであると僕は考えている。同じくSSを取り入れたG-SHOCKとしてMT-Gやフルメタルコレクションが挙げられるが、前者は異素材を組み合わせた構造的アプローチに重きが置かれ、後者は5000や2100といったアイコニックモデルのフォルムをフルメタルで忠実に再解釈することに主眼が置かれている。一方G-STEELでは、時にそうしたアイコニックモデルの意匠もベースにしつつ、ベゼルやダイヤルの仕様にまで手を加えながらより自由なデザイン表現を取り入れたモデルも多く展開されてきた。
2025年11月に登場したばかりのGM-5600M-1JFも、その性格を示す1本である。おなじみの5600系フォルムを踏襲しつつ、ベゼルパーツにはメタルの質感を前面に押し出したアレンジが加えられている。テーマはずばり、無彩色による工業製品的なデザイン。それをわかりやすく表現しているのが、ベゼル上面に施されたピラミッド状のチェッカリングパターンだ。鍛造により5600の伝統的な形状を成形したのち、プレス加工で仕上げられている。さらに“G-SHOCK”や“PROTECTION”といった定番のロゴ表記をあえて排している点も含め、全体としてよりモダンで工業製品的な佇まいを強調。また、液晶まわりのダイヤルも無彩色で統一されており、そのなかでとりわけ日常的な使用頻度が高いであろうストップウォッチ機能に対応するボタンだけが赤でマーキングされた。こうした視覚的な処理によって、実用性そのものを高めながらも、プロフェッショナルユースのツールを思わせる“使うための道具”然とした印象を強く与えるデザインに仕上がっている。
ベゼルパーツの上下に設けられた切削穴も印象的だ。このモチーフ自体はフルメタルモデルのGMW-B5000TVB-1JRやGMW-B5000TVA-1JRでも用いられていたものだが、本作ではブラックのラバーストラップとシルバーケースによるツートーン構成のなかで、メカニカルなアクセントとしていっそう効果的に機能している。
全体としてコンセプトに忠実でありながら、スタイリッシュにまとめられていると感じる。とりわけメタルの質感は好ましい。ベゼル表面にはホーニング加工が施されており、ツール感を高めるだけでなく、指紋や汚れが目立ちにくいというメリットも備える。ここにメタルブレスレットを組み合わせると重厚感が前面に出すぎるおそれもあるが、あえてシンプルなウレタンバンドを採用したことで、日常使いに適した軽快さを獲得している。樹脂とメタルのミックスを得意とする、G-STEELらしい取り合わせと言えるだろう。初期〜2020年頭までのG-STEELは、どちらかといえばメタルの重厚さを前面に打ち出したモデルが中心だった。しかし近年では、GBM-2100AやFINE METALIC SERIESのように、樹脂による抜け感や軽快さを生かしたいい意味で力の抜けたプロダクトも増えてきた。ビジネス向けG-SHOCKの役割はフルメタルモデルが担うとして、G-STEELには樹脂モデルの延長線上で楽しめる洗練されたカジュアル路線(できればプライシングも含めて)を、今後も期待したい。
2万9700円(税込) 詳細はこちらから
G-STEEL GST-B600D-1AJF
オンオフがシームレスになった現在において、“ビジネスでも使える”という解釈は多々成り立つだろう。だが少なくとも個人的には、自身の手首にほどよく収まる大きさと、シャツの袖口を圧迫しない程度の厚みであることが、そうしたシーンで身に着ける時計の最低条件だと思っている。タフでゴツいイメージが強いG-SHOCKからは想像しがたいかもしれないが、もともと“ビジネスでも使えるG-SHOCK”として世に送り出されたG-STEELには、ふさわしい条件を備えたモデルがいくつかラインナップされている。
なかでも特に注目しているのが、GST-B600D-1AJFだ。本作はGST-B600シリーズのメタルブレスレット付きモデルのひとつとして発売されたもので、その特徴はG-STEEL最薄を標榜していたGST-B400と比較して最薄・最小・最軽量であること(2025年12月現在)。具体的な数値を見ると、GST-B600シリーズはケースサイズが縦41.4mm、横42.3mm、厚みは11.4mm。ファーストモデルにあたるGST-B400シリーズと比較して15%小型化されたという(GST-B400シリーズは縦46.6mm、横49.6mm、12.9mm厚だった)。もちろんこれが小振りだとは言わないが、G-SHOCKならではの耐衝撃構造を実現していることを考慮すると、かなりコンパクトであることは間違いない。
GST-B600D-1AJFはブレスレットもSS、ブラックのダイヤルは差し色もないモノクロームなデザインで、クールな印象を与える。G-SHOCKらしいエッジが際立った立体的なディテールのため、決して控えめではないが、ツールウォッチらしい存在感を備えた時計という雰囲気だ。
実際、GST-B600D-1AJFはG-SHOCKならではの機能が満載である。蛍光灯の光でも発電するカシオ独自のタフソーラーは煩わしい操作もなく日々の生活のなかで十分な動力を確保しやすい。またBluetooth通信によるモバイルリンク機能を備えており、この機能を使えば自動時刻補正、簡単時計設定、ワールドタイムなどさまざまな機能をスマートフォンのアプリで設定が可能だ。腕時計をいちいち手首から外して調整する必要もなく、操作は非常にスマート。多機能なスポーツウォッチを日常で身に着ける感覚とそう遠くはないはずだ。普段使いはもとより、ビジネスシーンでも着けられるG-STEELを求めるなら、このモデルは間違いなくおすすめのモデルだと思う。
5万7600円(税込) 詳細はこちらから
G-STEEL GM-2100N-2AJF
G-STEELのGM-2100N-2AJFは、2100系の八角形フォルムをベースに、SSベゼルを組み合わせたモデル。ベゼルにはダークブルーのIP加工が施され、シャープなエッジがダイヤルを引き締めている。同じ2100系のG-SHOCK樹脂モデルと比べても、メタルならではの硬質な光沢感が手首を引き締めてくれて、見た目の締まりが一段増す。アナログとデジタルのコンビ表示に、ワールドタイム(世界48都市)、ストップウォッチ、タイマー、アラームを備えており、旅行や仕事の区切り、日常使いまで1本でまかなえる構成になっている。G-SHOCKの利点である20気圧の防水性と耐衝撃構造も備えつつ、薄型かつ軽量(11.8mm厚で重さは72g)な設計がうたわれている点も含め、道具としての信頼性に不足はない。
私がこのリファレンスに引かれるのは、ベルト、ダイヤル、針、ロゴに至るまでブルーで統一したところにある。GM-2100のラインナップでも、ここまでワントーンを徹底したカラーモデルは唯一で(シルバーおよびブラックをのぞく)、写真で見る限りスポーティでありながら過度に主張しないトーンにまとまっているように見える。加えてブルーIPのメタルの質感により、ワントーンのなかにもリズムが生まれると同時に、文字盤との一体感も生まれてように感じた。このブルーがもつ清潔感と抜けのバランスは、白シャツやネイビーのジャケット、淡いトーンのトップスなど、普段の装いでも楽しめそうで、手元だけに涼やかなアクセントを足してくれるはずだ。
もうひとつはアナデジという実用性で、私の手持ちにない表示形式として素直に新鮮である。必要な情報へ素早くアクセスできるアナデジの便利さを、日常のなかに取り入れてみたいと思った。サイズ感は44.4mmと、写真やスペックで見るかぎり私の手首でははみ出しそうな気もするが、シェアウォッチとして考えるとむしろその大きさごと楽しめそうだと感じる。
3万2450円(税込) 詳細はこちらから
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