Introducing グランドセイコー スポーツコレクション SBGE315 スプリングドライブ GMT 横浜髙島屋限定2025（編集部撮り下ろし）

　本作のインスピレーション源は、“横浜の海に降り注ぐ太陽光”である。24時間表示のサファイアガラス製ベゼルには、横浜の街から望む湾と近代的な建築物群をイメージしたブルーとホワイトが配されている。その中心に据えられたのは、燦々と輝く太陽を想起させる鮮やかなイエローダイヤルだ。ベゼルおよびダイヤルはいずれもビビッドながら透明感のあるアクリルカラーからなっており、明快なコントラストが視覚的なインパクトとともにスポーツウォッチらしい躍動感を与えている。

　ダイヤルには、型打ちによって木々の隙間から差し込み、揺らめく“木漏れ日”を表現したパターンが施されている。この繊細な模様を目にしたとき、桜の花が雪に覆われる幻想的な自然現象である“桜隠し”をモチーフとしたSBGH341およびSBGH368のダイヤルが思い起こされた。厳密には本作のパターンとは異なるものの、いずれも同様に精緻な型打ち技術によって和紙のような有機的な質感が表されており、日本の自然の移ろいを巧みに映し取っている点で共通している。

　ただし、そこに添えられる色彩が異なれば、与える印象も大きく変化する。“桜隠し”のダイヤルでは、春の静かな情景が穏やかに描かれていたのに対し、本作SBGE315では、有機的なパターンの上に太陽光のきらめきが鮮やかに浮かび上がっている。こうした表現の違いから、グランドセイコーのダイヤルデザインが持つ表現の幅広さと奥行きを改めて実感させられた。

　サイズやスペックの面では、スポーツコレクションに属する従来のトリプルタイムゾーンモデルと相違ない。ステンレススティール製のケースは直径44mmで、厚さは14.7mm、ラグトゥラグは50.6mmとなっており、20気圧の日常生活強化防水を備えている。ムーブメントにはグランドセイコー初のスプリングドライブムーブメント、Cal.9R65にGMT機能を付加したCal.9R66を搭載。単独時針修正機能による第2時間帯表示に加え、24時間表示の双方向回転ベゼルによって第3都市までの時刻を示すことが可能となっている。パワーリザーブも約72時間（約3日間）と十分なことに加え、8時〜9時位置のパワーリザーブインジケーター（残量が3日、2日、1日と色によって塗り分けられている）によって、手に取った時に巻き上げの必要があるかもひと目で判別可能だ。さらに耐磁性能も備えており、日常生活でアクティブに使うGMTウォッチとして申し分ない。

　時計を裏返すと、ブランドを象徴する獅子のエングレービングが施されたソリッドバックが現れる。その上部には、本作が限定モデルであることを示す“LIMITED EDITION”の文字が確認できる。

　SBGE315は過去の限定モデル同様、横浜髙島屋でのみ販売される。価格は96万8000円（税込）で、発売は10月17日（金）と秋ごろを予定。70本限定の抽選販売を予定しているため、応募の詳細は記事末尾の概要をチェックして欲しい。

　実際に着用してみると、その存在感は際立っている。サファイアガラス製ベゼルのきらめきも目を引くが、サンライトイエローのダイヤルは自然光の下でさらに明るく輝く。ケース自体も直径44mmと大振りなので、カラーリングも相まってスポーティさ、アクティブさが前面に押し出されている印象だ。なお、今回はブルー×ホワイトのストライプシャツを合わせてみた。主張のある時計だが、ベゼルのカラーリングを拾うことでスタイリングに自然と馴染み、結果としてイエローダイヤルの存在感がより一層引き立っていた。

　また大振りなケースに対して短めのラグが奏功してか、日本人では平均的な約17cmの太さを持つ僕の手首に対してもはみ出すことなく収まってくれた。ラグの先端は緩やかに下に向けられているために、手首とのあいだに余分な隙間もなくフィットする。14.7mm厚のケースは見た目どおりの重厚感があるものの、長時間身に着けていても特別疲労感を覚えることはなかった。サテンとポリッシュによる磨きわけがなされたブレスレットも本体との重量のバランスがよく、実用時計としてのグランドセイコーの底力を感じた。

 　5年前に登場したSBGE265は、ブラック×ブルーのベゼルとホワイトダイヤルの強いコントラストが際立ち、非常にクールな印象を与えるモデルであった。一昨年のはカラーダイヤルを取り入れながらも全体に統一感があり、洗練された洒落っ気を湛えた一本に仕上がっていた。そしてこのSBGE315は、身に着けていてエネルギーが湧いてくるようなパワーがある時計だ。横浜は近代的な高層建築群とレトロな街並みが同居する多面的な魅力を持つ都市だが、本作はそこに集う人々の活気を色彩で写し取ったかのようなプロダクトである。一見すると、その主張の強いルックスに圧倒されるかもしれない。しかし上でも述べたように、細部にまでグランドセイコーらしいディテールを与える作り込みによって、この挑戦的なカラーの時計は優れた限定モデルに仕上げられている。このバランス感は、ぜひ手にとって自身の手首の上でチェックして欲しい。

　なお、スポーツコレクション スプリングドライブ GMT 横浜髙島屋限定2025は、8月20日（水）から9月2日（火）まで横浜髙島屋で開催される「グランドセイコーフェア」の会場での抽選販売が予定されている。同フェアではSBGE315を実際に手に取って確認できるほか、豊富なバリエーションのなかから比較・検討できる、またとない機会となるだろう。今回の限定モデルが少しでも気になるならば、会場で実機を確認し、その魅力を確かめてみてはいかがだろうか。フェアの詳細は以下。

【グランドセイコー フェア】
■期間: 2025年8月20日（水）～ 9月2日（火） まで　※抽選販売申込期間も9月2日（火）まで
■購入特典: グランドセイコーをご購入の先着20名様にオリジナルギフトをプレゼント
■場所: 横浜髙島屋5階 ジュエリー&ウォッチサロン
■TEL: 045-311-5111（代表）

ブランド： グランドセイコー（Grand Seiko）
モデル名： スポーツコレクション スプリングドライブ GMT 横浜髙島屋限定2025
型番： SBGE315

直径： 44mm
厚さ： 14.7mm
ケース素材： ステンレススティール
文字盤色： サンライトイエロー
インデックス： アプライド
夜光： 時・分、インデックス、ベゼル
防水性能： 日常生活用強化防水（20気圧）
ストラップ/ブレスレット：ステンレススティール製ブレスレット

キャリバー： 9R66
機構： 時・分・秒表示、日付、パワーリザーブ表示、GMT用24時針
パワーリザーブ： 約72時間（約3日間）パワーリザーブ
巻き上げ方式： 自動巻き（手巻き付き）
石数： 30石
追加情報：平均月差±15秒（日差±1秒相当）

価格： 96万8000円（税込）
発売時期： 10月17日（金）
限定：70本限定

Photographs by Yusuke Mutagami, Masaharu Wada