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ロンジン 香港インターナショナルレースに初潜入。干支モデルや新アンバサダー発表で示した馬術会との関係

2025年12月8〜14日にかけて香港で開催された、世界最高峰のホースレースとソサイエティの熱狂。現場を訪れた編集長の関口が、時計と馬が交差する「エレガンス」の真髄をレポートする。

ロンジンがタイトルパートナー兼オフィシャルタイムキーパーを務める「ロンジン 香港インターナショナルレース(HKIR)」が開催。世界最高峰のホースレースとされるこの競技会では、最終日にG1レースが4つも催されるなどその名に偽りのないものだった。


ロンジン 香港インターナショナルレースで発表された多くのニュース

香港の12月は、ホースレースや時計ファンにとって単なるカレンダーの終わりではない。シャティン競馬場が最も熱く燃え上がる「ロンジン 香港インターナショナルレース」の季節だ。今回、僕は幸運にもその渦中に身を置く機会を得た。このレースは、単なる競馬の枠を超え、ラグジュアリーとスポーツ、そして文化が濃密に溶け合うひとつのカルチャーである。1週間にわたる祝祭のハイライト、そしてそこで発表された特別なタイムピースについて、僕が感じた興奮をそのままお伝えしたい。

 会場に到着してまず圧倒されたのは、その規模とホスピタリティ。僕が訪れた最終日には4つのG1レースが立て続けに開催されたが、これは世界的に見ても極めて稀な、まさにホースレースの「ワールドチャンピオンシップ」にふさわしい陣容である。

 ゲートが開く瞬間の静寂、そして地響きのような蹄音。時速60kmを超えるサラブレッドたちがゴールを駆け抜けるその刹那を、ロンジンは100分の1秒単位で正確に切り取っていく。ブランドが1878年に製作したクロノグラフが19世紀後半に北米の競馬場に導入されて以来、150年近く積み重ねてきた歴史が、この香港の地でも絶対的な信頼として機能するのだ。しかし、僕がこの地で感じたのはいわゆる計時の正確性に代表されるブランドの実力だけではない。ロンジンが掲げる「エレガンスを身に纏う(Elegance is an attitude)」というフィロソフィーが、会場を埋め尽くすドレスアップした観客のスタイルや、一頭一頭の馬に向ける敬意の中に深く浸透していることだった。


恒例の干支モデルは午年にちなんだロンジン マスターコレクション イヤー・オブ・ザ・ホース

Yosh Yu(ユー・シー)

中国の現代アートを代表する画家であるピオン・シュー(Peon Xu)による「Galloping Horse(奔馬図)」。中国のピオン・アートミュージアムとのコラボレーションにより、今回の特別モデルのローターにこの絵がエングレーブされた。

©Galloping Horse (Deshi)_Peon Art Museum

 レースの喧騒のなか、同じように会場を湧かせた大きなトピックが、中国人俳優であるYosh Yu(ユー・シー)氏の新たな「ロンジン アンバサダー・オブ・エレガンス」への就任発表だ。彼の洗練された立ち振る舞いと、伝統を重んじつつも現代的な感性を持ち合わせる姿は、今のロンジンが目指す方向性を象徴しているように見えた。

 そして、僕らにとって最も注目すべきは、会場でお披露目された特別な新作「ロンジン マスターコレクション イヤー・オブ・ザ・ホース」である。僕の目を釘付けにした、赤いダイヤルが特徴のこの時計は、
ロンジンが毎年の干支にちなんでリリースする特別な限定モデル。特に2026年の午年を祝うこの1本は、ブランドにとって特別な意味を持つ。なぜなら、馬こそがロンジンのヘリテージにおいて最も重要なモチーフだからだ。

 手に取った瞬間、その完成度に唸らされた。ベースとなるマスターコレクションは、42mmのSSケースにムーンフェイズとカレンダーを備えた、ブランドの定番中の定番と言える。しかし、この時計の真の価値は、サファイアクリスタルのケースバックを裏返した瞬間に現れる。
そこには、中国現代アートの巨匠ピオン・シュー(徐悲鴻/Peon Xu)による名画「Galloping Horse(奔馬図)」が、ローター一面に精緻にエングレーブされているのだ。ピオン・アートミュージアムとのコラボレーションにより実現したこの意匠は、力強く大地を駆ける馬の躍動感を、金属という冷たい素材の上に完璧に再現している。

 筆致の勢い、筋肉の躍動、そして風になびくたてがみ。平面の絵画を時計のパーツに落とし込む際、多くの場合は簡略化されがちなディテールが、本作の彫金では、元の水墨画が持つ特有の溜めや払いの質感までを感じさせた。回転するローター上で、そこに刻まれたギャロップが弧を描いて駆ける姿は、まさにこのレース会場で目にしたサラブレッドたちの姿と重なる。

 表側のグラデーションがかった真紅の文字盤は、内部に滾る馬の躍動を表すよう。なお、針やインデックス、ムーンフェイズの周辺リングに至るまでゴールドが配されており、東洋的で贅沢なデザイン言語が垣間見える。一方で、こうした限定モデルで一般的な、文字盤側にロゴやアイコンなどを賑々しく配してセレブレートする方法ではなく、あくまで所有者が裏側から楽しめるあしらいに留めたことにエレガンスを感じる。42mm径の極めて正統派のドレスウォッチをベースとしながら、2026年の干支をテーマにロンジンが精神の深い部分で共鳴する馬術をも力強く表現した秀作なのだ。


ロンジンのエレガンスを紡ぐ、ホースレースとの深い繋がり

 表彰式で勝者を称えるロンジンのロゴを見上げながら、僕は改めてこのブランドが持つ絆の深さを考えていた。これは、単なるスポンサードの関係ではない。馬術という、人間と動物が極限の信頼関係で結ばれるスポーツにおいて、その時間を司る役割を担い続けること。そして、その情熱を「イヤー・オブ・ザ・ホース」のようなアートピースとして昇華させること。

 香港の独特な湿り気を帯びた冬の風の中で、手元にあるマスターコレクションのローターが回る感触を確かめる。今回の香港滞在で僕が体感したのは、スペックとしての時計ではなく、人生の記憶に刻まれるべき「時間」そのものだった。ロンジンと馬。この分かちがたい関係は、これからも新たなエレガンスの物語を紡いでいくに違いない。


ロンジン マスターコレクション イヤー・オブ・ザ・ホース:型番 L2.919.4.09.2、ケース ステンレススティール、42mm径、仕様 自動巻き、ムーンフェイズ、日付表紙、サファイアケースバック(ローターにピオン・シュー「奔馬図」のエングレービング)、価格 44万7700円(税込)

その他、詳細はロンジン公式サイトへ。