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Photos by Andy Hoffman
私のことをブンドキュリアス(ブンドに関心のある者という意味)と呼んでくれて構わない。この重厚なストラップの選択に関して、私はジェイソン・ヒートン(Jason Heaton)のようなスペシャリストではない。そもそもブンドストラップは、コックピット内の極端な温度変化や金属反応から着用者の手首を保護するための追加のレザーパッドとして開発されたものだ。しかし私なりにその世界を少しかじったことはある。このストラップスタイルは1世紀以上の歴史を持つが、そのニックネームはドイツ連邦共和国(Bundesrepublik)の空軍パイロットが使用していたこと、そしてのちに西ドイツ連邦軍(Bundeswehr)の略称に由来している。
ブンドが真の黄金時代を迎えたのは1970年代のことだ。ポール・ニューマン(Paul Newman)、スティーブ・マックイーン(Steve McQueen)、ロバート・レッドフォード(Robert Redford)といった時計スタイル界の三大アイコンに加え、同様にスタイリッシュで象徴的なニーナ・リント(Nina Rindt)もサーキットでユニバーサル・ジュネーブをカフストラップに装着して愛用していた。実際、1960年代後半に登場したホイヤーの連邦軍モデル(Bundeswehr)こそ、ブンドの頂点と言えるかもしれない。ブンドに組み合わされる時計は通常、厚みのあるクロノグラフだった。“ポール・ニューマン” デイトナやマックイーンが着用していたハンハルトのクロノグラフなどがその代表だが、1975年の映画『コンドル(原題: Three Days of the Condor)』でレッドフォードが身につけていたダイバーズウォッチ、ドクサ 300T シャークハンターはその数少ない例外だった。
ル・フォルバン(Le Forban)のダイバーズウォッチ、マルセイエーズに話を移そう。私自身、ダイバーズウォッチをラバー製のブンドストラップで体験するのはこれが初めてのことだ。このフランスブランドのタイムピースと多彩なストラップの選択肢は、確かな信頼性を備えている。デザインを手がけたのは、あのタグ・ホイヤーの初代フォーミュラ1などを生み出したスイス在住のエディ・バーゲナー(Eddy Burgener)氏だ。
マルセイエーズは、ダイバーズウォッチの確立されたコードを自信を持って踏襲している。“モナン(Monnin)”スタイルのサテン仕上げを施した316L ステンレススティール(SS)製ケースは直径40.8mmで、ポリッシュ仕上げのサイド面が際立つリューズガード、ブラックのアルミニウム製ベゼルインサート、そして夜光付きのドットを備えた120クリックの逆回転防止ベゼルを装備している。ラグ・トゥ・ラグは46mm、厚さは12mm弱で、手首での着け心地はきわめてよい。もっとも、ブンドが加わることで多少の存在感は増すが、それについてはのちほど触れることにしよう。刻印とスタンプによるロゴを配したねじ込み式リューズとスクリューバックケースにより、250mの防水性能を確保している。
今回私が手にしたのは、ブルーのサンバースト仕上げを施したダイヤルにホワイトのスーパールミノバを備えたモデルだが、経年変化を再現した卵色の夜光を備えたブラックの“オニキス”仕様もラインナップされている。ベゼルの操作感は深く刻まれた切り欠きによって正確で、グリップの効いたブラックアルミニウムのインサートを回して時間を計測する際、ASMRレベルと言えるほど心地よいクリック音を奏でる。
サファイアクリスタルの下にあるサンバーストダイヤルは、過度な光沢がなく、私はそこが気に入っている。深いロイヤルブルーからエッジに向かって黒に近い色へと変化し、鮮やかな差し色を添えている。チャプターリングの周囲のインナーリングは適度な深さがあり、12時位置には夜光付きの三角形、6時と9時位置にはバトンインデックス、それ以外にはドットの夜光プロットが配されている。3時位置にはフレーム付きのデイト窓があるが、正直なところ、デイトなしのほうが外観はよいだろう。確かにマルセイエーズのような1000ユーロ(日本円で約18万2000円)以下のダイバーズウォッチにおいて、人々がこの機能を求めているのも事実だ。価格はダイブブンド仕様で940ユーロ(日本円で約17万円)、SS製の3連ブレスレット仕様で990ユーロ(日本円で約18万円)となっている。
Image Courtesy Le Forban
針の形状はダイバーズウォッチの世界から強く影響を受けている。夜光を塗布した秒針はクラシックなロリポップ型だ。時針はペンシル型、そしてインデックスを越えてチャプターリングの端まで届くきわめて重要な分針の先端にはブロック状の三角形が配されている。
ダイヤルには多くのテキストが記されている。上部には“ル・フォルバン/LE FORBAN”(“無法者”、あるいは海事の文脈では“海賊”を意味する)の文字と、その下にやや一般的なアンカーロゴがある。さらに“セキュリテ・メール(SECURITE MER)”とあり、これは“海上保安”を意味するのだろうか? 奇妙だがクールだ。針の下には筆記体でモデル名の“マルセイエーズ(Marseillaise)”が記され、フランス国旗の青、白、赤のトリコロールカラーの上に鎮座している。最後に250mの防水性能が記され、ダイバーズとしての機能性を強調している。
さて、ラバー製のブンド、あるいはル・フォルバンが“ダイブブンド(Dive Bund)”と呼ぶものについて話をしよう。これは快適で頑丈なパターン入りのFKMラバー製で、ブンドパッドによって時計が手首から数mm持ち上がる。ラバーパッドにはロゴを見せるための円形の切り抜きがあり、右側のリューズガードに合わせて非対称の形状になっている。肌に触れる裏面は滑らかで、時折敏感になる私の手首でも刺激や擦れを感じることはなかった。
はっきり言っておこう。“ダイブブンド”に実用的な目的を見出すのは難しい。SS製のケースを肌から遠ざける必要性はほとんどないし、アイスダイビングをするなら時計はドライスーツの上から装着するはずだ。もしスティールが不快なレベルまで熱くなるような水温のなかにいるとしたら、時計のことよりも先に心配すべきことがあるだろう。
とはいえ、そんなことはどうでもいい。“ダイブブンド”は外観がクールであり、たとえ実際には機能しなくても、時計に目的意識と実用的な雰囲気を与えてくれる。確かに非合理的で不要かもしれないが、ポケットのなかに衛星精度の計時ツールがある現代において、それはほとんどすべての時計に言えることではないだろうか? もし正当な理由が必要なら、ラグ幅が20mmであることを指摘しておこう。この一般的なサイズなら、必要に応じてほかの時計を“ダイブブンド”に装着して楽しむこともできる。
もちろん“ダイブブンド”が好みでない場合は、パッドを簡単に取り外すことができる。そうすれば、SS製のアンカーロゴ入りバックルを備えた伝統的なダイバーストラップとして使用可能だ。また、50ユーロ(日本円で約9000円)ほど追加すれば、SS製のブレスレットを選ぶこともできる。サテン仕上げを施したブレスレットに微調整機構はないが、三角形のクラスプはユニークで、ブランドロゴが控えめに刻印されている。
ストラップでもブレスレットでも、時計は手首にしっかりと安定して固定される。内部には信頼性が高く実績のあるセリタ SW-200が搭載されており、いつものように申し分なくその役割を果たしている。
Image: Le Forban
Image: Le Forban
オリジナルのル・フォルバンは1969年に誕生し、2019年にジャン・セバスチャン・コスト(Jean-Sebastien Coste)氏とそのパートナーによって復活を遂げた。元電気通信会社の重役であるコスト氏は、2016年に別のフランスブランド、トリトン(TRITON)を復活させた中心人物のひとりでもある。ヴィンテージブランド復活のトレンドの全盛期は数年前に過ぎ去ったかもしれないが、ル・フォルバンはこのジャンルにおいて、今なお健在で、堅実なフランスのヘリテージを継承するブランドだ。
Image: Le Forban
Image: Le Forban
1000ユーロ(日本円で約18万1000円)を下回る価格帯ながら、マルセイエーズは同様の機能や品質を提供するほかのマイクロブランドとの激しい競争にさらされている。そのアドバンテージは、本物のフランスのダイバーズウォッチとしてのヘリテージにあるだろう。チューダーのマリーン・ナシオナル(フランス海軍)レベルとは言わないまでも、そこには確かな正統性がある。そしてもちろん、ほかとの差別化要因としての“ダイブブンド”の存在だ。これまで誰もラバー製のブンドを本格的に作っていなかったというのは、考えてみれば意外なコンセプトだ。歴史的に実在しなかったプロダクトに対してノスタルジーを感じさせるという、珍しいケースである。
ちなみに、マルセイエーズ本体は不要でラバー製のブンドストラップだけが欲しいという場合、ル・フォルバンは公式サイトで“ダイブブンド”を99ユーロ(日本円で約1万7000円)で販売している。これまでに体験したことのない、ノスタルジーに満ちたアクセサリーを手に入れるためのより身近な方法と言えるだろう。
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