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Editors' Picks 編集部が注目する、2025年発表の“スリーパーヒット”な時計5選

2025年に登場した新作時計の中から、注目度に埋もれがちな隠れた名作や過小評価されているモデルをエディトリアルチーム視点でセレクト。

毎年、新作時計の発表シーズンには、どうしても注目が一部の話題作に集中しがちです。革新的な機構、象徴的な復刻、あるいは圧倒的なブランド力。その陰で、完成度や思想において決して劣らないにもかかわらず、十分な評価を受けていない時計が存在するのも事実です。

 本記事では、2025年に発表された数多くの新作の中から、過小評価されている時計、注目度の高いモデルの影に隠れてしまった時計にあらためてスポットライトを当てます。派手さよりも本質を重視する読者にこそ知ってほしい、“スリーパーヒット”と呼ぶべき5本を編集部の視点で選出しました。


フレデリック・コンスタント クラシック パーペチュアルカレンダー マニュファクチュール
By Yu Sekiguchi

2025年は、パーペチュアルカレンダー(QP)が大豊作だった。オーデマ ピゲのロイヤル オーク、パテック フィリップのRef.6159GにIWCのインヂュニアなど、このハイエンドな複雑機構に一家言を持つブランドはもちろん、ミニマリズムを追求した独自の表示方法を示したパルミジャーニ・フルリエのトリック、ひと目ではそれと気付かないパネライのルミノールや国産初の機械式QPを実現してみせたNAOYA HIDA&Co.のNH TYPE 6Aなど、目移りしてしまうほどに魅力に溢れた時計ばかりだ。ただ1点、僕の予算的に手が届かないことを除けば、、、。

 その点、4月に静かにリリースされたこのフレデリック・コンスタント(FC)のクラシック パーペチュアルカレンダー マニュファクチュールは別だ。小型化してリニューアルされた新しい自社製ムーブメントCal.FC-776を搭載して40mmサイズにまとめ、しかもSSケースを選択して200万円を切るプライスを叶えている。正直、最近のトレンドとしてハイエンドな機構には貴金属ケースがつきもので、FCにおいてさえそれは例外ではなかった。だがこの時計は違ったのだ。もっと胸を張って、大々的にコマーシャルされても良い時計だと思っている。春に発表され、秋頃に東京ブティック先行でこれまたひっそりと入荷が始まったようだが、その売れ行きは良さそうだ。

 こういった時計を“お手頃”と言ってしまうのは我々の悪いクセだが、機械式QPにおいては敢えてそのように表現したい。それに、本機の魅力は単に複雑機構だけに留まらない。サーモンピンクの文字盤は、痒いところに手が届くようにツボに入ったカラーリングだし、QP自体はオーセンティックなデザインレイアウトながら、単にクラシック一辺倒ではないディテールも魅力的だ。ケースに対して厚めにとられたベゼルはオニオンリューズと相まってややカジュアルな印象を持たせ、ソード針はそこにモダンさを与えている。あくまで現代的なデザインを続けるFCらしい意匠である。

 プライスも含めたこのパッケージは明らかに若い世代を意識し、日常的に使われることを想定したのだと感じさせる。かしこまったスーツスタイルに合わせるドレスウォッチではなく、使うシーンを限定させないモダンなQPなのだ。グレーのスエードストラップなんかを合わせて、気負わずアクティブに装ってみたい。

価格:176万円(税込)

その他、詳細はフレデリック・コンスタント公式サイトへ。


セイコーセレクション The Steadyシリーズ
By Masaharu Wada

STPX107(Photograph by Masaharu Wada)

セイコーセレクションというブランドをご存知でしょうか。ブランドの公式説明では「SEIKOの考える時計の基本機能とデザイン性を追求。機能・品質・デザインのトータルバランスを重視する人へむけたセレクション」とされています。

 クォーツやソーラー、電波時計から機械式までを網羅し、タイムオンリー、クロノグラフ、デジタルウォッチといった幅広いスタイルを、概ね3万円前後から10万円以下という現実的な価格帯で展開されているのが特徴です。あらためて見渡してみると、日本の時計づくりが培ってきた実用性と良心的なものづくりが、もっとも素直なかたちで表れているラインだと感じます。そのセイコーセレクションの中から、僕が2025年の“スリーパーヒット”として推したいのが、新作として登場したThe Steadyシリーズです。セイコーの公式サイトではレディスウォッチとしてカテゴライズされていますが、実物を見たとき、僕の中では少し違った印象を持ちました。

 ケースはステンレススティール製で、サイズは厚さ9.4mm、横30.2mm、縦37.3mm。数字だけを見ると確かに小ぶりですが、この時計の魅力は単なるサイズ感だけではありません。柔らかな曲線を描くクッションケースが、このコンパクトな寸法と組み合わさることで、どこかヴィンテージウォッチを思わせる佇まいを生み出しています。いわゆる“レディス”という枠に収まらず、スタイル次第では性別を問わず楽しめる雰囲気があるのです。

STPX103(Photograph by Masaharu Wada)

 駆動方式はソーラー。定期的な電池交換を気にする必要がなく、日常使いの時計として非常に扱いやすい点もポイントです。ヴィンテージライクな表情を持ちながら、中身は現代的で実用的。このギャップこそが、The Steadyシリーズの大きな魅力だと感じます。

 ラインナップは、スティールブレスレットを備えたブラックダイヤルモデルを筆頭に、レザーストラップ仕様のブルーダイヤル、イエローゴールドPVDケース、ブラックPVDケースの計4モデル。いずれもキャラクターがはっきりしており、価格以上に作りの丁寧さが伝わってきます。中でも僕が惹かれたのは、やはりブレスレットタイプ。ケースとブレスレットの一体感がよく、小径サイズのケースながらブレスレットが存在感を強めてくれています。

 派手な話題性や分かりやすいアイコン性はありません。ですが、サイズ、デザイン、実用性、価格、そのすべてが静かに噛み合っている。The Steadyシリーズはまさに、注目作の陰で見過ごされがちな“スリーパーヒット”と呼ぶにふさわしい一本です。時計をファッションとして気軽に楽しみたい人にも、日常に寄り添う相棒を探している人にも、おすすめできるモデル。女性はもちろん、コンパクトな時計の魅力をあらためて感じたい男性にも、ぜひ実物を試してみてほしいモデルです。

 価格:3万5200円〜4万1800円(税込)

 その他、詳細はセイコー公式サイトへ。

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アンジェラス クロノグラフ テレメーター
By Kyosuke Sato

Watches & Wonders Genevaが終わり、業界関係者が集まる機会があると決まって聞かれるのは「今年の新作でよかった時計は何ですか?」というセリフだ。そのたびに、その年に話題となったブランドや時計の名前が飛び交い会話が広がっていくのだが、筆者が個人的に気になった時計としてこの2年ほど名前を挙げているのがアンジェラスである。

 そのたびにたいていの人から「? アンジェラス?」と、何とも言いがたいリアクションが返ってくるのだが、アンジェラスは過小評価されている時計だと思っている。2024年はヴィンテージGTカーのダッシュボードに備え付けられたレーシングクロノグラフから着想を得たというリューズ一体化型のモノプッシャークロノグラフ、インスツルメント ドゥ ヴィテッセ 60 セカンド クロノが心に刺さった(こちらの記事のなかでも筆者のアンジェラス愛を記している)が、2025年の新作のなかから“スリーパーヒット”な時計を挙げるなら、筆者はアンジェラスのクロノグラフ テレメーターをおすすめしたい。

 本作は、1940年代にハンガリー空軍が採用したアンジェラスのクロノグラフを彷彿とさせる2カウンタークロノグラフだ。シリンダー型の時・分針、そしてセンタークロノグラフ秒針を持ち、3時位置に30分積算計、9時位置にスモールセコンドを備え、モデル名の由来でもあるテレメータースケールは文字盤外周部にプリントする。オリジナルはふたつのプッシャーでスタート・ストップ・リセットを操作するスタンダードなスタイルだったが、本作はリューズと一体化したモノプッシャー型だ。そう、前述のインスツルメント ドゥ ヴィテッセ 60 セカンド クロノとスタイルこそ異なるが、ムーブメントには同じ手巻きクロノグラフのCal.A5000を採用しているのだ。

 何といっても興味を引かれたのが、ケースサイズだ。本作のケース径は37mm。アンジェラスの現行コレクションでは最小のモデルで、約38mm径だったオリジナルとほぼ同じサイズを実現しているのだ。往年のモデルと比べると、インダイヤルがずいぶん中央に寄ったレイアウトであるところはやや不満ではあるが、クラシカルな雰囲気のサイズとデザインはきわめて魅力的だ。

 本作では3つのバリエーションが少量限定で発表された。世界限定15本の18Kイエローゴールドケース仕様は焼けたような絶妙な色合いのニッケルホワイトダイヤルを合わせ、各世界限定25本となる2本のステンレススティールケース仕様では、ブロンズを帯びたピンクカラー、そして本稿で掲載したチタングレーダイヤルの2種類が用意された。18KYGケース仕様が627万円、2本のSSケース仕様が352万円(ともに税込)と、きわめて高額であることがなかなか日の目を見ない理由でないかと思っているが、2025年のGPHGでクロノグラフ賞を受賞したように、少しづつアンジェラスの評価が高まっているのだと期待している。

 価格:352万円(税込)

 その他、詳細はアンジェラス公式サイト(海外)


グラスヒュッテ・オリジナル パノルナ・トゥールビヨン
By Yusuke Mutagami

グラスヒュッテ・オリジナルは2025年6月に、本社のあるグラスヒュッテ周辺の鉄鉱石にダイヤルのインスピレーションを得たパノルナ・トゥールビヨンを発表した。パノシリーズにおいて本来、スモールセコンドがある箇所にフライングトゥールビヨンを配したパノルナ・トゥールビヨンは2013年より展開されているブランドのハイエンドモデルである。2020年にも、精巧なエングレービングをダイヤルとムーブメントの両方に施した素晴らしい美観を持つプラチナモデルを25本限定で発表していた。本作ではプラチナケースを引き続き採用しつつ、ムーブメントの改良により厚みを0.4mm削減、そして顔となるダイヤルではインデックスや針に見られるブルーとガルバニック処理によるローズカラーのコントラストを強調している。光の角度によって鮮やかに表情を変える粒状の仕上げは海外のメディアからも評判のようであった。しかしその2000万円近いプライシングや世界限定50本という希少さもあり、万人受けするとは言い難い時計であったことは間違いない。

 だが今回のパノルナ・トゥールビヨンが担う意義は、プロダクト単体の価値にとどまらない。本作は、ブランド180周年に加えてグラスヒュッテに新たに建立されたダイヤル工房の設立を祝して発表されたモデルであり、グラスヒュッテ・オリジナルの次なる展開を予感させる1本なのである。

 グラスヒュッテ・オリジナルはもともと、自社内でダイヤル製造まで完結できる数少ないメーカーである。従来その拠点は、ドイツ西部のシュトゥットガルト近郊、プフォルツハイムに置かれていた。今回新たに開設された工房へ設備・人員を移転したことで、より複雑で手間のかかるダイヤル表現が可能になったというわけだ。2025年のパノルナ・トゥールビヨンも、機械加工や手作業による加飾など、気の遠くなるような工程を積み重ねて完成に至る。実際に工房を見てきたタンタン曰く3〜4カ月を要するものだという。本社や工房のある土地に由来するモチーフに着想を得た、と聞けばいかにもありふれた話にも思えてしまう。だが、ムーブメント装飾で一定の評価を築いてきたグラスヒュッテ・オリジナルが、ダイヤル表現でもさらなる飛躍を遂げる。その挑戦の象徴として本作を世に送り出したのだと捉えるなら、グラスヒュッテの地を強く想起させる外観には、無視できない意味が宿っている。

 続く9月には、初となる全面アベンチュリンダイヤルのパノマティックルナ アニバーサリー・エディションも発表された。フラッグシップモデルのデザインコードを過度に逸脱することなく、繊細ながら独自性のある表現が行われている。まだ熱心な時計愛好家にこそ響くブランドであり、ひとりの愛好家としてはそれでいいと思うものの、来年は今年以上にグラスヒュッテ・オリジナルというブランドが認知される年になるだろうと感じている。そして来年記事を書く際には、きっとこの静かな傑作について言及をするのだろうと今から確信しているのだ。

 価格:1767万7000円(税込)

 その他、詳細はグラスヒュッテ・オリジナル公式サイトへ。


タイメックス Q TIMEX 1972 タイムマシーン リイシュー
By Yuki Matsumoto

話題作の陰で過小評価されている時計を挙げるなら、Q TIMEX 1972 タイムマシーン リイシュー TW2Y45200を推したい。ツヤツヤとしたタイガーアイにフルゴールドスタイルという攻めた時計で、39mm径のぷっくりとしたトノーケースは全面ポリッシュ仕上げ。見た目の懐かしさはあるものの、それだけでは終わらない、どこかゴージャスで手首の気分を高揚させる派手さがある。

 価格は4万9500円(税込)。5万円を切るプライスで、個体ごとに異なる表情を持つ天然石を楽しめるのは素直にうれしい。ドーム型アクリル風防、宙に浮くような立体インデックス、幾何学的なブレスレットなど、見どころは外装にしっかりと振り切られている。私の時計に対するモットーが、“機能はシンプルに、デザインは派手に”なので、このモデルはまさにドンピシャだった。

 さらにおもしろいのは、復刻のやり直しという背景。公式によると、本国企画として2012年にもいちど復刻を試みたものの、当時はオリジナルの再現に限界があったという。今回はインデックスや文字盤の再現度を高め、より忠実なかたちで完成へと持ち込んだのだ。派手に見えて実はやることが真面目という、このギャップも好感が持てる。

 一方で、このモデルのアメリカローンチ(25年8月)はきわめて静かだった。少なくとも私が追う限り、ネット上に着用カットが大量に出回るような展開にはならず、本国アメリカでもさらりと扱われていた印象がある(あくまでも個人の所見だが)。ただ日本での展開は11月からだったようで、ようやく本格的に流通しはじめた段階だ。

 大きな話題性で引っ張る時計ではない。ただ5万円以下で得られる納得感としてはかなり高い。この記事が、その入り口になればうれしい。

価格:4万9500円(税込)

その他、詳細はタイメックス公式サイトへ。

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